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19.親子で同じことを言うのね
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熊のように大きな図体で、大叔父様は年下のお母様に叱られています。仕事を放り出したのなら、仕方ありません。その脇で、私は親戚に当たる次期アルムニア大公にご挨拶をしました。
「オスカル・ジ・アルムニアです。皇孫バレンティナ皇女殿下の帝国ご帰還に、お喜び申し上げます」
「ありがとうございます。バレンティナ……と申します」
以前の癖で、セルラノの家名を名乗りそうになった私は曖昧にぼかした。すぐ後でお父様も挨拶をしたので、エリサリデ公爵家の娘として認識してくれるでしょう。
「出産という大変な時に、災難でしたね」
事情を知っていると匂わせた彼は、まだ叱られているアルムニア大公をチラリと見て、私達を店内へ促した。
「いいのでしょうか」
「ええ。こうなったら義父より先に、私がプレゼントをして悔しがらせてやりましょう」
ふふっと笑みが漏れる。遠い血の繋がりなのに、義父である大叔父様と同じことを仰るなんて。一緒に生活して影響されたのかしら。それとも、カルレオン皇族の血筋? ナサニエルも同じように振る舞うのかも知れない。
こんな風に考えることが出来る今が、すごく恵まれていると感じた。店内にあるベンチは低く作られており、子どもが座りやすい。お金を払うのは大人だけれど、主役は子どもの店だった。見回す店内は、お人形や子ども用の剣が並ぶ一角もあれば、赤子の音が出る玩具もある。
お父様と連れ立って、オスカル様は玩具を選び始めた。姪を引き取って育てただけあり、子どもが好きな様子。ナサニエルを抱いてベンチに座る私の前に玩具を運び、振ってナサニエルの反応を窺う。
「音が少し低い方が好きみたいだ。これはどうかな」
好みを探りながら選んでもらった玩具を購入し、まだ早いけれどおしゃぶりも選んだ。可愛いデザインがたくさんあり、迷って赤いハートを選ぶ。兎の方が良かったかしら。迷っていたもう一つは、お父様が購入した。ナサニエルがもう少し大きくなったら、渡すつもりね。
「あ! ああああ! もう買ってしまったのか」
がっかりする大叔父様は、大きな熊のぬいぐるみを購入した。それも二つ。ナサニエルと、オスカル様の義娘の分ね。お母様は迷って、ベビーメリーを選んだ。そうよ、ベビーメリーを買ってなかったわ。
「昼食まで時間があるので、散策しますか」
誘われて、私は了承した。気分もいいし、体調も大丈夫だと思う。お父様やお母様がご一緒だもの。何も怖くないわ。大きな熊のぬいぐるみは、宿まで運んでもらう手配をした。
少し距離を置いて護衛する将軍閣下直属の騎士に、途中のお店でお茶を振る舞った。私達ももちろん、お茶とケーキを楽しむ。授乳があるから、お菓子類はあまり食べられないけれど。昼食になるまで、ナサニエルは泣くこともなくご機嫌だった。
とても助かる。母親思いの優しい子だわ。そう思った瞬間、オムツが濡れたみたいで大泣きされた。慌てて駆け寄る騎士の一人が、オムツが入った袋を差し出す。護衛中にこれを持っていたんですか? 尋ねたら、さすがに可哀想ね。ぐっと堪えて、笑顔でお礼を言って受け取った。
「オスカル・ジ・アルムニアです。皇孫バレンティナ皇女殿下の帝国ご帰還に、お喜び申し上げます」
「ありがとうございます。バレンティナ……と申します」
以前の癖で、セルラノの家名を名乗りそうになった私は曖昧にぼかした。すぐ後でお父様も挨拶をしたので、エリサリデ公爵家の娘として認識してくれるでしょう。
「出産という大変な時に、災難でしたね」
事情を知っていると匂わせた彼は、まだ叱られているアルムニア大公をチラリと見て、私達を店内へ促した。
「いいのでしょうか」
「ええ。こうなったら義父より先に、私がプレゼントをして悔しがらせてやりましょう」
ふふっと笑みが漏れる。遠い血の繋がりなのに、義父である大叔父様と同じことを仰るなんて。一緒に生活して影響されたのかしら。それとも、カルレオン皇族の血筋? ナサニエルも同じように振る舞うのかも知れない。
こんな風に考えることが出来る今が、すごく恵まれていると感じた。店内にあるベンチは低く作られており、子どもが座りやすい。お金を払うのは大人だけれど、主役は子どもの店だった。見回す店内は、お人形や子ども用の剣が並ぶ一角もあれば、赤子の音が出る玩具もある。
お父様と連れ立って、オスカル様は玩具を選び始めた。姪を引き取って育てただけあり、子どもが好きな様子。ナサニエルを抱いてベンチに座る私の前に玩具を運び、振ってナサニエルの反応を窺う。
「音が少し低い方が好きみたいだ。これはどうかな」
好みを探りながら選んでもらった玩具を購入し、まだ早いけれどおしゃぶりも選んだ。可愛いデザインがたくさんあり、迷って赤いハートを選ぶ。兎の方が良かったかしら。迷っていたもう一つは、お父様が購入した。ナサニエルがもう少し大きくなったら、渡すつもりね。
「あ! ああああ! もう買ってしまったのか」
がっかりする大叔父様は、大きな熊のぬいぐるみを購入した。それも二つ。ナサニエルと、オスカル様の義娘の分ね。お母様は迷って、ベビーメリーを選んだ。そうよ、ベビーメリーを買ってなかったわ。
「昼食まで時間があるので、散策しますか」
誘われて、私は了承した。気分もいいし、体調も大丈夫だと思う。お父様やお母様がご一緒だもの。何も怖くないわ。大きな熊のぬいぐるみは、宿まで運んでもらう手配をした。
少し距離を置いて護衛する将軍閣下直属の騎士に、途中のお店でお茶を振る舞った。私達ももちろん、お茶とケーキを楽しむ。授乳があるから、お菓子類はあまり食べられないけれど。昼食になるまで、ナサニエルは泣くこともなくご機嫌だった。
とても助かる。母親思いの優しい子だわ。そう思った瞬間、オムツが濡れたみたいで大泣きされた。慌てて駆け寄る騎士の一人が、オムツが入った袋を差し出す。護衛中にこれを持っていたんですか? 尋ねたら、さすがに可哀想ね。ぐっと堪えて、笑顔でお礼を言って受け取った。
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