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15.今日は三人で寝ようね
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ディーのお仕事は、王様だった。お母さんも魔族の王様なんだよ。王様は部下の人が作った書類というお手紙に、いいよと許可する人だ。たまにダメなお手紙も混じっていて、ダメな理由を書いて返すの。お母さんが仕事をしているとき、隣で見てたことあるから知ってる。
ディーはドラゴンの王様だけど、まとめてお仕事をしてきたんだって。これで明日から自由に動けると笑っていた。一緒にお出かけしても、怒られないんだね。
「アガリは?」
「お留守番だ」
残念だな。でも、王様が出掛けたあとに誰もいないと困ると聞いた。アガリがディーの代わりをしてくれるなら、お土産を買って帰ろうと決めた。ときどき、お母さんが出掛けた時に買ってきたの。ほとんどは食べ物で、何回か人形やクッションだったりした。
「あのね、明日からアガリが一緒じゃないから……今日は一緒がいい」
お願いを口にしたら、二人ともいいよと許してくれた。広くて湖みたいなお風呂に三人で入って、ご飯も三人で食べる。今日はお肉の塊が出て来て、アガリは尖らせた爪ですっと切った。真ん中の太い骨もさくっと切れるんだ。手を叩いて喜び、運ばれたお肉を小さく切って食べる。
僕はあんな鋭い爪も、立派なきばもまだないけど。いずれは生えてくるのかな。お肉は柔らかくて、ちょっとお塩の味がして、ふわっとハーブの匂いがした。お腹いっぱいになるまで食べて、魔法で口の中を綺麗にする。
寝室で靴を脱いで、右手をディー、左手をアガリと繋いでベッドに入った。僕が真ん中で、両側に二人が寝る。アガリがお家から持ってきた毛布をお腹に掛けて、おやすみなさいの挨拶をする。家族と同じだから、ほっぺでチュッと音をさせた。
二人もチュッとして、眠るまでアガリが歌を歌ってくれた。優しい声で、すぐ眠くなる。もっと聴いていたいのに……そう思いながら目を閉じた。
起きたら、僕は動けなくなっていた。両側からアガリとディーに抱っこされてるよ。僕が動こうとしても、全然解けないの。大人だから強いのかも。そのまま待っていたら、くすくす笑うアガリが先に「おはよう」とチューをした。
慌てて起きたディーもほっぺにチューする。もしかして、二人とも起きてたの? 顔を洗って手を拭いて、ご飯を先に食べた。茶色い粒にミルクを入れて、蜂蜜もたっぷり。最後に果物も載せてもらった。
食べ終わると、大急ぎで着替える。今日行くところは遠くて、急がないと夜までに着かないかもしれないの。説明されて、僕も急いで荷物を準備した。お泊りがあるけど、ご飯は向こうで捕まえるみたい。アガリが洋服を包む間に、僕は寝室へ戻って毛布を掴んだ。これも荷物へ入れてもらう。
「お菓子は持った、テントもある。昼食はこれで、ルンの服と毛布も……あとは何か足りない物があったか」
指さし確認するディーへ、呆れ顔のアガリがもう一つ荷物を差し出した。
「兄さんの着替えです」
「ああ、忘れてた」
からからと笑うディーは、ドラゴンの姿で行くから服を忘れてたんだ。一緒に笑って、ドラゴンになったディーの背中に乗せてもらう。脚のない小さな椅子が縛ってあった。アガリが準備した椅子は、絶対に落ちないと教えてもらう。
「危ないと思ったら、この紐を引っ張ってください」
大きな輪になった紐の先を、ディーがぱくっと咥える。引っ張るとディーに僕が危ないと伝わるの? 荷物を僕の椅子の後ろにたくさん積んで、これも落ちないよう魔法で固めるんだ。こんなにたくさん乗せて、重くないのかな。
ディーはドラゴンの王様だけど、まとめてお仕事をしてきたんだって。これで明日から自由に動けると笑っていた。一緒にお出かけしても、怒られないんだね。
「アガリは?」
「お留守番だ」
残念だな。でも、王様が出掛けたあとに誰もいないと困ると聞いた。アガリがディーの代わりをしてくれるなら、お土産を買って帰ろうと決めた。ときどき、お母さんが出掛けた時に買ってきたの。ほとんどは食べ物で、何回か人形やクッションだったりした。
「あのね、明日からアガリが一緒じゃないから……今日は一緒がいい」
お願いを口にしたら、二人ともいいよと許してくれた。広くて湖みたいなお風呂に三人で入って、ご飯も三人で食べる。今日はお肉の塊が出て来て、アガリは尖らせた爪ですっと切った。真ん中の太い骨もさくっと切れるんだ。手を叩いて喜び、運ばれたお肉を小さく切って食べる。
僕はあんな鋭い爪も、立派なきばもまだないけど。いずれは生えてくるのかな。お肉は柔らかくて、ちょっとお塩の味がして、ふわっとハーブの匂いがした。お腹いっぱいになるまで食べて、魔法で口の中を綺麗にする。
寝室で靴を脱いで、右手をディー、左手をアガリと繋いでベッドに入った。僕が真ん中で、両側に二人が寝る。アガリがお家から持ってきた毛布をお腹に掛けて、おやすみなさいの挨拶をする。家族と同じだから、ほっぺでチュッと音をさせた。
二人もチュッとして、眠るまでアガリが歌を歌ってくれた。優しい声で、すぐ眠くなる。もっと聴いていたいのに……そう思いながら目を閉じた。
起きたら、僕は動けなくなっていた。両側からアガリとディーに抱っこされてるよ。僕が動こうとしても、全然解けないの。大人だから強いのかも。そのまま待っていたら、くすくす笑うアガリが先に「おはよう」とチューをした。
慌てて起きたディーもほっぺにチューする。もしかして、二人とも起きてたの? 顔を洗って手を拭いて、ご飯を先に食べた。茶色い粒にミルクを入れて、蜂蜜もたっぷり。最後に果物も載せてもらった。
食べ終わると、大急ぎで着替える。今日行くところは遠くて、急がないと夜までに着かないかもしれないの。説明されて、僕も急いで荷物を準備した。お泊りがあるけど、ご飯は向こうで捕まえるみたい。アガリが洋服を包む間に、僕は寝室へ戻って毛布を掴んだ。これも荷物へ入れてもらう。
「お菓子は持った、テントもある。昼食はこれで、ルンの服と毛布も……あとは何か足りない物があったか」
指さし確認するディーへ、呆れ顔のアガリがもう一つ荷物を差し出した。
「兄さんの着替えです」
「ああ、忘れてた」
からからと笑うディーは、ドラゴンの姿で行くから服を忘れてたんだ。一緒に笑って、ドラゴンになったディーの背中に乗せてもらう。脚のない小さな椅子が縛ってあった。アガリが準備した椅子は、絶対に落ちないと教えてもらう。
「危ないと思ったら、この紐を引っ張ってください」
大きな輪になった紐の先を、ディーがぱくっと咥える。引っ張るとディーに僕が危ないと伝わるの? 荷物を僕の椅子の後ろにたくさん積んで、これも落ちないよう魔法で固めるんだ。こんなにたくさん乗せて、重くないのかな。
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