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8章 ダンジョンを守れ ~異種族間同盟~

とりあえず

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「ヴァンナ様っ……………ご無事で何よりです。ヴァンナ様の身が危険にさらされていたというのに…………何もできなかった我々をお許しください」


 そう言って頭を下げるフィオナ。騎士団の面々も他の団もフィオナにならって頭を下げた。


「いいのよ、この通り無事だった訳だし。私の方こそ、色々と手間を掛けさせてごめんなさい」


 ヴァンナの方も軽く頭を下げる。遠回しに気にしないで欲しいと言いたいのだろう。


 フィオナは、暫く頭を下げ続けると、やがて頭を上げた。謝り足りないくらいだが、話が前に進まないのも困るので、一旦切り替えることにした。


「……………レクス。説明、お願いできる?」


 フィアはレクスにここに至るまでの経緯の説明を頼んだ。レクスとしては、断る理由などないので勿論了承した。そして、ここに至るまでの経緯について手短に説明する。


「なるほど……………夜中に魔物の大群に気づいて、急いで駆けつけて魔物を撃退して、黒幕も捕まえた…………と。…………で、その黒幕が、あそこでのびてる子?」


 フィアは横を指差す。そこには頬が腫れ上がったオルクリムが倒れていた。


「いや、実はあともう一人いてね……………これが、そうなんだけど……………」


 レクスは魔法袋マジックバッグから巨大な氷の塊を取り出した。フィアは思わず驚いてしまう。


「レクス…………その氷の塊は…………?」


「これが…………………あれだよ、さっき言ってた今回の黒幕だよ。このセレニア皇国を乗っ取ろうとしてた。氷を溶かしちゃうと、いつ反撃してくるか分かったもんじゃないから」


 レクスは説明に困りつつもそう言った。よくよく考えてみれば、名前すら知らないし、目的もそれほど明確に判明していた訳でもない。ということで、セレニア皇国を乗っ取ろうとしていたということにした。あながち間違いでもないので、大丈夫だろう。ヴァンナを連れ去ったのは、そういう目的があってのことだろうし。


「なるほど………………。じゃあ、後はこっちで預からせてもらうけど……………この氷、ちょっと巨大すぎるから、魔法袋マジックバッグごと持っていってもいい?」


「うん、いいよ」


「ありがとう」


 フィアは微笑みながらそう言った。



◇◆◇◆◇







「───────なるほど。それはすまなかった。それと─────ありがとう。またレクスに助けられたな」


「いや、僕達は当然までの事をしただけだよ」


 オーグデンの言葉に、とんでもない、とそんな言葉を返すレクス。現在、レクス達は冒険者ギルドにいる。事情を説明のため、オーグデンに呼び出されたのだ。


「それでもだ。お前達は間違いなくこの国を──────セレニア皇国を救ってくれた。お前達は紛れもなく救世主だ」


 オーグデンはふっと微笑みながらそう言った。


「それと────……………悪いな、すぐに駆けつけられなくて。こんな緊急事態だったってのに」


「他の奴らが来てたら、むしろ邪魔になってたよ」


 苦笑しながらそう言うリュー。オーグデンもそれもそうか、と小さく頷き返した。


「………………それで、ずっと気になってたんだが……お前らの後ろにいるのは、ハイエルフ族…………だよな?」


「うん、今回この騒動を収めるのに協力してくれたんだ」


 レクスはオーグデンの言葉にそう返した。



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