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第4章 無敵

無敵(3)

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 黒い獣。
 王国と帝国の停戦条約が締結してしばらくしてから王都で頻発している獣人への暴行事件。
 暴行と言っても外傷はない。
 夜、警察が街の巡回に回っていると道の真ん中に獣人が倒れているのを発見、保護している。
 警察が声をかけると獣人は直ぐに目を覚ますが何も覚えておらず、何で道の真ん中で寝ていたのかも分からない。ただ、意識を失う寸前に黒い大きな獣がいたことだけが微かに記憶に残っている。
 襲われるのが獣人だけであると言うこと。
 相手には怪我もないこと。
 そしているかいないかも分からない黒い獣。
 そんな曖昧な、王都を闊歩する都市伝説のような、しかし現実として起こっている事件。
 それにチャコの姉が巻き込まれた。
 しかも・・・。
「はっきりと見たと言ってるのか?」
 カゲロウは、無精髭の覆われた顎に皺を寄せる。
「はいっ」
 私は、小さく頷く。
 今までの事件と同じく、道の真ん中で倒れているのを発見されたチャコの姉は目が覚めると開口一番に「黒い獣に襲われました!」と叫んだと言う。
 しかも、黒い獣と一緒にフードを被った男までいた、と。
 今までにない具体的な証言により捜査に行き詰まっていた警察達もようやく進展に漕ぎ着けることが出来、今日もチャコの姉に同行をお願いして現場周辺の捜査をしているらしい。ただ、姉も一人で警察の捜査に付き合うのに不安を感じており、その為、学校が終わるとチャコが一緒に付き添っているのだそうだ。
「でも、なんでチャコの姉ちゃんはそんなに具体的に覚えてたんだ?」
 カゲロウが無精髭を摩りながら疑問を口にする。
「何でも事件に巻き込まれる少し前に衝撃的な場面に遭遇したらしいの」
 キッチン馬車の近くに席を移したマダムが会話に入ってくる。
 先程までマダムが座っていた席ではサヤ、イリーナ、ディナが若い女の子が興味のある話題で盛り上がっていた。
 流石のマダムもその会話には付いていけないと思ったようで移動してきたようだ。
 ちなみに私も同じ年だが彼女達の話しは一つも分からない。
「衝撃的な場面?」
 私は、首を傾げる。
 チャコの姉が事件に巻き込まれたと言う日は私とカゲロウがデートと言うものをしていた日だ。
 その日にそんな衝撃的な事件があったのだろうか?
 思いつくのは騎士崩れが高齢の女性に襲い、その直後にメドレーによって確保されたあの出来事くらいだ。
「んーっ何でも凄く尊くて綺麗な光景を見たと言ってるらしいわ」
 凄く尊くて綺麗な光景?
 尚更、意味が分からない。
 マダムも自分で言って要領を得てないようで眉を顰めている。
「それのせいで前後の記憶も覚えてると?不思議ですね」
 カゲロウは、唇を上げて、両腕を組む。
「本当にね」
 マダムも同意して紅茶を口に付ける。
「まあ、それでも直ぐに解決する訳じゃないから気をつけないとね」
「そうですね。獣人のお客さんもいらっしゃるので何かしらで注意喚起していきます」
「ディナちゃんにチラシでもお願いしたら?美術センス抜群だから。おやつでも奢れば作ってくれるわよ」
「・・高くつきそうですね。善処します」
 そう言ってカゲロウは、苦笑して頷く。
 それからマダムは、私を見る。
「エガオちゃんもよ。十分に気をつけて」
「私は、獣人ではありませんし、自分のことなら対処出来ます」
「そうじゃないの」
 マダムは、首を横に振る。
「貴方のことだから周りでそんな騒ぎが起きたら真っ先に飛んでいくでしょう?そんな危ないことはしないでねって言ってるのよ」
 マダムは、心の底から心配するように私を見る。
 なるほど。そう言うことか。
「大丈夫です。もうそんなことはしません」
 私の言葉にマダムは、驚いて目を大きく開ける。
「私は、もう戦士でもメドレーでもないので」
 そう言って私は自分の手を見て、そしてカゲロウを見る。
 カゲロウは、顎に皺を寄せてこちらを向いている。
 あの日、彼は私の手を綺麗だと言ってくれた。
 散々、人を傷つけ、命を奪ってきた私の手を彼は綺麗と言ってくれた。
 私にここにいていいと言ってくれたのだ。
 そんな私に出来ることはお店の為に努力して少しでも役立つよう技術を磨くこと。
 そしてもうニ度とこの手を穢さないようにすることだ。
 流石にまだ鎧と大鉈を捨てる勇気は持てない。
 マダムやニ人組、そしてカゲロウが何かに襲われてしまいそうになったら身体は動いてしまうだろう。
 それでも私はもう自分から闘うようなことは決してしない。
 相手も傷つけない。
 私は、もう戦士じゃないのだから。
 マダムは、目を細めて私を見る。
 何かを察したように。
「カゲロウ君」
 マダムは、すっと手を上げる。
 カゲロウは、注文かと思い身を前に乗り出す。
 しかし、マダムは、表情は穏やかなままに剣呑に目を光らせてカゲロウを睨む。
「貴方・・順序はちゃんと守りなさいよ」
 表情はとても穏やか。しかし、そこから発せられる気迫にカゲロウは頬を引き攣らせる。
 順序とは何のことだろう?
 私は、怪訝に思いながら二人を見つめた。
「エガオ様!」
 可愛らしい高い声に私は振り返ると白と黒の水玉のショートヘアに垂れ下がった耳、そして墨汁を付けたような黒い鼻の小柄な犬の獣人の少女、マナがいた。
「マナ」
 私は、マナの方に歩み寄る。
「マナ、貴方、一人で来たの?」
 私の質問にマナは「はいっ」と元気に答える。
 子どもらしい元気な声だが今回ばかりは少し不安になる。
「黒い獣の噂は知ってるわよね」
 私の言葉にマナは、表情を曇らせる。
「あの・・獣人を襲ってるって噂の・・,」
「そうよ。昼間とはいえ一人で出歩いちゃ危ないわ」
 私が少しキツめに言うとマナは、眉根を寄せてしょげる。
 私は、ふうっと息を吐き、そっとマナの頭に手を置く。
「いらっしゃい」
 そう言うとマナの表情は花のように綻んだ。
 そして私の姿を上から下までじっと見る。
「エガオ様、今日もお綺麗ですね。なんか妖精みたいです」
 そう言って私の髪を見る。
 私は、頬が熱くなるを感じながら花畑のような髪を触る。
「変じゃないかしら?」
 メドレー時代から私のことを知っているマナからしたら今の私の姿は違和感だらけだろう。
 しかし、マナは垂れ下がった耳が千切れるのではないかと思うくらいに首を横に振る。
「とてもよくお似合いです!見ていてこんなに楽しいことはありません!」
 それは褒め言葉なのだろうか?と疑問に思いながらもマナの輝いた目を見ていること本心なのだろうと思い、「ありがとう」とお礼を言った。
「今日はどうしたの?」
 質問するとマナは、思い出したように腰に下げた革の袋を取る。
「弟の一人が今度、誕生日なんです。だから大きなホールケーキを買ってあげたくて」
 ホールケーキ?
 一瞬、疑問が浮かんだがついこの間、老夫婦の夫が誕生日と言って妻がたくさんの小さな蝋燭を立てた円柱の大きなケーキをカゲロウに頼んで用意していたのを思い出した。
 あれのことか・・・。
 思い至ってから私は眉根を顰める。
「結構、高いけど大丈夫?」
 計算の苦手な私だが流石にあのケーキが安いものでないことくらいは分かる。お金を受け取る時も銀貨がずっしりとしていた。
 私が言うとマナは不安そうな顔を浮かべる。
「これで足りますか?」
 マナは、皮袋を開いて私に見せる。
 私は、思わず息を詰まらせる。
 皮袋の中身は以前、来店した時とは比べ物にならない大量の銀貨が詰まっていた。具体的な金額までは分からないが私が初めてキッチン馬車に来た時に持っていた銀貨よりも多いのではないか?
 私が驚いていることに気づき、マナは不安そうに私を見る。
「やっぱり足りませんか?」
「いや・・そうじゃなくて・・」
 私は、目を震わせてマナを見る。
「こんなたくさんのお金どうしたの?」
 いくらなんでもメドレーの従者の給料で短期間にこんなに貯められる訳ない。
 私の言葉にマナの顔色が明らかに変わる。
 まさか・・・。
「マナ・・・貴方・・・」
「おーっ随分貯めたな」
 隣から聞こえてきた声に私は驚く。
 いつの間にカゲロウが私の横に立って皮袋の中身を覗き込んでいたのだ。
 マナもいつカゲロウがやってきたのか分からなかったのだろう、大きな目をさらに大きく開いて驚いている。
 カゲロウは、皮袋から銀貨を一枚取り出す。
 私は、眉を顰める。
 見たこともない銀貨だった。
 形は普通の銀貨と変わらないが模様が違う。
 キッチン馬車でよく扱う銀貨は王国の三代前の国王の横顔のレリーフだがカゲロウの取った銀貨に描かれているのは大きな角を生やした山羊のレリーフだった。
 しかし、カゲロウは何も言わずに銀貨を袋に戻す。
「これなら十分に豪華で大きなホールケーキが買えるぞ」
 カゲロウが言うとマナは安心したように表情を輝かせる。
「カゲ・・・ッ」
 私は、カゲロウを止めようとするがその前にカゲロウの人差し指が私の唇に当たって言葉を封じる。
 温かい感触に私は頬を赤く染める。
「どんなのがいいかリクエストはあるか?」
「皆んな果物が大好きなのでたくさん乗っけて欲しいです。あと、生クリームもたっぷりで。甘いもの・・この前のおやつ以来食べてないから」
 そう言ってマナは、顔を俯かせる。
 カゲロウは、小さく唇を釣り上げ、マナの頭を撫でる。
「了解。誕生日はいつだ?」
「3日後です」
「分かった。運ぶの大変だろうから教会まで届けてやる」
 カゲロウの言葉にマナは嬉しそうに顔を輝かせ、「ありがとうございます!」と頭を下げる。
 そしてカゲロウは、マナから教会の場所を確認し、お金を受け取って注文票を切ってマナに渡す。
 マナは、注文票を嬉しそうに受け取る。
 私は、何も言うことが出来ず二人のやり取りを見守った。
「今日は食べていかないのか?」
 カゲロウが聞くとマナは首を横に振る。
「お使いを頼まれているので今日は帰ります」
 そう言うとマナは私の方を向く。
「それではエガオ様。よろしくお願いします」
 そう言って微笑む。
「ええっ」
 私は、声が固くなるのを抑えられなかった。
「気をつけて帰るのよ。なるべく人の多い道を」
「大丈夫ですよ。私は襲われたりしません!」
 マナは、少し不満そうにしながらも背中を向けて去っていく。
 私は、マナの背中をじっと見守る。
「ねえ、カゲロウ君」
 後ろからマダムの不安そうな声が聞こえる。
「そのお金って・・・」
「ええっ。これは・・・」
 私は、二人の会話が気になって振り返った時だ。
「やっぱりマナちゃんにゃー!」
 明るく、大きな声が耳に飛び込んでくる。
 振り返ると明るい茶色の猫の獣人のチャコがマナに抱きついていた。
 私は、驚きに目を瞠る。
「この前会った時は久しぶり過ぎて見間違えかと思っただにゃあ!」
 マナは、何が起きたのか分からず目を回している。
 チャコは、マナから手を離すと大きな縦目を輝かせる。
「あの時はまだ小さかったから覚えてないかにゃ?よくマナちゃんのお家に出入りしていたピアノの調律師の娘のチャコにゃ。覚えてないかにゃ?」
 チャコの言葉にマナの目に遠くからでも分かるくらいに動揺が走る。
 マナは、唇を震わせて後退ずさるとそのまま背を向けて逃げるように走り去った。
 チャコは、呆然とマナの背中を見る。
 私は、何が起きたのか分からないままチャコに近寄る。
「何があったの?」
 私が聞くとチャコも分からないと言ったような首を傾げる。
「チャコ・・マナのこと知ってるの?」
 私の問いにチャコは小さく頷く。
「あの子は・・私のお父さんが仕事で出入りしていた騎士の家の娘さんにゃ」
 そして次の言葉に私は衝撃を受ける。
「ご両親が戦争で亡くなってから行方不明になってたにゃ」
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