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最終章 エガオが笑う時
エガオが笑う時(4)
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「そんじゃ始めますか」
そう言ってカゲロウは、キッチン馬車の中に入るとフライパンや仕込んだ鍋を準備し始める。
私は、カウンター越しにむすっと頬を膨らませて彼を睨む。
マダム達はもう席に座っている。
チャコとマナは、二人で青い傘の円卓に座り、昔話に花を咲かせている。あの二人ならきっと時間の隔たりなんてすぐに乗り越えるだろう。
サヤとディナとイリーナは黄色の傘の円卓に座って日々の楽しいこと、新しい発見、そして夢について語り合っている。
マダムは、赤い傘の円卓に優雅に座って持参した本を読みながらチラチラと私とカゲロウの様子を伺ってる。元々過保護だけどお母さんと呼ぶようになってからさらに拍車がかかった気がする。
「なんで怒ってんだ?」
カゲロウが怪訝そうに顎に皺を寄せる。
私は、ボソボソと言葉を出す。
「・・・さっきみんなに揶揄われた時助けてくれなかったです・・・」
何かあったら助けてくれるって言ったのに・・。
カゲロウは、きょとんっとした顔をし、そしてにやっと笑って手を伸ばし、私の頭を撫でる。
「エガオは、本当に可愛いなあ」
ぼんっ。
私の心臓が音を立てて弾け、顔が真っ赤に染まる。
「あんなのはただのじゃれ合いだろ。これからそんなこといっぱい起きるぞ」
いっぱい・・・。
私の心臓は持つのだろうか?
「それに本当に困ったことが起きたら助けるよ。何があっても。どんな時でも」
カゲロウは、私の頭をくしゃっと撫でる。
温かい。
気持ち良い。
こんなことでむすっと膨れ上がっていた心が解けてしまうのだからどれだけ私の心って単純なんだろう?
私は、左の薬指に嵌めた花の指輪をきゅっと握り、感情のままに口元を綻ばせる。
「はいっ」
私の顔を見てカゲロウは、驚き、そして優しく笑う。
「いい顔だな」
えっ?
「そのままで注文聞いてきな。みんな喜ぶぜ」
私は、首を小さく傾げながらも銀のトレイを持って振り返る。
一番最初に反応したのはスーちゃんだった。
自分の役目は終わったとばかりに寝てたのに大きな首を上げて燃えるような赤い目を大きく開き、嬉しそうに嘶いた。
次に反応したのはマダム。
誤魔化すように読んでいた本を落として口元に手を当てて目を潤ませる。
サヤ、ディナ、イリーナも話すのをやめて驚きに口を丸くし、チャコも全身の毛を逆立てる。
「エガオ様・・」
マナが大きな目をさらに大きく開き、唇を震わせる。
「笑ってる・・」
えっ?
「エガオちゃんが・・」
「笑ってる・・・」
私が・・・笑ってる?
「エガオちゃん・・・」
「エガオちゃん・・・」
「エガオ様・・・」
みんなが花が咲いたように嬉しそうに私を見ている。
振り返るとカゲロウも嬉しそうに口元を綻ばしてこちらを見ている。
私は、銀色のトレイを鏡にして自分の顔を見る。
これが・・笑顔。
私の・・・笑顔。
顔を上げるとみんなが嬉しそうな輝く笑顔で私を見ている。
私も笑顔でみんなを見ている。
・・・なんだろう?
すごい幸せだ。
私は、トレイを抱きしめるように胸に抱え、自分の喜びと嬉しさを乗せて言葉に出す。
「キッチン馬車へようこそ。ご注文は何にしますか?」
花が咲く。
喜びが膨れ上がる。
私は、みんなと笑顔で笑い合うことが出来た今日という日を絶対に忘れない。
そう言ってカゲロウは、キッチン馬車の中に入るとフライパンや仕込んだ鍋を準備し始める。
私は、カウンター越しにむすっと頬を膨らませて彼を睨む。
マダム達はもう席に座っている。
チャコとマナは、二人で青い傘の円卓に座り、昔話に花を咲かせている。あの二人ならきっと時間の隔たりなんてすぐに乗り越えるだろう。
サヤとディナとイリーナは黄色の傘の円卓に座って日々の楽しいこと、新しい発見、そして夢について語り合っている。
マダムは、赤い傘の円卓に優雅に座って持参した本を読みながらチラチラと私とカゲロウの様子を伺ってる。元々過保護だけどお母さんと呼ぶようになってからさらに拍車がかかった気がする。
「なんで怒ってんだ?」
カゲロウが怪訝そうに顎に皺を寄せる。
私は、ボソボソと言葉を出す。
「・・・さっきみんなに揶揄われた時助けてくれなかったです・・・」
何かあったら助けてくれるって言ったのに・・。
カゲロウは、きょとんっとした顔をし、そしてにやっと笑って手を伸ばし、私の頭を撫でる。
「エガオは、本当に可愛いなあ」
ぼんっ。
私の心臓が音を立てて弾け、顔が真っ赤に染まる。
「あんなのはただのじゃれ合いだろ。これからそんなこといっぱい起きるぞ」
いっぱい・・・。
私の心臓は持つのだろうか?
「それに本当に困ったことが起きたら助けるよ。何があっても。どんな時でも」
カゲロウは、私の頭をくしゃっと撫でる。
温かい。
気持ち良い。
こんなことでむすっと膨れ上がっていた心が解けてしまうのだからどれだけ私の心って単純なんだろう?
私は、左の薬指に嵌めた花の指輪をきゅっと握り、感情のままに口元を綻ばせる。
「はいっ」
私の顔を見てカゲロウは、驚き、そして優しく笑う。
「いい顔だな」
えっ?
「そのままで注文聞いてきな。みんな喜ぶぜ」
私は、首を小さく傾げながらも銀のトレイを持って振り返る。
一番最初に反応したのはスーちゃんだった。
自分の役目は終わったとばかりに寝てたのに大きな首を上げて燃えるような赤い目を大きく開き、嬉しそうに嘶いた。
次に反応したのはマダム。
誤魔化すように読んでいた本を落として口元に手を当てて目を潤ませる。
サヤ、ディナ、イリーナも話すのをやめて驚きに口を丸くし、チャコも全身の毛を逆立てる。
「エガオ様・・」
マナが大きな目をさらに大きく開き、唇を震わせる。
「笑ってる・・」
えっ?
「エガオちゃんが・・」
「笑ってる・・・」
私が・・・笑ってる?
「エガオちゃん・・・」
「エガオちゃん・・・」
「エガオ様・・・」
みんなが花が咲いたように嬉しそうに私を見ている。
振り返るとカゲロウも嬉しそうに口元を綻ばしてこちらを見ている。
私は、銀色のトレイを鏡にして自分の顔を見る。
これが・・笑顔。
私の・・・笑顔。
顔を上げるとみんなが嬉しそうな輝く笑顔で私を見ている。
私も笑顔でみんなを見ている。
・・・なんだろう?
すごい幸せだ。
私は、トレイを抱きしめるように胸に抱え、自分の喜びと嬉しさを乗せて言葉に出す。
「キッチン馬車へようこそ。ご注文は何にしますか?」
花が咲く。
喜びが膨れ上がる。
私は、みんなと笑顔で笑い合うことが出来た今日という日を絶対に忘れない。
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