看取り人

織部

文字の大きさ
上 下
55 / 56
看取り落語

看取り落語(17)

しおりを挟む
 ここは、飛行島です・・・たぶん。

 私たちは、小ピラミッドの中に入り、赤い魔方陣でダンジョンに転移しました。

 二人は快進撃を続けて、第一エリアのゴブリン、第二エリアのスライム、第三エリアの角ウサギを全て倒し、この階層をクリアしました。
 私の援護は必要ありませんでした。

 二人共、最初はぎこちない動きでしたが、次第に上達しました。そしてうまく連携して魔物を倒せるようになりました。

友絵 「楽勝だったね」
真美 「友絵さん、それフラグですよ」
友絵 「しまった」

アンナ「この階層は、ゲームで言えば初級またはチュートリアルです。
    次からが本番です」
二人 「はい」

 エリアの奥に、赤と白い魔方陣が現れます。
 私たちは、赤い魔法陣に入ります。

     *

 私たちは次の階層に転移しました。

アンナ「通路を抜けると魔物が複数います。
    攻撃を集中して、数を減らしてください」
二人 「はい」

 この階層では、わたしも積極的に攻撃します。
 第一エリアのオーク、第二エリアの魔狼、第三エリアのオーガ全てを倒し、この階層もクリアしました。
 
友絵 「難易度上がったね」
真美 「はい。敵が強いです」

 二人には、まだ少しだけ余裕がありますが、次の階層が厳しくなりそうです。

 わたしは、二人に魔法をかけました。

アンナ「ヒール・・・身体強化」

 二人の疲労を回復して、身体能力と思考能力を強化しました。

友絵 「体が軽い」
真美 「はい。それに頭がすっきりしました」

アンナ「腕輪の魔道具を貸してください」

 わたしは、二人から魔道具を受け取り、魔力を注入します。
 そして攻撃魔法のリミッターを解除しました。

アンナ「腕輪をつけてください」
友絵 「なにをしたの?」
アンナ「リミッターを解除しました。攻撃力が3倍になります」
友絵 「ほんとに」
真美 「すごい」
アンナ「ですが、油断はしないでください」
二人 「はい」

 私たちは、赤い魔方陣に入ります。

     *

 私たちは次の階層に転移しました。

アンナ「次のエリアにいるのは、一体だけです。
    つまり、それは強いと言うことです。
    三人で取り囲んで攻撃します」
二人 「はい」

 第一エリアのキメラ、第二エリアのミノタウロスを倒しました。

真美 「攻撃力もすごいけど、それ以上に集中力がすごい」
友絵 「これ、ゾーンだよね。受験や試合で使いたかった」
真美 「友絵さん、それはチートです」

     *

 私たちは第三エリアに入ります。

 ここは広いです。東京ドームと同じくらいの広さです。
 周囲には松明ではなく、かがり火が設置されています。
 中央に、黒いドラゴンがいます。
 頭部には大きな二本の角。四本足で、翼があります。尻尾も含めると全長15mです。

 戦闘が始まりました。

アンナ「最初は、攻撃よりも回避に専念してください」
二人 「はい」

 ドラゴンの攻撃は、口から出る火球、角で突進、前足の振り下ろし、尻尾の薙ぎ払いです。

 私たちは、ドラゴンの攻撃を見切りながら、少しずつ魔法攻撃の手数てかずを増やします。
 ドラゴンに一定ダメージを与えるとその部位が点滅します。ダメージは蓄積しているはずですが、魔法耐性が強いようです。

友絵 「攻撃は当たっているはずなのに・・・」
真美 「さすがにドラゴンは強いですね」

 戦闘開始から、10分経過しました。
 二人の体力と集中力が心配です。それとマオのことも。
 
 魔法耐性があるなら、物理攻撃で勝負です。
 
 わたしはアイテムボックスから、中二武器の魔導レールガンを出しました。
 以前に遊びで作った黒歴史の遺物です。
 見た目は携行式の対戦車ミサイルに似ています。クロモリ徹甲弾は装填済みです。

 狙いを付けながら、魔力を高圧縮します。
 ドラゴンがこちらの動きに気付きました。
 口を大きく開けて、ドラゴンブレスを撃つつもりです。

 そうはさせません。魔力が臨界に達しました。

アンナ「発射」

 ドーン。

 命中しました。ドラゴンが光に包まれます。
 そして光が霧散、ドラゴンは消滅しました。

友絵 「勝ったー」
真美 「よかった」

 わたしはドラゴンが消滅したところに向かい、魔石を回収します。
 大きさ15cmの魔石です。二人が、わたしのところに走ってきました。

友絵 「勝ったね」
アンナ「はい。お怪我ありませんか」
真美 「大丈夫よ」
友絵 「あたしも。」
真美 「あれ、何かしら?」

 中央の床が虹色に光っています。虹色の魔法陣が現れました。
 この魔力反応は召喚魔法です。

アンナ「何かが召喚されてきます。注意してください。」

 黒い箱のようなものが召喚されました。

友絵 「宝箱かな」

 そうだといいのですが・・・

 私たちは黒い箱に近づきました。箱の色は真っ黒です。光の反射がありません。
 大きさは、人が入るくらいの大きさです。
 わたしは、魔法で鑑定しました。中身はわかりませんが、魔力吸収型の結界で出来ていることはわかりました。

 黒い箱の中身が気になりますが、開けても大丈夫でしょうか。

マオ 「ミュー、ミュー・・・」

 すっかりマオのことを忘れていました。

アンナ「ごめんなさい。お腹が空きましたよね」
友絵 「あたしも、お腹ペコペコ」
真美 「私も」
アンナ「箱の件は保留にして、夕食にしませんか」
真美 「そうしましょう。」
友絵 「うん」

 わたしは、二人の身体強化の魔法を解除します。
 そして、近くに現れた白い魔法陣に三人で入りました。



 戻って夕食にしましょう。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

独身寮のふるさとごはん まかないさんの美味しい献立

水縞しま
ライト文芸
旧題:独身寮のまかないさん ~おいしい故郷の味こしらえます~ 第7回ライト文芸大賞【料理・グルメ賞】作品です。 ◇◇◇◇ 飛騨高山に本社を置く株式会社ワカミヤの独身寮『杉野館』。まかない担当として働く有村千影(ありむらちかげ)は、決まった予算の中で献立を考え、食材を調達し、調理してと日々奮闘していた。そんなある日、社員のひとりが失恋して落ち込んでしまう。食欲もないらしい。千影は彼の出身地、富山の郷土料理「ほたるいかの酢味噌和え」をこしらえて励まそうとする。 仕事に追われる社員には、熱々がおいしい「味噌煮込みうどん(愛知)」。 退職しようか思い悩む社員には、じんわりと出汁が沁みる「聖護院かぶと鯛の煮物(京都)」。 他にも飛騨高山の「赤かぶ漬け」「みだらしだんご」、大阪の「モダン焼き」など、故郷の味が盛りだくさん。 おいしい故郷の味に励まされたり、癒されたり、背中を押されたりするお話です。 

とある高校の淫らで背徳的な日常

神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。 クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。 後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。 ノクターンとかにもある お気に入りをしてくれると喜ぶ。 感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。 してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

ヤマネ姫の幸福論

ふくろう
青春
秋の長野行き中央本線、特急あずさの座席に座る一組の男女。 一見、恋人同士に見えるが、これが最初で最後の二人の旅行になるかもしれない。 彼らは霧ヶ峰高原に、「森の妖精」と呼ばれる小動物の棲み家を訪ね、夢のように楽しい二日間を過ごす。 しかし、運命の時は、刻一刻と迫っていた。 主人公達の恋の行方、霧ヶ峰の生き物のお話に添えて、世界中で愛されてきた好編「幸福論」を交え、お読みいただける方に、少しでも清々しく、優しい気持ちになっていただけますよう、精一杯、書いてます! どうぞ、よろしくお願いいたします!

全力でおせっかいさせていただきます。―私はツンで美形な先輩の食事係―

入海月子
青春
佐伯優は高校1年生。カメラが趣味。ある日、高校の屋上で出会った超美形の先輩、久住遥斗にモデルになってもらうかわりに、彼の昼食を用意する約束をした。 遥斗はなぜか学校に住みついていて、衣食は女生徒からもらったものでまかなっていた。その報酬とは遥斗に抱いてもらえるというもの。 本当なの?遥斗が気になって仕方ない優は――。 優が薄幸の遥斗を笑顔にしようと頑張る話です。

こども病院の日常

moa
キャラ文芸
ここの病院は、こども病院です。 18歳以下の子供が通う病院、 診療科はたくさんあります。 内科、外科、耳鼻科、歯科、皮膚科etc… ただただ医者目線で色々な病気を治療していくだけの小説です。 恋愛要素などは一切ありません。 密着病院24時!的な感じです。 人物像などは表記していない為、読者様のご想像にお任せします。 ※泣く表現、痛い表現など嫌いな方は読むのをお控えください。 歯科以外の医療知識はそこまで詳しくないのですみませんがご了承ください。

処理中です...