いつかの約束

織部

文字の大きさ
上 下
1 / 1

いつかの約束

しおりを挟む
 明日香25歳 拓海10歳

 
「結婚しないの?」
 また、始まった。
 これで何度目だろう?
 明日香は、おはよう、こんにちはみたいに始まるこの言葉にいい加減、辟易していた。
「しません」
 明日香は、少し引き攣った笑みを浮かべて短く返す。
 そんな反応が面白いのか?拓海は、鏡越しにニヤニヤ笑いながら明日香を見る。
 この子が明日香の務める美容室に通うようになってもうすぐ1年経つ。美容師の専門学校を卒業して記念すべき最初の担当が拓海だ。先輩美容師が担当している女性の息子さんで今まではお母さんが切っていたらしいが、流石に10歳になると難しくなってくるので、美容室デビューをした。そしてカットだけだし、お母さんの人柄も良いからと明日香が担当として抜擢された。
 子どもとはいえ、初めての一人でのカットに心臓があらゆる穴から飛び出しそうなくらい高鳴る。しかし、それは拓海も同じようでセットチェアに座る小さな身体は、そわそわと揺れており、高さの調整や背もたれを動かすだけでビクッビクッと身体を震わす。
 そのウブな反応に思わず頬が緩み、緊張がほぐれたことを思い出す。
 それなのに次にお母さんと来た時から・・・。
「結婚しないの?」
 いきなり、大人なら間違いなくセクハラに当たる台詞を水を飲むように口にした少年を見て担当を間違えたかと錯覚を起こしたのを鮮明に覚えている。
 それから約1年、これが続いている。

「変なこと言われると手が震えて耳切っちゃうかもよ?」
 笑顔を絶やさぬように、しかし強い口調で注意する。
「そしたら賠償もんだね」
 拓海は、ビビる様子もなく、からっと答える。
 どこで覚えたんだ、そんな言葉。
 明日香は、気を取り直して伸びてきた拓海の髪を触る。
 柔らかくて光沢のある良い髪だ。
 手入れの行き届いた若い女子の髪のようだなと思った。
 お母さんに似て、拓海もとても綺麗な顔立ちをしている。狭い額、二重の大きな目、英国人のような伸びた鼻梁に少し厚みのある唇、少し日に焼けた肌、確か剣道をやっていると言っていたような、10歳という歳を考えるととてもがっちりした身体をしている。
 数年後には、間違いなく多くの女子の注目を集めることだろう。
 それなのに私にセクハラ発言ばかり。
 女たらしにならなけばいいけど、などといらない心配をする。
 拓海の髪を切りながら明日香は、違う話題を振ろうと学校や友達のことを聞く。
 今、授業では何してるの?
 何が流行ってるの?
 ゲームはしないの?
 別に学校が嫌な訳でも友達が居ない訳でも流行りに興味がない訳でもなさそうだが、純粋に話しをそれで膨らませる気がないといったところだ。
 変に大人ぶった態度に何か悪戯と仕返しをしてやろうと思い、思いついた言葉を口にした。
「好きな子はいないの?」
 途端に頬を赤らめる。
 効果的面!
 明日香は、心の中でガッツポーズをする。
 拓海は、両手を組んでモジモジ動かしながら「いねえよ!そんなの!」とわかりやすいくらい動揺している。
「いるんだあ」
 そんな拓海の心情など配慮せずに明日香は笑う。
 これで少しは言っちゃいけないことを学びなさい。
 本当は、これで終わりにするつもりだったのだが明日香も女子。恋バナは漏れなく好きだ。思わず聞いてしまう。
「どんな子?」
「えっ?」
「どんな子なの?」
「えっ・・・それは・・・」
 拓海は、赤くなりすぎて顔が上げられなくなる。
 可愛い!と思わず明日香は心の中で叫ぶ。
 それが表情に出てたのか?拓海は、むっとした表情を浮かべて明日香を睨む。
「そっちはどうなの?」
「えっ?」
「好きな人いないの?」
 仕返しのつもりかな?
 しかし、そんな小学生の言葉で動揺する時期はとっくに過ぎている。
 明日香は、大人の余裕を持って答える。
「今はいないわよ。仕事が忙しいしね」
 我ながら模範解答と思った。
 嘘もつかず、かといって子どもっぽさもない、大人の解答。
「そうなんだあ」
 そう呟く拓海の声は、どこか嬉しそうだった。
「しょうがないなあ。じゃあ、大人になったらオレが結婚してあげるね」
 えっ・・・。
 明日香は、思わず絶句する。
 このマセガキは、何を言ってるのだ?
 思いがけず心臓の音が高鳴る。
 拓海は、そう言った後、少し照れ臭いのを誤魔化すように。にこーっと笑う。
 その笑みを見て、あーこいつは大人を揶揄っているのだと分かった。
 なら、こちらも笑顔で返すのが大人の度量というものだ。
「じゃあ、待ってるわね」
 そう笑顔で答えると拓海の顔は、トマトのように赤くなる。それこそ熟れて破裂しそうなくらい。
 そして恐る恐る右手の小指を明日香に差し出す。
「約束・・・」
 そう言って顔を俯かせる。
 あれっ本気だったの?
 明日香は、驚くも所詮は子どもの言うことと笑いながらいいわよと、自分の小指を絡ませた。
「じゃあ、迎えにきてね」
「うん」
 そういって拓海は、笑った。
 まだ恋のこの字も知らない少年との約束。
 しかし、明日香は、忙しさのあまりすぐに忘れてしまうのだった。  

 明日香 30歳 拓海 15歳

「結婚しないの?」
 その台詞を発した声は、初めて聞いた時よりも低く、耳障りの良い音となった。
 初めてここに訪れた時と同じセットチェアなのに随分と小さくなったように感じる。それは今、座っている少年、拓海の成長を物語っていた。
 中学一年生を迎えてから拓海は、どんどん身長も体重も伸びていった。今では決して小柄でない明日香が表情を見るのに少し首を上向きに傾けるほどだ。身体つきも筋肉質になり、シャツから伸びる手には筋肉の筋が綺麗に刻まれている。
 決して大人の男でないが少年とも呼べなくなる、成長の境目に拓海は立っていた。
 しかし、言うことに成長はない。
「結婚しないの?」
 明日香が答えないので少し苛立ったように言う。
「しません」
 明日香は、短く返す。
 もう慣れっこだ。
 そしてこう返すとなぜか満足したような顔をするのも分かっている。
「今日はどんな髪型にしますか?御坊ちゃま?」
 御坊ちゃまと言われたことに腹が立ったったのか?拓海は、唇を尖らす。
「坊主しかないだろ」
 拗ねたように言う。
 中学に入っても剣道を続けている拓海は、もうずっと坊主だった。それなら自分でバリカンで剃ったら?とその方がお金かからないよ?と伝えるが、自分じゃうまく剃れないと毎月通って来る。
 正直、美容室の仕事ではないのだけどな・・・。
 そう思うがお金を払ってくれるお客様にそんなことは言えない。
「ここで剃ってもらうとさ。試合によく勝てるんだよね」
 明日香の心の声が聞こえたのか、そんなことを言う。
 中学に入ってから拓海は、剣道の腕をさらに上げ、県大会で優勝、全国大会でもベスト8まで上がり、特待生として剣道の強豪校に入学できるようになった、と彼の母親が自慢げに語っていた。
「次も勝てるといいね」
 明日香は、バリカンをコードに繋ぐとスイッチを入れる。
 バリカンは、小気味の良い音を立てて震える。そして拓海の熱海に当てると芝刈り機のように髪を剃っていく。
「勝つよ」
 拓海は、力強く宣言する。
「絶対に勝つ、だからさ・・・」
「んっ?」
 明日香が鏡越しに見つめると、途端に顔を赤くして俯く。
 バリカン使ってる時は危ないから頭を動かさないでと思うと同時に少し見つめただけで赤くなる仕草に、こんなおばちゃんでも意識してくれるだな?と少し嬉しくなり、可愛く見える。
「応援してね」
 拓海は、ようやく声を絞り出す。
「当たり前でしょ。結果報告待ってるわね」
 頭を剃り終え、役目を終えたバリカンを休ませる。
 先程まではよくいう毬栗頭であった頭が有田焼のような光沢とざらっとした、でも柔らかな感触を持ち、思わず触って撫でてしまう。
 頭を撫でられ、拓海は、ふたたび顔を赤く染めた俯いてしまう。
「俺さ・・・警察官になりたいんだ」
 拓海は、唐突に話し出す。
 拓海が将来のことを話すのは初めてかもしれない。
 いつも「結婚しないの?」としか言わないのにどうしたのだろう?
「今のままの剣道の成績で行けば大学も特待生で行ける。警察学校でも評価が高くいけるはず」
「そっか・・・ちゃんと考えてるんだね」
 明日香は、タオルを拓海の肩に掛けると丁寧に揉み始める。
 さすが鍛えられた肩は、ガッチリとしているが、凝りは全くない。
「私のお父さんも警察官なんだよ」
 そう言うと拓海は、火鉢の棒を押し付けられたかのように勢いよく顔を上げる。
「本当?」
「今、それこそ警察学校の先生してるから拓海くんが入学する頃にまだいたら会えるかもね」
「そうなんだ」
 途端に緊張しだす。
 まだ、入学した訳でもないのにと、くすりっと笑ってしまう。
「俺さ、ちゃんと頑張るから待っててね」
 待つ?何を?
 明日香は、怪訝な表情を浮かべると、拓海は、ショックを隠しきれない表情を浮かべ、小指を明日香の前に差し出す。
「ひょっとして、忘れたの?」
 突き出された小指を見て明日香は、思い出す。
 5年前にした幼い拓海との約束を。
 砂に描いた絵のようなその時だけの淡い気持ちになる一瞬で消える思いを。
 私にとっては砂の絵だったけどこの子にとってはキャンパスだったのだ。
 そう思った途端に罪悪感が押し寄せて来る。
 私は、幼い子になんて誠意のないことをしてしまったのだろう。
 この子は、あの約束をずっと本気にしていたのだ。
 それなのに私はこの子の純粋な心を弄んでしまった。
 淡い恋を膨らますだけ膨らませてしまったのだ。
 真剣に明日香を見る拓海。
 その目に篭る熱い思いを明日香は、直視することが出来なかった。
 しかし、言わねばならない。
 この子の為にも言わなければならない。
「・・・ごめんね」
 拓海は、明日香の発した言葉の意味を理解することができなかった。
 そして次瞬間に絶望が走る。
「私・・・結婚するんだ」
 それから拓海が店に足を運ぶことは二度となかった。
 
 明日香 37歳 拓海 22歳

 窓を開けると潮の甘い匂いがら入り込む。
 海辺から登る太陽を見るのが好きだ。
 若い頃、ありとあらゆるものが新鮮で輝いて見えていた頃を思い出して胸がドキドキする。
 自分の心は、まだ枯れていないのだと感じることが出来る。
 旦那の実家近くに中古の家を買い、2階、3階を住居スペースに、1階を仕事スペース、つまり美容室にした。セットチェア3席にシャワースペース、出来ればヘッドスパもやりたいが中々手が回らない。旦那も美容師なので一緒にやれば問題ないが、最近はほとんど1人でやってるので物理的に無理だ。
 一人娘を小学校に送り出してから開店の準備を始める。換気をし、掃除機をかけ、器材を丁寧に拭く。髪を扱う仕事なので清潔には何よりも注意しないといけない。それこそ髪の毛1本残さないくらいに。
 旦那は、買い出しに出掛けている。
 何日も・・・。
 もう戻ってこないのではないかと漠然と感じている。
 小さくため息をつき、看板をオープンにする。
 さあ、仕事だ。稼がないと。
 開店して10分、入口の鈴が鳴り、お客さんが来たことを知らせる。
 この時間に予約は入ってないので飛び込みかな?と思い、振り返りながら「いらっしゃいませ」と告げて、絶句する。
 拓海だった。
 7年前、最後に見た時よりもさらに身長が伸び、筋肉質な身体つきになり、長く伸びた髪を紐で結っている。元々、綺麗な顔立ちをしていたが、成長により美しさが輝いてきた。まさに磨かれたように。しかし、どこかしら幼さも残っており、それがなかったら拓海と気づかなかった。
 拓海も明日香に気付き、驚きに目を開いている。
 沈黙が流れる。
 頭の中に飛び込んできた情報と感情が衝突しあって事故を起こしてフリーズする。
「・・・入っていいですか?」
 拓海の言葉にようやく脳が動き出す。
 客にそんなことを合わせてしまうだなんて接客業として最低だ。
「いらっしゃいませ。どうぞ」
 明日香は、拓海を招き入れ、真ん中のセットチェアに促す。
 拓海が座るとチェアが少し軋む。
 あーやはり大きくなったのだと、妙な感慨に耽る。
「今日はどんな髪型に?」
「決めてないですけど、とりあえず短く。眉毛もお願いします」
「結べなくなるけどいいの?」
「放っておいたらこうなっただけです。拘りないからバッサリいっちゃってください」
 何か違和感を感じていたのだが理由が分かった。
 敬語だ。
 明日香の記憶の中にある拓海は、いつもタメ口で変に大人ぶろうとしていた。実際には中学生の男の子そのままだったけど。
 思い出してくすりっと笑う。
 それに気づいたのか、鏡越しに怪訝な表情を浮かべてこちらを見てくる。
「あーっごめんなさい。拓海くん・・・だよね?」
「・・・覚えていてくれたんですね」
 拓海も明日香だと気づいていたようだ。
「そっちも覚えていてくれたんだね」
 覚えていたというより思い出したが正解なんだけど、気分を害すだろうから言わずに、にっこりと微笑んだ。
 拓海は、嬉しそうに頬を緩める。
 そういうところは変わらない。可愛い。
 そして鋏を髪に入れる。
 昔触れた時は子どもっぽさを残した柔らかい髪質だったのに今は身体と同じくらい太く逞しい。
「今日はどうしてここに?まさか私に会いに来たわけじゃないよね?」
 悪戯っぽい笑みを浮かべて聞く。「そうですよ」答えてくれるのを1ミリ程期待して。 
 しかし、拓海の返答は「たまたま見つけた店に入っただけですよ」という、ごくありふれたつまらないものだった。
 もうすぐ大学を卒業し、警察学校に入学する。写真を送らないといけないので美容室を探していて、たまたま見つけたと言うのだ。
 理由としては分かるが1つ腑に落ちないことがある。
「なんでこの町まで来たの?近所で探せばいいじゃない?」
 拓海の住んでる町とここでは電車30分の距離だ。それこそ通っていたお母さんと通っていたあの美容室もあるのに、なんでわざわざこの町に?
 そう聞くと拓海は、照れ臭そうに頬を掻く。
「1ヶ月前から彼女と同棲を始めたんだ」
 その言葉は、なぜか胸の奥に小さな棘となって刺さった。
 同じ大学の1つ歳下の子で学部は、違うけど学食などで話しをらしていくうちに意気投合して交際、もうすぐ拓海が卒業するのでそれを機に同棲を開始したのだそうだ。
 美容院に行くように勧めたのも彼女だそうだ。
「高校3年間ずっと坊主だったからね。自分で剃ってたし、長くしてからはよっぽど鬱陶しくなったら自分で切ってた。その話しを彼女にしたら唖然とされてさ。もうすぐ社会人なんだから身だしなみにも意識持ちなさいって怒られた.警察学校卒業しないと社会人も何もないのにさ」
 そう言って苦笑する。
 いつも間にか敬語からタメ口になっていたが、そちらの方が気楽なので気にならなかった。
「いい彼女じゃない」
 明日香は、口元に小さく笑みを浮かべる。
 てか、あれから自分で剃ってたんだ。しかも自分で切ってたって・・・道理で下手くそな切り口と思った。
 そして1つのことに思い至る。
 彼の髪を切った美容師は、この世界で私だけなのだ、と。
 そう気づいた途端、頬が猛烈に熱くなった。
 年甲斐もなく何照れてんのよバカ!
「そっちは?」
 拓海が鏡越しに覗いてくる。
「えっ?」
「だから明日香さんは何してたの?」
「私?」
 鋏を持った手で自分の顔を指差す。
「母さんから辞めたなんて話し聞いてなかったから、ここで会ってマジびっくりしたんだけど」
 そうなんだ。店長言ってなかったんだ。と、思ったけど働いていた美容院は支店を幾つも持つフランチャイズだ。いちいち美容師が辞めたことなんて告げないだろう。
「結婚して辞めたのよ。ここは旦那と2人で開業したの。一軒家をリフォームしたから狭いけど悪くないでしょ?」
 そう言われて拓海は、ようやく店の内装に気づいたようだ。白地の木目調のログハウスを意識した作り、壁には季節を意識したブリザードフラワーを飾り、天井からは木のブランコに止まる色鮮やかな鳥のオブジェを吊るしている。少しでも日常から離れてリラックス出来る様と意識して作った。
「確かに悪くない」
 そのまんま返すのではなく、もう少し言い方があるだろうと思ったが、これが彼なりの褒め言葉なのだろうと思うことにした。
「子どもも1人いるわよ。今、小学1年生なの」
「男の子?」
「女の子よ」
「だと思った」
 どう言う意味?
 その疑問が表情に出てたのか、拓海は口元に皮肉っぽい笑みを浮かべる。
「だって明日香さんが男の子生むイメージないもん」
 そう言われてみれば友達に子どもの性別報告した時もみんなからやっぱりと言われたなと気付く。
「なんだ、男なら剣道教えてやろうと思ったのに」
「あら、女の子だって剣道やるわよ。うちの子、男勝りだから興味あるかも」
「そうなんだ。で、旦那さんは?」
「えっ?」
「だって一緒に働いてるんだろ?」
 その途端に明日香は、黙ってしまう。
 鋏の手は止めないが顔を俯かせる。
「今、ちょっと遠くに買い出しにいってるの」
 嘘ではない。実際にそう言って家を出たのだから。
「そうなんだ」
 その言葉だけで何かを察したようでそれ以上質問してくることはなかった。
 それから2人は無言になる。
 沈黙の中、鋏のリズミカルな音だけが響いた。シャンプーをし、眉毛を整え、マッサージをする。
 そして出来上がりを正面の鏡、そして後頭部を手持ちの大きな髪で確認してもらう。
 髪質は逞しくなったが綺麗に切り添えて、すいてあげると昔の柔らかい質感を取り戻し、流れるように纏まる。少し癖はあるが逆にパーマをかけたようで良い。雲泥のように短くなったが本来の彼は短い方が良く似合っている。
 自分の変貌に拓海は、鏡越しに驚いた表情をしている。
「これオレ?」
「男前が増したわね」
「・・・ありがとう」
 拓海は、照れて顔を染めながらお礼を言う。
 こう言うところは変わらない。
「彼女も惚れ直すんじゃない?」
「・・・だといいけどね」
 拓海は、鏡を見ながら小さく呟くのを見て思わず微笑む。
 そして昔、彼が挨拶がわりに言っていた言葉を思い出し、悪戯心で口に出した。
「結婚しないの?」
 えっ?
 拓海は、指を火で炙られたようにびくっと身体を震わせ、バネ人形のように首を明日香に向ける。
 そんな反応するとは思わなかったので明日香は、狼狽する。
「いや、彼女とよ。結婚しないの?」
 慌てて否定するように明日香は言う。
 何を動揺しているのだろう。
「あっあーそう言うこと」
 拓海は、納得したように乗り出しかけた身を戻す。なぜか落ち込んでいるように見えた。
「するよ。結婚」
 胸の奥に刺さった棘が針に変わる。
「俺が警察学校卒業して、あっちが大学卒業したらね。もうお互いの両親にも挨拶してるんだ」
「あら早いこと」
 道具を片付けながら答える。
 動揺を誤魔化すように。
「何せ大失恋しましたからね」
 大失恋・・・。
 その言葉に道具を片づける手を止める。
「ねえ、あれってやっぱり本気だったの?」
 その言葉に今度は拓海の表情が張り詰める。
 その目には微かに怒りがこもっているように感じた。
「分かってたから振ったんじゃないの?」
 そう分かってた。だからこそ振ったのだ。
    15歳の彼のために。
「本気だったに決まってるだろ!15歳の多感な少年舐めるなよ」
「そう・・・なんだ」
 そうとしか答えることが出来なかった。
 もしあの時、彼の言葉を受け止めて、悩んで、悩んで、悩み続けたとしても出す答えはどう考えても1つしかなかったのだから。
 目の前を影が落ちる。
 顔を上げるといつも間にか拓海が立っていた。 
 見上げるほどに変化した身長差、服越しにも分かる鍛え上げられた胸の厚さ、そして整った顔に熱の籠った双眸。
 明日香は、蛇に睨まれたように動くことが出来なくなった。
「今だからいい?」
 明日香の顎に手をかける。
「・・・結婚するんでしょ?」
 明日香の声が震える。
 これから起きることを想像して。
「だから最後に。初恋に踏ん切りをつけさせて」
 真剣な、熱すぎる目。
 否定しないといけない、いけないのに・・・。
 出来ない。
 2人は、静かに唇を重ねた。
 長いキスを。
 開いた窓から入ってくる潮の甘い匂いが部屋の中に広がっていく。
 唇を離す。
 2人とも目を重ねたまま離さない。
 拓海は、財布と取り出すと一万円をカウンターの上に置く。
「さようなら」  
 そう言って店から出て行く。
 明日香は、唇に手を触れたまま拓海の出て行ったドアを見つめた。
 それからも拓海は、客として店に来るがあの日以降何もなかった。
 明日香も普通のお客の1人として拓海と接した。
 そして拓海は、警察学校を卒業すると同時に警察官になる。彼女が大学を卒業すると同時に結婚し、翌年に男の子を設けた。
 明日香は、旦那と離婚。子どもの親権と家と店をもらい、そのまま美容師として働き続けた。
 2人は、いつまでも美容師と客であった。

 明日香 59歳 拓海 45歳

「結婚したね」
「結婚したな」
 拓海は、セットチェアの上にどかっと座る。
 大分古くなってきたチェアは、それでも大人の男性が深く、崩れて座っても軋むことはなかった。
 拓海は、ネクタイを緩め、首のボタンを外す。
「スーツに皺よるよ」
 明日香は、眉根を寄せる。
 その顔には時が刻んだ小さな年輪が彫り込まれている。しかし、美しさはまったく損なわれていない。初めて会った日、初恋の日そのままだ。
 拓海は、思わず笑ってしまう。
「何笑ってんのよ?」
「そっちこそ」
 明日香も口元に笑みを浮かべていた。
 明日香は、手に持っていた冷えた缶ビールを拓海に渡すと自分もセットチェアに座る。
 今日の2人は美容師と客ではない。
 缶ビールのプルトップを開けると2人は小さく「乾杯」と言って口に付ける。
 思えば長い付き合いになるのにビールを2人で飲んだのは今日が初めてだ。
「なんでスーツなんて着てきたの?どうせ着替えるのに?」
「社会人になってから制服かスーツがほとんどだったからな。フォーマルな場所だとスーツじゃないと落ち着かないんだ」
「わあ社畜」
 明日香は、呆れたように呟き、ビールに口を付ける。
「そっちこそせっかくの晴れ舞台にその格好はないだろう?」
 明日香は、薄い紫のパーカーにジーンズを履いていた。美容師というファッションの先達のような仕事をしているから仕事中の服装はとても洒落てるのに今日はあまりにラフ過ぎる。しかもこの格好で式場に来たのだ。
「だってあっちじゃ恐ろしく動きにくい格好で何時間も過ごすのよ。行き帰りぐらいラフな格好じゃないと死んじゃうわ」
「大袈裟だな」
 若い頃はそれこそ1日以上固い制服で過ごしたこともある拓海にしたら理解出来ない感覚だ。
「自営は気楽でいいな」
「自営の大変さが分かってから言ってね社畜さん」
 そう言ってお互い笑い合い、ビールを飲む。
「それにしても」
 拓海は、天井を見上げる。
 ここに初めて来た時からぶら下がっているブランコに乗った鮮やかな鳥のオブジェも時に浸り、色褪せてきている。
「結婚したなあ」
 明日香も天井を見上げる。
「結婚したねえ」
 2人は、頬を緩ませる。
 そして同時に言葉に出す。
「「あの2人」」

 今日という日に拓海と明日香の子どもが結婚した。
 
 結婚してからも拓海は、この町に住み続けた。
 離婚してからも明日香はこの町で、この場所で美容室を続けた。
 子どもが生まれ、仕事で転勤を繰り返しながらも拓海は、明日香の美容室に通い続けた。
 仕事と子育てを両立し、時に叫びたく、投げ出したくなりながらも明日香はこの町で美容室を続け、拓海の髪を切り続けた。
 しかし、それだけ。
 2人の関係は美容師と客。
 それ以上でもそれ以下でもなかった。
 そして2人はその関係で良いと思っていた。
 その関係に変化が生じたのは拓海の子どもが10歳の時だった。
 拓海の奥さんが病気で亡くなった。
 明日香がそれを知ったのは奥さんが亡くなってから2ヶ月ほどしてからだった。
 久々に訪れた拓海は、恐ろしく窶れ、髪は醜く膨らみ、酷く痛んでいた。
 明日香は、何も言わずに髪を洗い、髪を切り、ずっとやっていなかったヘッドスパを行った。
 ヘッドスパをしている時、濡れないように顔を覆う紙が濡れていった。
 泣いていると気づいたが明日香は何も言わず、ヘッドスパを続けた。
「妻が亡くなったんだ」
 拓海は、短く告げた。
 その後は、ヘッドスパが終わるまで。顔を覆う紙が外れるまでずっと泣き続けた。
「今度からは子ども連れて髪切りに来なさい」
 髪を切り終えて帰る拓海の背中に明日香は、そう呼びかけた。
 拓海は、振り返らずに去っていった。
 もう来ないのでは?
 明日香の心に不安が過ぎった。
 しかし、翌月、拓海は子どもを連れて来店した。
 友人も頼れる親族もいないこの町で話せるのは互いに1人だけ。関係こそ美容師と客のままだが2人の心は以前よりも繋がったように感じた。
 緊張し、不安そうに俯く拓海の子どもに明日香は、優しく声をかけた。しかし、緊張は中々解れることはなかった。無理もない。母親を亡くしたばかりの子どもに年の離れすぎたおばちゃんが声を掛けても心など開かないだろう。
 拓海も不安そうに息子を見ていた。
 それでも明日香は、めげずに髪を切り終えた後にお菓子を上げたり、男世帯の2人のために日持ちするおかずを持たせたりした。同じシングルでもやはり女世帯はこういうことには強い。拓海は、ありがとうと受け取り、次に来る時には手土産に少し良いところのお菓子を持ってきた。
 息子は、「ありがとう」というもののやはり心は開いてくれなかった。
 そんな事がしばらく続いた後、高校を卒業した明日香の娘が美容師の専門学校に入学したのを機に店でバイトを始めた。
 おばさんが話しかけるよりは良いかもしれないと思い、事情を話して、娘に拓海の子どもの相手をさせた。流石に髪を切らせるわけにはいかないのでシャンプーと父親が終わるまでの話し相手だ。
 変化が起きたのはすぐだった。
 今まで不安げに、「はいっ」「ありがとう」しか言わなかった息子が娘に話し始めたのだ。
 今日、学校で会ったこと、流行りのゲームのこと、お父さんのご飯も美味しいけど、おばちゃんのご飯も美味しくて嬉しいこと等色々と話してくれたと娘は明日香に告げた。
 おばちゃんのご飯が美味しいと言われた時は不覚にも泣きそうになった。
 そして今まで誰にも言うことの出来なかった母親のことも話してくれたそうだ。
 母親が亡くなったことが現実として受け入れることが出来なかった。
 ドアが開く度にお母さんが帰ってきたと思った。
 台所に立つ父親を見て何度、お母さんと言い掛けたか分からなかった。
 夜寝るとお母さんが来てくれるのではないか、頭を撫でてくれるのではないか・・。
 そんなことを毎朝、毎夜考えていた。
 でも、いつまでもこれじゃいけない。
 整理を付けないといけない。
 いつまでも悲しんでいてはお母さんも悲しい。
 だから必死に忘れようと思った。
 しかし、忘れられない。
 どうしたらいいのかわからないと泣きながら娘に訴えたそうだ。
 娘は、息子を優しく抱きしめて頭を撫でた。
 それしか出来なかった。
 その話しを聞いて明日香も泣いた。拓海に告げるとそんな辛い思いをさせていたのか、と泣き続け、息子とゆっくり話しをしたそうだ。
 それから息子の表情は変わった。
 明るく、娘に対してはもちろんのこと明日香に対してもたくさん話しをするようになり、いつもご飯ありがとう。今度はアレが食べたい等、リクエストしてくれるようになった。 
 明日香も、拓海も息子の嬉しい変化に喜んだ。
 それからしばらくして息子が明日香の娘に驚くことを言い始めたのだ。
「結婚しないの?」

「DNAって恐ろしいわよね」
 今でもあの時の拓海の息子が娘に放った台詞を思い出す度に心臓が弾けそうになる。
「まったくだ」
 拓海も頷く。
 恐らく拓海の心臓も同じように高鳴ったことだろう。いや、同じことをした父親としては動揺、羞恥、情景など様々な感情が湧いてきたことだろう。
「結果は違ったけどな」
 明日香は、拓海の言葉を冗談と、心の成長しきれてない子どもの一時的感情の昂まりのようなものと軽く捉えていた。しかし、明日香の娘は違った。拓海の息子の言うことを真摯に受け止めたのだ。
 そして受け止めた上でこう言った。
「結婚するかはまだ分からない。今は美容師を目指すことで精一杯だから.だからその台詞は貴方が18歳になった時にもう一度私に聞いてみて。どう答えるかは貴方次第よ」
 明日香の娘は、拓海の中にある自分への恋心が本物であると理解した。理解した上で聞いたのだ。
 ずっと自分を思い続けることが出来るのかと。
 拓海の息子は、びっくりした表情を浮かべ、そして真剣に頷いたのだ。
 そして8年後、息子はもう一度聞いた。
「結婚しないの?」
 明日香の娘は、にっこり微笑んだ。
「結婚相手は貴方でいいのかな?」
 息子は、輝くような笑みを浮かべてうんっと頷いた。
 そして4年間の交際、息子が大学を卒業すると同時に2人は結婚式を挙げたのだ。

「娘に聞いたのね。なんで18歳になったらもう一度聞いてっていったの?って」
 その時、明日香の娘はそれこそ18歳、出会いなんて幾らでもある。なのに何でそんな約束をしたのか?もし、好きな人が出来て、その人と結婚なんてしたら拓海の息子は大きな傷を負うことなる。それが、分かっているのか、と。
 明日香は、自分の経験を織り混ぜて尋ねた。親子二代で同じ親子を振るなんて笑えないどころか残酷だ。
 しかし、娘はあっけらかんと答えた。
 彼以外に考えられないと。
 むしろ彼に今後、自分以外に好きな人が現れるんじゃないかって考える方がが不安だと言ったのだ。
「あの子ショタコンだったのかな?って本気で不安になったわ」
「違うんだろ?」
 拓海も今の発言に一抹の不安を覚える。
 明日香は、頷く。
「この子と私は一緒なんだって思ったんだって」
 自分は父親に捨てられて、彼は母親に先立たれて、理由は違うが望まぬ形で2人は片親を失った。
 彼が吐露した悲しみ、痛み、絶望は同時に自分の感じた悲しみ、痛み、絶望だった。
 彼と一緒に歩めるのは自分しかいない。そして私と一緒に歩めるのも彼しかいない。そう感じたのだそうだ。
「そういえばあいつもそんなこと言ってたな」
 結婚式前日、親子で酒を飲みながら聞いた。
 なぜ、彼女を選んだのか?と。
「俺と歩めるのは彼女しかいない。彼女と歩めるのも俺しかいないからだよ」
 ただの惚気だと思っていたらそんな意味があったとは・・・。
「子どもって・・・凄いな」
 いや、子どもではなくあの2人が凄いのか・・・。
 俺は、この人と結局結ばれることはなかったのだから。
 後悔はない。俺はあいつと出会い、結ばれて自慢の息子を得ることが出来たのだから。
 その愛は疑われるものでは決してない。
 オレは、間違いなくあいつを愛していた。いや、愛している。今でも、ずっと。
 でも・・・じゃあこの感情はなんだ。
 胸の締め付けられ、苦しくて、でも心地よい、この懐かしい感情は?
 明日香は、拓海に見つめられていることに気づき、怪訝な表情を浮かべる。
「どうしたの?」
 明日香に見つめ返され、拓海は思わず目を反らし、ビールを飲んで誤魔化す。 
「変な人」
 そういって自分もビールを飲む。
 拓海は、横目で明日香の顔を見る。
 綺麗だな。
 歳を重ねたことによる年輪はあるが、初めて出会った時から何も変わらない。
 初恋の時のままだ。
 そう初恋の・・・。
「結婚しないの?」
「えっ?」
 明日香は、驚いてビールから口を離し、拓海を見る。
 拓海は、真剣な目で明日香を見つめる。
 それは恋焦がれる男の目だった。
 拓海は、もう一度言う。
「結婚しないの?」
 明日香は、ふうっと息を吐き、小さく笑う。
「しません」
 口元に笑みは浮かべるも、はっきりした口調で告げる。
 予想通りの返答。
 なぜ、分かっているのに聞いてしまったのだろう?
 しかし、その後に返ってきた言葉は、予想もしないものだった。
「私の子どもと貴方の子どもが結婚したのよ。それなのに私たちが結婚出来ると思う?」
 拓海は、驚いて目を見開く。
 つまり、それはあの2人が結婚してなかったら出来たということ?
「じゃ・・・じゃあ」
 拓海の声は、震える。
 仕事でチンピラを相手にする時だってこんなには震えない。
「一緒に暮らすのはどうだろう?」
「えっ?」
 今度は、明日香が驚いた顔をする。
 拓海は、呼吸を整え、心を鎮まらせる。
 心音がゆっくりになったのを確認し、告げる。
「別に結ばれなくてもいい。愛じゃなくてもいい。ただ一緒にいたい。いて欲しい」
「・・・なんで?」
 明日香の声も震えている。
 いや、怯えている。
 拓海から返ってくる言葉に。
 もしその言葉が明日香の望む言葉なら、捕まってしまう。2度と逃げれなくなる。
 拓海は、唾を飲み込み、意を決する。
「オレは、ずっと貴方に恋焦がれるから」
 そうこれは愛ではない。
 結ばれる愛、切れない愛は、世代を超えて自分達の子どもが叶えてくれた。
 だからオレが抱くのは恋、幼い頃から焼かれ、燻りながらも熱をずっと持ち続けた恋なのだ。
 明日香の目から一筋の涙が流れる。
 綺麗だ、と思った。
「・・・いいわよ」
 この時、拓海の心臓が高らかに音を奏でた。
 目から涙がら溢れ出す。
「いつまで続くか分からないけど・・・一緒に暮らしましょう」
 そう言って微笑を浮かべる。
 拓海も微笑を浮かべる。
 拓海は、ゆっくり明日香に近寄ると、その肩にそっと手を置く。
 そして尋ねる。
「結婚しないの?」
 涙に揺れた顔で悪戯っぽく笑う。
 明日香も涙に濡れた顔で悪戯っぽく笑う。
「しません」
 長く止まっていた時の針がようやく動き出す。

                        
                  了


 
 
 
 


 
 

    
 


しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結・BL】胃袋と掴まれただけでなく、心も身体も掴まれそうなんだが!?【弁当屋×サラリーマン】

彩華
BL
 俺の名前は水野圭。年は25。 自慢じゃないが、年齢=彼女いない歴。まだ魔法使いになるまでには、余裕がある年。人並の人生を歩んでいるが、これといった楽しみが無い。ただ食べることは好きなので、せめて夕食くらいは……と美味しい弁当を買ったりしているつもりだが!(結局弁当なのかというのは、お愛嬌ということで) だがそんなある日。いつものスーパーで弁当を買えなかった俺はワンチャンいつもと違う店に寄ってみたが……────。 凄い! 美味そうな弁当が並んでいる!  凄い! 店員もイケメン! と、実は穴場? な店を見つけたわけで。 (今度からこの店で弁当を買おう) 浮かれていた俺は、夕飯は美味い弁当を食べれてハッピ~! な日々。店員さんにも顔を覚えられ、名前を聞かれ……? 「胃袋掴みたいなぁ」 その一言が、どんな意味があったなんて、俺は知る由もなかった。 ****** そんな感じの健全なBLを緩く、短く出来ればいいなと思っています お気軽にコメント頂けると嬉しいです ■表紙お借りしました

『 ゆりかご 』  ◉諸事情で非公開予定ですが読んでくださる方がいらっしゃるのでもう少しこのままにしておきます。

設樂理沙
ライト文芸
皆さま、ご訪問いただきありがとうございます。 最初2/10に非公開の予告文を書いていたのですが読んで くださる方が増えましたので2/20頃に変更しました。 古い作品ですが、有難いことです。😇       - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - " 揺り篭 " 不倫の後で 2016.02.26 連載開始 の加筆修正有版になります。 2022.7.30 再掲載          ・・・・・・・・・・・  夫の不倫で、信頼もプライドも根こそぎ奪われてしまった・・  その後で私に残されたものは・・。            ・・・・・・・・・・ 💛イラストはAI生成画像自作  

妻への最後の手紙

中七七三
ライト文芸
生きることに疲れた夫が妻へ送った最後の手紙の話。

蛍地獄奇譚

玉楼二千佳
ライト文芸
地獄の門番が何者かに襲われ、妖怪達が人間界に解き放たれた。閻魔大王は、我が次男蛍を人間界に下界させ、蛍は三吉をお供に調査を開始する。蛍は絢詩野学園の生徒として、潜伏する。そこで、人間の少女なずなと出逢う。 蛍となずな。決して出逢うことのなかった二人が出逢った時、運命の歯車は動き始める…。 *表紙のイラストは鯛飯好様から頂きました。 著作権は鯛飯好様にあります。無断転載厳禁

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

好きな人がいるならちゃんと言ってよ

しがと
恋愛
高校1年生から好きだった彼に毎日のようにアピールして、2年の夏にようやく交際を始めることができた。それなのに、彼は私ではない女性が好きみたいで……。 彼目線と彼女目線の両方で話が進みます。*全4話

僕は君を思うと吐き気がする

月山 歩
恋愛
貧乏侯爵家だった私は、お金持ちの夫が亡くなると、次はその弟をあてがわれた。私は、母の生活の支援もしてもらいたいから、拒否できない。今度こそ、新しい夫に愛されてみたいけど、彼は、私を思うと吐き気がするそうです。再び白い結婚が始まった。

処理中です...