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8章 ダンジョンを守れ ~異種族間同盟~

一休み

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「……………ねえ、みんな、ちょっといい?」


 そう言ったのは、意外にもワチ。現在レクス達はレクスの執務室に集合しており、対策を練っていた。受け身である現状を打破する策はないか、必死にみんな考えている最中だった。


「どうしたの、ワチ? 自己紹介もう一回したいの?」


 冗談ぽくそう言ったのはミドク。


「違うよっ! それは後でもう一回させてもらうけどっ」


 もう一回させてもらうらしい。まだ少し根に持っていたようだ。


「───────ちょっと息抜きした方がいいんじゃないかなって。ここ数日間、飲まず食わず……………ってわけじゃないけど、みんな結構色々策とか考えたりして、疲れてるわけでしょ? 少しどっか行ったりして気分変えるのもいいんじゃないかなって」


「ワチにしては、いいこと言うじゃん。今までろくなこと言わなかったのに」


「うっさいなぁ」


 少し邪険にそう言うワチ。だが、苦笑しているので、本気で嫌というわけでもないだろう。


「……………でも、息抜きって言っても何するの? あんまり外に出たい気分でもないし……………」


 カレンはそう言った。みんな、目の下に隈が出来ており、必死さを物語っていた。みんな寝不足なのだ。


「う~ん……………交代で寝るっていうのはどう? 最近疲れ気味だし、リラックスにはもってこいだと思うんだけど」


 ミドクがそう言った。みんなもそれでいいと思う、とでもいうかのように頷いていた。


「……………でも、全員が一斉に寝るわけには、いかないから……………ここは」


「じゃんけん、ね」


 エレナの言葉を継ぐようにそう言うミーシャ。


「我が一番先に寝るのだーー!」


 よく分からないが、ティーナも張り切っている。目に隈とかはないが、育ち盛りなのだろうか………………というより、今何歳なのだろうか。無性に気になってしまう。


「じゃあ、いくよー、最初はグー、じゃんけん────────ポン!」


 ミドクの声を合図に、みんなが一斉に出す。


「やった、私の勝ち~」


「ぐぬぬ………………負けたのだ…………」



 ミドクは喜びながらそう言い、負けたティーナは落ち込んでいた。よほど寝たかったらしい。因みに、さっきの勝負で勝ったのは、カレンとミーシャとフィオナ、ミドク。というか、これだけの人数がいるのに一発で決まるのは凄いと思う。


「っていうか、ミドクさん、ちょっと溜めすぎじゃないですか、さっきの」


 レクスが不満げにそう言った。


「まあまあ、これも戦略の内だからね。潔く諦めたまえ」


 そんなミドクの言葉に、なんですか、それ、と軽く苦笑するのだった。



◇◆◇◆◇


「ふふふふ……………あと少し、もう少しで完成する………………」


 リミルは小さな小屋アジトの外で眠い目を擦りながらそう呟く。目立たない夜間が一番作業するのに適切な時間帯だ。オルクリムもしっかり熟睡していた。


「これが完成すれば、セレニア皇国の領土は私のものに……………」


 想像しただけで、笑いが止まらない。──────と。


「────オ、オル!? どうしたの、こんな時間に」


 オルクリムが小屋の戸を開けて外に出てきたのだ。リミルは慌てて開発段階のを隠した。もちろん、魔法で。不可視化させて。


「ん~…………? リミルじゃないか……………何やってるんだ……………?」


「ちょ、ちょっと星を眺めてたんだよ~。今夜は特に綺麗だからね~」


 リミルは慌ててそんな言い訳をした。


「そうか……………リミルも早く寝たほうがいいぞ…………」


 オルクリムは眠たそうな目を擦りながら、小屋の裏側へと回っていく。恐らくトイレだろう。ここの小屋のトイレは、外を出てからじゃないと行けないのだ。


(………………危なかった)


 リミルはほっと、胸を撫で下ろすのだった。
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