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9章 祝福
フィアのお見合い⑤
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「──────ほう? 条件が……………果たして、それはどのような?」
ロウコの雰囲気が変わった。口調も先程とは違ったものだ。なんか……………執念みたいなものさえ感じる。
「……………私の隣にいる領主様─────レクス様に勝つことです。領主様より弱い男の人と結婚するつもりはありません」
「ちょっ、フィアっ……………!」
フィアの母が慌てたような声を出す。
(………………まさか本当にそれを条件に出すなんて…………フィアさん………大丈夫なの? 自分の結婚をかけたりして…………)
レクスは小さくはぁ…………とため息をついた。そして、チラッとフィアの方を見る。ごめんね、というかのように手を合わせて申し訳なさそうな表情をするフィア。
「ほう……………そこのチビ…………いや、領主様に勝てば、フィア殿も結婚を考えてくださると?」
レクスの聞き間違いじゃなければ、あのロウコなる人物はレクスをチビと呼んだ。ふとフィアの方を再度見てみると……………こめかみに青筋を浮かべていた。
「……………分かりました。では、領主様。早速ですが、手合わせをお願いしたいので、場所を変えませんか?」
ロウコはそう言うと、おもむろに立ち上がった。
◇◆◇◆◇
「ここが我がカルフレッド家が所有する訓練場です」
案内された場所は、周りに特に目立った物はなく、まるで地下室の如く殺風景な場所だった。まあ、どこの訓練場も似たようなものだろう。
「フィアっ……………相手は剣豪とまで称されてるあのロウコよ? それを、領主様に勝てたら結婚してもいいって……………」
不安そうにそんなことを言うフィアの母。だったらお見合いなど拒否すれば良かったのに。
「大丈夫だよ、見てれば分かる」
フィアはレクスに信頼を寄せているようだった。フィアの目線の先には、レクスとロウコの二人が映し出されており、どうやら準備をしているらしかった。
「さてと……………領主様。早速始めましょう。さすがに真剣でやるのは危険ですので、使うのは木剣です。そこにある木剣から好きなのを一つ選んでください」
ロウコは既に木剣を選び終わり、軽く素振りなんかをしていた。準備をしているといった感じだろうか。
レクスは適当な木剣を選び、ロウコと向かい合うように立った。
「準備は宜しいでしょうか、領主様」
「ええ」
「審判は……………フィア殿、お願いします」
「分かった」
フィアは両者の間に立った。両者はそれぞれ木剣を構えた。
「では───────始め!」
フィアの合図と共に、ロウコが一気にこちらに向かってきた。速さが尋常じゃない事から、恐らくスキルを使ったのだろう。
「たとえ、チビッ───────いや、領主様であろうと容赦はしない!」
(………………この人は、僕をそんなにイラつかせたいのかな……………?)
人が密かにコンプレックスに感じている部分をいじってくるとは……………少々いただけない。
「──────『座標斬撃』!!」
ロウコがスキルを発動。遠く離れた場所から繰り出した一振りが、レクスの胸元に迫ってきていた。まるで、斬撃だけが、転移したかのように。だが──────遅い。
「よっと」
レクスは余裕をもってかわしてみせる。レクスの素早さは今やとんでもない数値になっている。かわせぬ攻撃などない。
「───────やるな。どうやら実力もかなりのもののようだ。なればこそ──────『同化』!」
すると、ロウコの姿が消えた。いや、恐らく溶け込んだのだろう、周囲に。
「───────丸見えだよ」
レクスは背後から切りつけようとするロウコをいとも簡単に木剣でいなす。ロウコは今度こそ驚いた。
「まさか初見で私のスキルが破れるとは……………これは、本気でやらないと勝てそうもないですね」
ロウコの瞳は一段と鋭くなった。
ロウコの雰囲気が変わった。口調も先程とは違ったものだ。なんか……………執念みたいなものさえ感じる。
「……………私の隣にいる領主様─────レクス様に勝つことです。領主様より弱い男の人と結婚するつもりはありません」
「ちょっ、フィアっ……………!」
フィアの母が慌てたような声を出す。
(………………まさか本当にそれを条件に出すなんて…………フィアさん………大丈夫なの? 自分の結婚をかけたりして…………)
レクスは小さくはぁ…………とため息をついた。そして、チラッとフィアの方を見る。ごめんね、というかのように手を合わせて申し訳なさそうな表情をするフィア。
「ほう……………そこのチビ…………いや、領主様に勝てば、フィア殿も結婚を考えてくださると?」
レクスの聞き間違いじゃなければ、あのロウコなる人物はレクスをチビと呼んだ。ふとフィアの方を再度見てみると……………こめかみに青筋を浮かべていた。
「……………分かりました。では、領主様。早速ですが、手合わせをお願いしたいので、場所を変えませんか?」
ロウコはそう言うと、おもむろに立ち上がった。
◇◆◇◆◇
「ここが我がカルフレッド家が所有する訓練場です」
案内された場所は、周りに特に目立った物はなく、まるで地下室の如く殺風景な場所だった。まあ、どこの訓練場も似たようなものだろう。
「フィアっ……………相手は剣豪とまで称されてるあのロウコよ? それを、領主様に勝てたら結婚してもいいって……………」
不安そうにそんなことを言うフィアの母。だったらお見合いなど拒否すれば良かったのに。
「大丈夫だよ、見てれば分かる」
フィアはレクスに信頼を寄せているようだった。フィアの目線の先には、レクスとロウコの二人が映し出されており、どうやら準備をしているらしかった。
「さてと……………領主様。早速始めましょう。さすがに真剣でやるのは危険ですので、使うのは木剣です。そこにある木剣から好きなのを一つ選んでください」
ロウコは既に木剣を選び終わり、軽く素振りなんかをしていた。準備をしているといった感じだろうか。
レクスは適当な木剣を選び、ロウコと向かい合うように立った。
「準備は宜しいでしょうか、領主様」
「ええ」
「審判は……………フィア殿、お願いします」
「分かった」
フィアは両者の間に立った。両者はそれぞれ木剣を構えた。
「では───────始め!」
フィアの合図と共に、ロウコが一気にこちらに向かってきた。速さが尋常じゃない事から、恐らくスキルを使ったのだろう。
「たとえ、チビッ───────いや、領主様であろうと容赦はしない!」
(………………この人は、僕をそんなにイラつかせたいのかな……………?)
人が密かにコンプレックスに感じている部分をいじってくるとは……………少々いただけない。
「──────『座標斬撃』!!」
ロウコがスキルを発動。遠く離れた場所から繰り出した一振りが、レクスの胸元に迫ってきていた。まるで、斬撃だけが、転移したかのように。だが──────遅い。
「よっと」
レクスは余裕をもってかわしてみせる。レクスの素早さは今やとんでもない数値になっている。かわせぬ攻撃などない。
「───────やるな。どうやら実力もかなりのもののようだ。なればこそ──────『同化』!」
すると、ロウコの姿が消えた。いや、恐らく溶け込んだのだろう、周囲に。
「───────丸見えだよ」
レクスは背後から切りつけようとするロウコをいとも簡単に木剣でいなす。ロウコは今度こそ驚いた。
「まさか初見で私のスキルが破れるとは……………これは、本気でやらないと勝てそうもないですね」
ロウコの瞳は一段と鋭くなった。
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