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2巻
2-2
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「……レクス。さっき冒険者ギルドで受け取った回復薬の入った箱、出して」
誰もいない裏路地に来たところで、エレナは唐突にそう言った。レクスは言われた通り、魔法袋から回復薬五十本が入った箱を取り出す。
「何をするんですか?」
「それは見てればわかる……」
エレナはそう言うと、詠唱を開始した。
「我が望む……時空間よ、開け……『万能収納庫』」
すると、エレナの横にぽっかりと黒い穴が出現した。その穴に回復薬五十本が入った箱が吸い込まれ、穴は閉じていく。
レクスは驚いて尋ねる。
「エ、エレナ、今のは?」
「今のは『万能収納庫』っていうあらゆる物を収納できる魔法……でも、今の私じゃ二十キロが限界……」
エレナは俯きながら答えた。
「エレナ……それでしたら僕の作った袋が――」
あるじゃないですか、とレクスは言いかけた。レクスが作った魔法袋は特別なもので、ほぼ無限に物を入れることができる。しかし――
「た、試してみたかったの……! わ、悪い⁉」
エレナは拗ねたような口調で、頬を膨らませて言った。依頼を受ける際に言っていた試したいこととは、この魔法だったのだ。
「い、いえ……」
レクスはそんなエレナに押され、戸惑ったように呟いた。
「じゃ、じゃあ、改めてムゥーマに向かいましょうか」
レクスは強引に話を切り替え、エレナの手を引き、受付嬢から渡された地図を頼りにムゥーマへ出発するのだった。
「ここがムゥーマですか……」
レクスは目の前の古ぼけた建物を見て、そう呟いた。
あの後、受付嬢の地図を頼りに五十分ほど王都を歩き、ムゥーマにたどり着いた。途中、人込みに巻き込まれて動けなくなるなど災難もあったが、なんとかここまで来られた。
レクスはギギギと音を立てながらドアを開け、中へ入る。するとカウンターの方に、杖をつき、腰の曲がった老婆がいるのが目に入った。年齢は八十歳くらいだろうか。その後ろの棚には、大量の薬品が置かれている。
「いらっしゃい」
しわがれた声で言う老婆に、レクスは恐る恐る告げる。
「すみません、依頼で回復薬を届けに来たのですが……」
「ああ、依頼ね。じゃあ、こっちに置いておくれ」
老婆は、カウンターの横にある机を示す。
レクスがエレナを見ると、彼女はレクスの意図を汲み取って頷いた。
「我が望む……時空間よ、開け……『万能収納庫』」
エレナが唱えると、彼女の横にぽっかりと黒い穴が出現し、そこから回復薬五十本が入った箱が出てきた。
「あ、ありがとうねえ……」
老婆は驚いていた。
こうして依頼を終えたレクスは自分達のための薬を購入することにした。
「あ、後、すみません。回復薬と解毒薬、それと、麻痺薬を二十本ずつもらえませんか?」
「ああ……ちょっと待っておくれ」
老婆は薬品を入れる箱を用意し、そこに回復薬、解毒薬、麻痺薬を二十本ずつ詰め込んだ。
「全部で十万セルクだよ」
レクスは魔法袋から十万セルクを取り出し、カウンターに置いた。
「それから、こちらの依頼書にサインをお願いできますか?」
レクスは老婆に依頼書を見せた。
サインがなければ、依頼達成にならない。依頼が達成できなかった時は、違約金を払うことになるのだ。
「ああ、すまないねえ」
老婆はすっかり忘れていたようで、申し訳なさそうに言いカウンターで依頼書にサインした。
「ありがとうございます。それじゃあ行きましょう、エレナ」
レクスはそう言いながら、回復薬、解毒薬、麻痺薬が二十本ずつ入った箱を魔法袋に入れた。
そうしてレクスとエレナは、ムゥーマを後にしたのだった。
***
翌日――今日はシルリス学園の授業初日だ。
「行ってきます」
「「「「「「行ってらっしゃいませ、レクス君」」」」」」
六人のメイド達がレクスを送り出す。
「行ってらっしゃい、レクス……」
エレナは、メイド達と一緒にレクスを見送りに現れたが、その顔は寂しげだった。
「大丈夫ですよ、エレナ。授業が終わったらすぐに戻ってきますから。そしたら今日も冒険者ギルドに依頼を受けに行きましょう」
レクスはエレナを安心させるように抱擁した。と言っても、はたから見ればエレナの方が身長が少し高いので、レクスが甘えているようにしか見えないが。
そんな二人を見て、メイド達はニマニマしている。
「うん……!」
エレナは嬉しそうに頷いた。
「じゃあ、行ってきますね」
それからレクスはエレナを離すと、シルリス学園へ向かった。
「あら、奇遇ね」
レクスが学園へ向かう途中、一つ結びの金髪で気の強そうな赤い瞳の少女が声をかけてきた。エレナより身長がさらに高い。レクスはその少女に見覚えがあった。
(え~っと、確か昨日僕に話しかけてきた……う~ん、誰でしたっけ?)
レクスは自分のクラスに所属している人達の名前をほとんど覚えていなかった。もちろんフィオナのことも。
「すみません、お名前を聞いても?」
「フィオナよ! フィ・オ・ナ! あなた、同じクラスでしょう⁉ 昨日だってあなたに話しかけた! 覚えてないの⁉」
フィオナは一気にまくしたてると、ぜーぜーと荒い息を吐いた。
「……ああ、フィオナさんでしたか! すみません、話しかけられたことは覚えていたんですけど、名前を思い出せなくて」
レクスは申し訳なさそうに言った。
「はぁ……まあいいわ。一緒に学園まで行かない?」
「いいですよ」
レクスは微笑みながら了承した。
レクスとフィオナは一緒に歩き出した。すぐにフィオナが話しかけてくる。
「そういえば、あなたの得意な剣術とかってあるの? 私、こう見えても得意だから、いろんな剣術を知りたいの」
(剣術ですか……そもそも流派を知りませんし、答えようがありませんね。まあ、誤魔化しても仕方ありませんから、正直に答えましょう)
レクスはそこまで考えて口を開く。
「すみません、剣術を習ったことがないのでわからないです」
レクスは申し訳なさそうな表情を浮かべる。彼の言葉を聞いたフィオナは驚いた。魔法学園に入学できるくらいの実力を持っている生徒が剣術を習ったことがないのは、極めて珍しいからだ。
「そ、そう。じゃ、じゃあ、得意な魔法は?」
「……風魔法と水魔法ですね」
本当は『日常動作』スキルのおかげでほぼ全ての属性の魔法を使えるが、黙っておいた方がいいだろう。レクスはそう考え無難に返しておいた。
「そう……」
フィオナもびっくりして咄嗟に聞いただけだったので、それ以上会話が続くことはなく、沈黙が流れる。
そうこうしている内に、学園が見えてきた。
「おお、フィオナ様だ!」
「今日もお美しい……!」
フィオナの姿を見て、校門の周辺の生徒達がざわついた。騒ぎ声は、フィオナが校門に近づくにつれて大きくなっていく。
「――⁉」
レクスは背筋に悪寒が走ったのを感じた。
(なんか凄い鋭い視線を向けられているような……⁉)
レクスは周囲を見回し、そんなことを思った。その感覚はSクラスの教室に入った後もしばらく続いていた。
ウルハによる朝のホームルームが終わり、一時間目。教科は魔法の座学。新入生にとっての初授業となる。
「え~、これから三年間、Sクラスの魔法の座学を担当するコーディ・グウェインっす。よろしく頼むっす」
ボサボサのベビーグリーン――明るく薄い緑色――の髪に眼鏡をかけ白衣を着た若い男性――コーディが、頭をポリポリとかきながら自己紹介した。言い終わるとあくびを一つ。
それを見たSクラスの生徒達は皆思った。
――この先生、やる気あんのか、と。
「じゃあ、早速授業の方を進めていきたいと思うっす。教科書の八ページを開くっす」
コーディにそう言われて、レクスは机上に用意してあった『魔法学』の八ページを開く。
「まず、魔法を使う上で重要な要素の一つ、鍵言語について説明したいと思うっす」
そのページには鍵言語について書かれていた。鍵言語とは魔法を発動する時に唱える呪文のこと。発動する魔法のイメージを鮮明にするための言葉だ。
レクスは既にネスラ家の蔵書室で鍵言語について勉強済みだった。予習しておいて良かったと、レクスは内心安堵の息をついた。しかし、それも束の間。
「まず、最初に言っておくっすけど、鍵言語には公式があるっす。それを頭に入れておいてほしいっす」
(……え?)
レクスはコーディの言葉を聞いた瞬間、間抜けな声を漏らしそうになったが、なんとか堪えた。ここでそんなことをしたら、皆から一斉に見られ、注目の的となってしまう。それは避けたいと考えたのだ。
「じゃあ、そもそも鍵言語とは何か説明していきたいと思うっす――」
それ以降の内容はレクスの頭には入ってこなかった。というより、考え事をしていてボーッとしていた。
鍵言語はあくまで想像力を補うための、いわば補助の役割を果たすものであって、公式などはないはず。レクスが読んだ本にはそう書いてあった。
(……となると、あの本は一体?)
あの本――ネスラ家の屋敷に置いてあった本と、この教科書は大きく内容が違っている。
レクスの頭はこんがらかってしまうのだった。
終了のチャイムが鳴り、授業の終わりを告げた。
「さて、初日の授業としてはこんなもんすっね」
コーディはそう呟くと、教科書を閉じて、それを持ってSクラスの教室から出ていった。
生徒達は立ち上がり、仲のいい者同士で喋り始める。フィオナのもとにも多くの生徒達が集まり、授業の感想や次の授業についての話で盛り上がっている。
「はっ……もう授業は終わってたんですね」
レクスは教室がざわつき始めたことで、ようやく魔法の座学の授業が終わっていたことに気付いた。
次の授業は魔法の実践。入学試験の時に使った演習場で行うことになっている。
(魔法の実践ですか。皆さん、相当魔法を使えるんでしょうね……)
レクスは周囲にいる生徒達を見回し、はぁとため息をついた。その顔は不安げだ。
しばらくすると、生徒達が皆、演習場に向かうために教室を出始めた。
レクスもそれにならって席を立つと――
「ねえ、レクス。一緒に演習場まで行かない?」
フィオナが話しかけてきた。
「いいですよ」
レクスは頷き、了承した。
(それにしても、なぜフィオナさんは僕にばかり構うのでしょうか?)
皆から様をつけられて慕われているのに、わざわざ自分に構う理由が、レクスにはわからなかった。
(まあ、考えてもわかりませんし、聞くのは無粋ですね)
レクスはフィオナと共に演習場へ向かおうとする。
「ちょっと待って」
そこへ、後ろから聞き覚えのある声がした――
「さっきの魔法の授業どうだった?」
その後、演習場に向かっていると、フィオナはレクスにそう尋ねた。
「そうですね……鍵言語についてより深く知ることができたので、良かったと思います」
レクスの返答はなんとも曖昧なものだった。そもそも途中から授業そっちのけで考え事をしていたため、内容などほとんど頭に入っていなかったのだ。
「レクス……あなた、授業聞いてなかったでしょう?」
レクスが気まずそうな表情をしていたので、フィオナにばれてしまう。
「あはははは……」
レクスは苦笑いで誤魔化す。
「ったく……初日からそんなので大丈夫なの?」
呆れた様子でため息をつくフィオナは首を横に振る。
「それにしても、レクスに知り合いがいたなんて。ちょっとびっくりしたわ」
「そ、その言い方は酷くないですか?」
「冗談よ、冗談」
ふふっと笑いながらフィオナは言った。そして、レクスの横にいる先ほど話しかけてきた少年を見た。藍色がかった髪に黒の瞳の人懐っこそうな少年――リシャルトだ。
「知り合いっていうか、入学試験の日に話しかけただけなんだけどね。レクスは俺のこと、忘れてたっぽいし。昨日自己紹介もしたんだけど」
「あはは……」
レクスはまたもや誤魔化すように笑う。
このリシャルトという少年は、入学試験後にレクスの魔法を褒めちぎっていた。その際、レクスは彼のことをなんとなく苦手だなと思ったのだが、その理由は本人もよくわからない。
「っていうか、同じクラスだったなら昨日話しかけてくれれば良かったじゃないですか」
レクスは頬を膨らませてそう言った。
リシャルトが答える。
「……昨日はちょっと忙しくてね」
「そうですか」
何気ない会話をしつつ、レクス達は演習場へ向かった。
レクス達が演習場に着くと、思ったよりも多くの人がいた。人数が多いのでSクラス以外の生徒もいるようだ。フィオナの姿に気付いた生徒達は――
「フィオナ様よ!」
「ああ、今日も見目麗しい……」
などなど、憧憬の眼差しでフィオナを見つめる。レクスには相変わらず嫉妬の目が向けられていた。
生徒達がざわざわしている中、フィオナに向かって二人の少女が歩いてくる。
「よ、フィオナ」
フィオナに笑顔で手を振り、挨拶してきたのは、二人の少女の内の一人。茶髪のショートカットに少しつり上がった目、瞳の色は朱色だ。とてもボーイッシュな女の子である。
「あら、キャロルにルリ。あなた達も魔法の実践?」
「うん……」
フィオナの言葉に頷き答えたのは、ルリと呼ばれたもう一人の少女。真っ白な髪のショートボブにおっとりとした薄水色の瞳をしている。
「お前も大変だよなー」
茶髪の少女――キャロルが、フィオナに視線を向ける。周囲を見回しながらそう言った。
「うん。フィオナ、大変そう」
ルリが同意して頷いた。
フィオナはため息をつく。
「まあね……」
「ところで、フィオナ。そっちの子達は?」
キャロルはレクスの方を見ながら尋ねた。
「こっちの小さい子がレクスで、もう一人はリシャルトっていうの。まだ知り合ったばかりだけど」
「レクスにリシャルトね。オッケー、私はキャロル・ベネットよ」
「私はルリ・クルーガー。よろしく」
キャロルがレクスに向かって手を差し出して握手を求める。レクスはおずおずとその手を握った。
キャロルとルリ、フィオナは小さい頃からの幼馴染みであり、フィオナにとっては二人は、身分を気にせず気さくに話すことができる数少ない親友だった。
「レクスです。こちらこそよろしくお願いします」
「俺はリシャルト。よろしく~」
レクスとリシャルトは初対面のキャロルとルリに挨拶を返した。レクスは深々と一礼し、リシャルトは軽く会釈した。
「はーい、授業を始めるのです。皆集まってなのです」
そうこうしている内に、魔法の実践担当の先生が手を叩きながらやって来た。
生徒達はその指示に従い、先生のもとへ集まる。その先生は、レクスより一回り身長が小さい女性だった。
「私がこれから三年間、Sクラス、Aクラスの魔法の実践を担当させてもらう、ララ・オルティスなのです。よろしくなのです」
ララはそう言うと、両手で杖を持ちながらペコリと頭を下げた。
(SクラスとAクラス合同での授業なんですね)
レクスがそう考えているとララは続ける。
「さて、挨拶はこのくらいで……では、早速魔法の実践に移りたいと思うのです」
ララは軽く咳払いして、場を仕切り直した。
「我が願うは無なり……集まりて形を成せ……『生成』」
ララが詠唱すると、ララの魔力が集結し、少し離れた場所に複数の的が形成された。それらは規則正しく並んでおらず、動き回っている。
「皆さんにはこれらの的を魔法で撃ち抜いてもらうのです。一人三回撃って全員終わったら、先生に言いに来るのです」
ララはそう言いながら、あちこちに動く的を形成し続ける。
「四、五人のグループを作って早速開始するのです」
その後、生徒達はそれぞれ仲の良い者同士でグループを作っていった。レクスも早速誰かと組もうと思っていると――
「レクス。リシャルトも組みましょう」
隣にいたフィオナがそう提案してきた。フィオナのすぐ近くには先ほど知り合ったキャロルとルリがいる。
「い、いいんですか?」
レクスは驚いたような表情で尋ねた。
「もちろん大歓迎だ」
「うん……」
キャロルとルリが頷いて答える。
「ありがとうございます!」
レクスがお礼を言いながら頭を下げると、リシャルトまで礼を言う。
「ありがと~」
「リシャルトには言ってないんだけど……」
キャロルが呆れたように言った。だが、リシャルトはどこ吹く風だ。
「細かいことは気にしない」
「なんかやりづらいやつだな……」
キャロルもレクス同様、なんとなくリシャルトが苦手なようだ。
いずれにせよ、レクスはあぶれずに済んだ。
「大袈裟ね、レクスは。リシャルトくらい軽くていいのよ?」
安堵した様子のレクスを見て、フィオナはそう言いながらクスッと笑った。初めて自分達以外に気さくに話せる友人ができたフィオナを、微笑ましそうに見守るキャロルとルリ。
「さあ、行きましょうか」
フィオナの号令で、五人は他のグループがいない、動く的がある場所へ向かった。
誰もいない裏路地に来たところで、エレナは唐突にそう言った。レクスは言われた通り、魔法袋から回復薬五十本が入った箱を取り出す。
「何をするんですか?」
「それは見てればわかる……」
エレナはそう言うと、詠唱を開始した。
「我が望む……時空間よ、開け……『万能収納庫』」
すると、エレナの横にぽっかりと黒い穴が出現した。その穴に回復薬五十本が入った箱が吸い込まれ、穴は閉じていく。
レクスは驚いて尋ねる。
「エ、エレナ、今のは?」
「今のは『万能収納庫』っていうあらゆる物を収納できる魔法……でも、今の私じゃ二十キロが限界……」
エレナは俯きながら答えた。
「エレナ……それでしたら僕の作った袋が――」
あるじゃないですか、とレクスは言いかけた。レクスが作った魔法袋は特別なもので、ほぼ無限に物を入れることができる。しかし――
「た、試してみたかったの……! わ、悪い⁉」
エレナは拗ねたような口調で、頬を膨らませて言った。依頼を受ける際に言っていた試したいこととは、この魔法だったのだ。
「い、いえ……」
レクスはそんなエレナに押され、戸惑ったように呟いた。
「じゃ、じゃあ、改めてムゥーマに向かいましょうか」
レクスは強引に話を切り替え、エレナの手を引き、受付嬢から渡された地図を頼りにムゥーマへ出発するのだった。
「ここがムゥーマですか……」
レクスは目の前の古ぼけた建物を見て、そう呟いた。
あの後、受付嬢の地図を頼りに五十分ほど王都を歩き、ムゥーマにたどり着いた。途中、人込みに巻き込まれて動けなくなるなど災難もあったが、なんとかここまで来られた。
レクスはギギギと音を立てながらドアを開け、中へ入る。するとカウンターの方に、杖をつき、腰の曲がった老婆がいるのが目に入った。年齢は八十歳くらいだろうか。その後ろの棚には、大量の薬品が置かれている。
「いらっしゃい」
しわがれた声で言う老婆に、レクスは恐る恐る告げる。
「すみません、依頼で回復薬を届けに来たのですが……」
「ああ、依頼ね。じゃあ、こっちに置いておくれ」
老婆は、カウンターの横にある机を示す。
レクスがエレナを見ると、彼女はレクスの意図を汲み取って頷いた。
「我が望む……時空間よ、開け……『万能収納庫』」
エレナが唱えると、彼女の横にぽっかりと黒い穴が出現し、そこから回復薬五十本が入った箱が出てきた。
「あ、ありがとうねえ……」
老婆は驚いていた。
こうして依頼を終えたレクスは自分達のための薬を購入することにした。
「あ、後、すみません。回復薬と解毒薬、それと、麻痺薬を二十本ずつもらえませんか?」
「ああ……ちょっと待っておくれ」
老婆は薬品を入れる箱を用意し、そこに回復薬、解毒薬、麻痺薬を二十本ずつ詰め込んだ。
「全部で十万セルクだよ」
レクスは魔法袋から十万セルクを取り出し、カウンターに置いた。
「それから、こちらの依頼書にサインをお願いできますか?」
レクスは老婆に依頼書を見せた。
サインがなければ、依頼達成にならない。依頼が達成できなかった時は、違約金を払うことになるのだ。
「ああ、すまないねえ」
老婆はすっかり忘れていたようで、申し訳なさそうに言いカウンターで依頼書にサインした。
「ありがとうございます。それじゃあ行きましょう、エレナ」
レクスはそう言いながら、回復薬、解毒薬、麻痺薬が二十本ずつ入った箱を魔法袋に入れた。
そうしてレクスとエレナは、ムゥーマを後にしたのだった。
***
翌日――今日はシルリス学園の授業初日だ。
「行ってきます」
「「「「「「行ってらっしゃいませ、レクス君」」」」」」
六人のメイド達がレクスを送り出す。
「行ってらっしゃい、レクス……」
エレナは、メイド達と一緒にレクスを見送りに現れたが、その顔は寂しげだった。
「大丈夫ですよ、エレナ。授業が終わったらすぐに戻ってきますから。そしたら今日も冒険者ギルドに依頼を受けに行きましょう」
レクスはエレナを安心させるように抱擁した。と言っても、はたから見ればエレナの方が身長が少し高いので、レクスが甘えているようにしか見えないが。
そんな二人を見て、メイド達はニマニマしている。
「うん……!」
エレナは嬉しそうに頷いた。
「じゃあ、行ってきますね」
それからレクスはエレナを離すと、シルリス学園へ向かった。
「あら、奇遇ね」
レクスが学園へ向かう途中、一つ結びの金髪で気の強そうな赤い瞳の少女が声をかけてきた。エレナより身長がさらに高い。レクスはその少女に見覚えがあった。
(え~っと、確か昨日僕に話しかけてきた……う~ん、誰でしたっけ?)
レクスは自分のクラスに所属している人達の名前をほとんど覚えていなかった。もちろんフィオナのことも。
「すみません、お名前を聞いても?」
「フィオナよ! フィ・オ・ナ! あなた、同じクラスでしょう⁉ 昨日だってあなたに話しかけた! 覚えてないの⁉」
フィオナは一気にまくしたてると、ぜーぜーと荒い息を吐いた。
「……ああ、フィオナさんでしたか! すみません、話しかけられたことは覚えていたんですけど、名前を思い出せなくて」
レクスは申し訳なさそうに言った。
「はぁ……まあいいわ。一緒に学園まで行かない?」
「いいですよ」
レクスは微笑みながら了承した。
レクスとフィオナは一緒に歩き出した。すぐにフィオナが話しかけてくる。
「そういえば、あなたの得意な剣術とかってあるの? 私、こう見えても得意だから、いろんな剣術を知りたいの」
(剣術ですか……そもそも流派を知りませんし、答えようがありませんね。まあ、誤魔化しても仕方ありませんから、正直に答えましょう)
レクスはそこまで考えて口を開く。
「すみません、剣術を習ったことがないのでわからないです」
レクスは申し訳なさそうな表情を浮かべる。彼の言葉を聞いたフィオナは驚いた。魔法学園に入学できるくらいの実力を持っている生徒が剣術を習ったことがないのは、極めて珍しいからだ。
「そ、そう。じゃ、じゃあ、得意な魔法は?」
「……風魔法と水魔法ですね」
本当は『日常動作』スキルのおかげでほぼ全ての属性の魔法を使えるが、黙っておいた方がいいだろう。レクスはそう考え無難に返しておいた。
「そう……」
フィオナもびっくりして咄嗟に聞いただけだったので、それ以上会話が続くことはなく、沈黙が流れる。
そうこうしている内に、学園が見えてきた。
「おお、フィオナ様だ!」
「今日もお美しい……!」
フィオナの姿を見て、校門の周辺の生徒達がざわついた。騒ぎ声は、フィオナが校門に近づくにつれて大きくなっていく。
「――⁉」
レクスは背筋に悪寒が走ったのを感じた。
(なんか凄い鋭い視線を向けられているような……⁉)
レクスは周囲を見回し、そんなことを思った。その感覚はSクラスの教室に入った後もしばらく続いていた。
ウルハによる朝のホームルームが終わり、一時間目。教科は魔法の座学。新入生にとっての初授業となる。
「え~、これから三年間、Sクラスの魔法の座学を担当するコーディ・グウェインっす。よろしく頼むっす」
ボサボサのベビーグリーン――明るく薄い緑色――の髪に眼鏡をかけ白衣を着た若い男性――コーディが、頭をポリポリとかきながら自己紹介した。言い終わるとあくびを一つ。
それを見たSクラスの生徒達は皆思った。
――この先生、やる気あんのか、と。
「じゃあ、早速授業の方を進めていきたいと思うっす。教科書の八ページを開くっす」
コーディにそう言われて、レクスは机上に用意してあった『魔法学』の八ページを開く。
「まず、魔法を使う上で重要な要素の一つ、鍵言語について説明したいと思うっす」
そのページには鍵言語について書かれていた。鍵言語とは魔法を発動する時に唱える呪文のこと。発動する魔法のイメージを鮮明にするための言葉だ。
レクスは既にネスラ家の蔵書室で鍵言語について勉強済みだった。予習しておいて良かったと、レクスは内心安堵の息をついた。しかし、それも束の間。
「まず、最初に言っておくっすけど、鍵言語には公式があるっす。それを頭に入れておいてほしいっす」
(……え?)
レクスはコーディの言葉を聞いた瞬間、間抜けな声を漏らしそうになったが、なんとか堪えた。ここでそんなことをしたら、皆から一斉に見られ、注目の的となってしまう。それは避けたいと考えたのだ。
「じゃあ、そもそも鍵言語とは何か説明していきたいと思うっす――」
それ以降の内容はレクスの頭には入ってこなかった。というより、考え事をしていてボーッとしていた。
鍵言語はあくまで想像力を補うための、いわば補助の役割を果たすものであって、公式などはないはず。レクスが読んだ本にはそう書いてあった。
(……となると、あの本は一体?)
あの本――ネスラ家の屋敷に置いてあった本と、この教科書は大きく内容が違っている。
レクスの頭はこんがらかってしまうのだった。
終了のチャイムが鳴り、授業の終わりを告げた。
「さて、初日の授業としてはこんなもんすっね」
コーディはそう呟くと、教科書を閉じて、それを持ってSクラスの教室から出ていった。
生徒達は立ち上がり、仲のいい者同士で喋り始める。フィオナのもとにも多くの生徒達が集まり、授業の感想や次の授業についての話で盛り上がっている。
「はっ……もう授業は終わってたんですね」
レクスは教室がざわつき始めたことで、ようやく魔法の座学の授業が終わっていたことに気付いた。
次の授業は魔法の実践。入学試験の時に使った演習場で行うことになっている。
(魔法の実践ですか。皆さん、相当魔法を使えるんでしょうね……)
レクスは周囲にいる生徒達を見回し、はぁとため息をついた。その顔は不安げだ。
しばらくすると、生徒達が皆、演習場に向かうために教室を出始めた。
レクスもそれにならって席を立つと――
「ねえ、レクス。一緒に演習場まで行かない?」
フィオナが話しかけてきた。
「いいですよ」
レクスは頷き、了承した。
(それにしても、なぜフィオナさんは僕にばかり構うのでしょうか?)
皆から様をつけられて慕われているのに、わざわざ自分に構う理由が、レクスにはわからなかった。
(まあ、考えてもわかりませんし、聞くのは無粋ですね)
レクスはフィオナと共に演習場へ向かおうとする。
「ちょっと待って」
そこへ、後ろから聞き覚えのある声がした――
「さっきの魔法の授業どうだった?」
その後、演習場に向かっていると、フィオナはレクスにそう尋ねた。
「そうですね……鍵言語についてより深く知ることができたので、良かったと思います」
レクスの返答はなんとも曖昧なものだった。そもそも途中から授業そっちのけで考え事をしていたため、内容などほとんど頭に入っていなかったのだ。
「レクス……あなた、授業聞いてなかったでしょう?」
レクスが気まずそうな表情をしていたので、フィオナにばれてしまう。
「あはははは……」
レクスは苦笑いで誤魔化す。
「ったく……初日からそんなので大丈夫なの?」
呆れた様子でため息をつくフィオナは首を横に振る。
「それにしても、レクスに知り合いがいたなんて。ちょっとびっくりしたわ」
「そ、その言い方は酷くないですか?」
「冗談よ、冗談」
ふふっと笑いながらフィオナは言った。そして、レクスの横にいる先ほど話しかけてきた少年を見た。藍色がかった髪に黒の瞳の人懐っこそうな少年――リシャルトだ。
「知り合いっていうか、入学試験の日に話しかけただけなんだけどね。レクスは俺のこと、忘れてたっぽいし。昨日自己紹介もしたんだけど」
「あはは……」
レクスはまたもや誤魔化すように笑う。
このリシャルトという少年は、入学試験後にレクスの魔法を褒めちぎっていた。その際、レクスは彼のことをなんとなく苦手だなと思ったのだが、その理由は本人もよくわからない。
「っていうか、同じクラスだったなら昨日話しかけてくれれば良かったじゃないですか」
レクスは頬を膨らませてそう言った。
リシャルトが答える。
「……昨日はちょっと忙しくてね」
「そうですか」
何気ない会話をしつつ、レクス達は演習場へ向かった。
レクス達が演習場に着くと、思ったよりも多くの人がいた。人数が多いのでSクラス以外の生徒もいるようだ。フィオナの姿に気付いた生徒達は――
「フィオナ様よ!」
「ああ、今日も見目麗しい……」
などなど、憧憬の眼差しでフィオナを見つめる。レクスには相変わらず嫉妬の目が向けられていた。
生徒達がざわざわしている中、フィオナに向かって二人の少女が歩いてくる。
「よ、フィオナ」
フィオナに笑顔で手を振り、挨拶してきたのは、二人の少女の内の一人。茶髪のショートカットに少しつり上がった目、瞳の色は朱色だ。とてもボーイッシュな女の子である。
「あら、キャロルにルリ。あなた達も魔法の実践?」
「うん……」
フィオナの言葉に頷き答えたのは、ルリと呼ばれたもう一人の少女。真っ白な髪のショートボブにおっとりとした薄水色の瞳をしている。
「お前も大変だよなー」
茶髪の少女――キャロルが、フィオナに視線を向ける。周囲を見回しながらそう言った。
「うん。フィオナ、大変そう」
ルリが同意して頷いた。
フィオナはため息をつく。
「まあね……」
「ところで、フィオナ。そっちの子達は?」
キャロルはレクスの方を見ながら尋ねた。
「こっちの小さい子がレクスで、もう一人はリシャルトっていうの。まだ知り合ったばかりだけど」
「レクスにリシャルトね。オッケー、私はキャロル・ベネットよ」
「私はルリ・クルーガー。よろしく」
キャロルがレクスに向かって手を差し出して握手を求める。レクスはおずおずとその手を握った。
キャロルとルリ、フィオナは小さい頃からの幼馴染みであり、フィオナにとっては二人は、身分を気にせず気さくに話すことができる数少ない親友だった。
「レクスです。こちらこそよろしくお願いします」
「俺はリシャルト。よろしく~」
レクスとリシャルトは初対面のキャロルとルリに挨拶を返した。レクスは深々と一礼し、リシャルトは軽く会釈した。
「はーい、授業を始めるのです。皆集まってなのです」
そうこうしている内に、魔法の実践担当の先生が手を叩きながらやって来た。
生徒達はその指示に従い、先生のもとへ集まる。その先生は、レクスより一回り身長が小さい女性だった。
「私がこれから三年間、Sクラス、Aクラスの魔法の実践を担当させてもらう、ララ・オルティスなのです。よろしくなのです」
ララはそう言うと、両手で杖を持ちながらペコリと頭を下げた。
(SクラスとAクラス合同での授業なんですね)
レクスがそう考えているとララは続ける。
「さて、挨拶はこのくらいで……では、早速魔法の実践に移りたいと思うのです」
ララは軽く咳払いして、場を仕切り直した。
「我が願うは無なり……集まりて形を成せ……『生成』」
ララが詠唱すると、ララの魔力が集結し、少し離れた場所に複数の的が形成された。それらは規則正しく並んでおらず、動き回っている。
「皆さんにはこれらの的を魔法で撃ち抜いてもらうのです。一人三回撃って全員終わったら、先生に言いに来るのです」
ララはそう言いながら、あちこちに動く的を形成し続ける。
「四、五人のグループを作って早速開始するのです」
その後、生徒達はそれぞれ仲の良い者同士でグループを作っていった。レクスも早速誰かと組もうと思っていると――
「レクス。リシャルトも組みましょう」
隣にいたフィオナがそう提案してきた。フィオナのすぐ近くには先ほど知り合ったキャロルとルリがいる。
「い、いいんですか?」
レクスは驚いたような表情で尋ねた。
「もちろん大歓迎だ」
「うん……」
キャロルとルリが頷いて答える。
「ありがとうございます!」
レクスがお礼を言いながら頭を下げると、リシャルトまで礼を言う。
「ありがと~」
「リシャルトには言ってないんだけど……」
キャロルが呆れたように言った。だが、リシャルトはどこ吹く風だ。
「細かいことは気にしない」
「なんかやりづらいやつだな……」
キャロルもレクス同様、なんとなくリシャルトが苦手なようだ。
いずれにせよ、レクスはあぶれずに済んだ。
「大袈裟ね、レクスは。リシャルトくらい軽くていいのよ?」
安堵した様子のレクスを見て、フィオナはそう言いながらクスッと笑った。初めて自分達以外に気さくに話せる友人ができたフィオナを、微笑ましそうに見守るキャロルとルリ。
「さあ、行きましょうか」
フィオナの号令で、五人は他のグループがいない、動く的がある場所へ向かった。
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