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9章 祝福
フィアのお見合い①
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昨日から一日経って──────翌朝。
「…………………はぁ。遂に今日がお見合いかぁ」
フィアは憂鬱そうにため息をつく。今日は延びに延びたフィアのお見合い当日なのだ。今までに何度かお見合いしたことはあるが、全部断っている。行き遅れているというのも重々承知なのだが、やはりしたくないものはしたくない。
「…………………最低でもレクスよりは強くないとなぁ…………」
レクスの書斎から本をいくつか取りながら、そう言うフィア。今日は非番であり、魔法関連の書物を読むことにしていたのだが………………
『フィア! 今日こそはきちんとお見合いに行くのよ! 先方にもきっちり伝えておいたから! いいわね!!』
フィアの母がこの屋敷を訪れて、そんなことを言ったのだ。フィアの母は、以前何回かこの屋敷にも来たことがある。フィアと同じ赤髪に少し気の強そうな瞳が特徴的な女性だった。
そんなことがあり、フィアはお見合いに行かざるを得なくなったのだ。
「いやいや、フィアさん、僕より強い人って自分で言うのもなんだけど、そうそういないと思うよ?」
「だからこそだよ。それを条件に出せば、徐々にお見合いもなくなっていくんじゃないかなって」
「………………それって、僕がフィアさんのお見合いに出向いて、実力を示すことが前提なのでは………………?」
「それもそうか。…………………着いてきて?」
お願い、と手を合わせるフィア。
「う~ん…………………」
レクスは唸った。今日は正直書類を片付けたい気持ちもある。というか、片付けたい。だが、フィアには育ててもらった恩もある。無碍にはできない。
「それに、お見合いには領主の立ち会いが必要なんだ。なんというか……………ほら! お見合いの際に不正? っていうのかな。それがないようにするために」
フィアは慌てたような表情でそう言い繕う。
(…………………多分、嘘だろうなぁ。それに、お見合いには親族が立ち会うのが普通だろうし)
レクスは苦笑しながらそんなことを言った。だが、フィアは困っている。……………やはり、放ってはおけないだろう。
「………………分かった、他ならぬフィアさんの頼みだからね。お見合い、着いていくよ」
「ほんとっ!? 助かるよー……………!」
フィアは喜んだ。だが、一つ大きな疑問がある。
「………………フィアさん。一つ聞きたいんだけど…………お見合いに着いていくとして、僕はどこにいればいいの? フィアさんがお見合いしてる間、僕がその場にいても邪魔になるだけだろうし」
「いや、何言ってるの? レクスも立ち会うから大丈夫! レクスにはただお見合いの行方を見守ってもらいたいの! ……………駄目かな?」
フィアは懇願するような眼差しでレクスを見る。レクスはう~ん……………と唸るように黙考した。
「………………分かった。お見合いの場にいるだけでいいんだよね?」
「うんっ」
フィアはありがとね、と礼を言ってきた。恐らく……………いや、絶対に何かを企んでいるはずだが、ここは乗ってもいいだろう。……………別に損するわけでもないし。
「いつ頃からなの、そのお見合いは?」
「確か………………今日の午後三時くらいだったかな?」
「分かった。それまでにちゃんと準備しておくよ」
レクスは苦笑しながらフィアにそう言うのだった。
「…………………はぁ。遂に今日がお見合いかぁ」
フィアは憂鬱そうにため息をつく。今日は延びに延びたフィアのお見合い当日なのだ。今までに何度かお見合いしたことはあるが、全部断っている。行き遅れているというのも重々承知なのだが、やはりしたくないものはしたくない。
「…………………最低でもレクスよりは強くないとなぁ…………」
レクスの書斎から本をいくつか取りながら、そう言うフィア。今日は非番であり、魔法関連の書物を読むことにしていたのだが………………
『フィア! 今日こそはきちんとお見合いに行くのよ! 先方にもきっちり伝えておいたから! いいわね!!』
フィアの母がこの屋敷を訪れて、そんなことを言ったのだ。フィアの母は、以前何回かこの屋敷にも来たことがある。フィアと同じ赤髪に少し気の強そうな瞳が特徴的な女性だった。
そんなことがあり、フィアはお見合いに行かざるを得なくなったのだ。
「いやいや、フィアさん、僕より強い人って自分で言うのもなんだけど、そうそういないと思うよ?」
「だからこそだよ。それを条件に出せば、徐々にお見合いもなくなっていくんじゃないかなって」
「………………それって、僕がフィアさんのお見合いに出向いて、実力を示すことが前提なのでは………………?」
「それもそうか。…………………着いてきて?」
お願い、と手を合わせるフィア。
「う~ん…………………」
レクスは唸った。今日は正直書類を片付けたい気持ちもある。というか、片付けたい。だが、フィアには育ててもらった恩もある。無碍にはできない。
「それに、お見合いには領主の立ち会いが必要なんだ。なんというか……………ほら! お見合いの際に不正? っていうのかな。それがないようにするために」
フィアは慌てたような表情でそう言い繕う。
(…………………多分、嘘だろうなぁ。それに、お見合いには親族が立ち会うのが普通だろうし)
レクスは苦笑しながらそんなことを言った。だが、フィアは困っている。……………やはり、放ってはおけないだろう。
「………………分かった、他ならぬフィアさんの頼みだからね。お見合い、着いていくよ」
「ほんとっ!? 助かるよー……………!」
フィアは喜んだ。だが、一つ大きな疑問がある。
「………………フィアさん。一つ聞きたいんだけど…………お見合いに着いていくとして、僕はどこにいればいいの? フィアさんがお見合いしてる間、僕がその場にいても邪魔になるだけだろうし」
「いや、何言ってるの? レクスも立ち会うから大丈夫! レクスにはただお見合いの行方を見守ってもらいたいの! ……………駄目かな?」
フィアは懇願するような眼差しでレクスを見る。レクスはう~ん……………と唸るように黙考した。
「………………分かった。お見合いの場にいるだけでいいんだよね?」
「うんっ」
フィアはありがとね、と礼を言ってきた。恐らく……………いや、絶対に何かを企んでいるはずだが、ここは乗ってもいいだろう。……………別に損するわけでもないし。
「いつ頃からなの、そのお見合いは?」
「確か………………今日の午後三時くらいだったかな?」
「分かった。それまでにちゃんと準備しておくよ」
レクスは苦笑しながらフィアにそう言うのだった。
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