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8章 ダンジョンを守れ ~異種族間同盟~
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「あの国にどれくらい実力者が揃ってるのか、気になってね~…………そういうのは、早めにどうにかしておきたいからね~」
本物の二人はというと─────例の小さな小屋でリミルが魔法で映し出している映像を見ていた。流石のリミルでも、あそこに無策で飛び込むはずがない。
「というか、リミル……………その、私の人形なんだが…………私、あんな怯え方してたか?」
魔法が直撃しそうになった際のオルクリムの悲鳴を指しているのだろう。
「ん~……………どうだろ~? もしかすると、あれよりひどい悲鳴だったりするかも~?」
「そ、そんなに大きな悲鳴をあげた覚えはないのだが!?」
「じょーだんだよ~、嘘だよ、嘘~。ちょっと誇張して操作しただけだよ~」
リミルはそう言ってへらへらと笑った。オルクリムはリミルの言葉にむくれていたが、リミルは特に気にしなかった。
(それにしても………あれに少し、私の感情も入っちゃってたけど…………ばれてないみたいだねー……………。ほんと、オルクリムはバカで助かるよ。遠隔系魔法は、私に不向きだなぁ、全く……………)
リミルは内心そんなことを考えた。リミルの口元にはニヒルな笑みが張り付いていた。
◇◆◇◆◇
「あいつらが、皇女様を連れ去った…………!?」
フェルティーが驚いたように声をあげる。
「うん、ミドクさん達と同じハイエルフ族と、僕達と同じ人間の二人がね。あ、因みにミドクさん達は敵じゃないから、安心して」
レクスは警戒心をむき出しにしていたニンファ達にそう言う。まあ多分、ニンファに至っては、この場に二人も男が……………! だけど、我慢するしかない……………!! 堪えないと、堪えないと……………! みたいな心情もあるだろう。
「とりあえず、改めて軽く自己紹介ね。私はミドク。レクスが言ってた通り、ハイエルフ族だよ。宜しくね」
「同じくフウシだ。宜しく頼む」
「我は───────」
「あ、この子はワチね。私達と同じハイエルフ族」
ミドクがワチの言葉を遮ってそう言った。
「ちょっと、ミドク!! なんで毎回邪魔するのさ! あたしのアイデンティティの象徴とらないで!!」
ワチの言葉にミドクは思わず吹き出す。
「アイデンティティ? あんたの自己紹介のどこにそんな大層なものがあると思ってるの! もう呆れを通りこして片腹痛くなってきたわ」
「ぐぬぬっ……………! 言わせておけばっ!」
張り合う二人。もうこのやり取りの恒例の茶番みたいになっている。
「おい、お前ら。何回同じ事で言い争ってるんだ。そんなことよりも、今は目の前の問題に集中すべきだろう」
フウシが間に入って二人を止めた。
「ちっ……………! ミドク、覚えとけよっ…………!」
「たった今忘れましたー」
ミドクは冗談ぽくそう言い、笑った。少し重かった場の空気もちょっ軽くなった。毎度毎度、このコントじみたやり取りに救われているような気がする。
「ところで、その、レ、レクスはっ、皇女様の場所はつかめているのか……………?」
ニンファは名前を呼ぶのすら生理的に受け付けないのか、ひきつった笑みを浮かべながらレクスの名前を呼ぶ。これ、前よりも悪化してるような……………。
「………………ヴァンナさんの場所がつかめてたら、こんなことにはなってないよ………」
レクスはため息をつきながらそう言った。場所をどうやって掴むのか、まずはそこからだろう。
本物の二人はというと─────例の小さな小屋でリミルが魔法で映し出している映像を見ていた。流石のリミルでも、あそこに無策で飛び込むはずがない。
「というか、リミル……………その、私の人形なんだが…………私、あんな怯え方してたか?」
魔法が直撃しそうになった際のオルクリムの悲鳴を指しているのだろう。
「ん~……………どうだろ~? もしかすると、あれよりひどい悲鳴だったりするかも~?」
「そ、そんなに大きな悲鳴をあげた覚えはないのだが!?」
「じょーだんだよ~、嘘だよ、嘘~。ちょっと誇張して操作しただけだよ~」
リミルはそう言ってへらへらと笑った。オルクリムはリミルの言葉にむくれていたが、リミルは特に気にしなかった。
(それにしても………あれに少し、私の感情も入っちゃってたけど…………ばれてないみたいだねー……………。ほんと、オルクリムはバカで助かるよ。遠隔系魔法は、私に不向きだなぁ、全く……………)
リミルは内心そんなことを考えた。リミルの口元にはニヒルな笑みが張り付いていた。
◇◆◇◆◇
「あいつらが、皇女様を連れ去った…………!?」
フェルティーが驚いたように声をあげる。
「うん、ミドクさん達と同じハイエルフ族と、僕達と同じ人間の二人がね。あ、因みにミドクさん達は敵じゃないから、安心して」
レクスは警戒心をむき出しにしていたニンファ達にそう言う。まあ多分、ニンファに至っては、この場に二人も男が……………! だけど、我慢するしかない……………!! 堪えないと、堪えないと……………! みたいな心情もあるだろう。
「とりあえず、改めて軽く自己紹介ね。私はミドク。レクスが言ってた通り、ハイエルフ族だよ。宜しくね」
「同じくフウシだ。宜しく頼む」
「我は───────」
「あ、この子はワチね。私達と同じハイエルフ族」
ミドクがワチの言葉を遮ってそう言った。
「ちょっと、ミドク!! なんで毎回邪魔するのさ! あたしのアイデンティティの象徴とらないで!!」
ワチの言葉にミドクは思わず吹き出す。
「アイデンティティ? あんたの自己紹介のどこにそんな大層なものがあると思ってるの! もう呆れを通りこして片腹痛くなってきたわ」
「ぐぬぬっ……………! 言わせておけばっ!」
張り合う二人。もうこのやり取りの恒例の茶番みたいになっている。
「おい、お前ら。何回同じ事で言い争ってるんだ。そんなことよりも、今は目の前の問題に集中すべきだろう」
フウシが間に入って二人を止めた。
「ちっ……………! ミドク、覚えとけよっ…………!」
「たった今忘れましたー」
ミドクは冗談ぽくそう言い、笑った。少し重かった場の空気もちょっ軽くなった。毎度毎度、このコントじみたやり取りに救われているような気がする。
「ところで、その、レ、レクスはっ、皇女様の場所はつかめているのか……………?」
ニンファは名前を呼ぶのすら生理的に受け付けないのか、ひきつった笑みを浮かべながらレクスの名前を呼ぶ。これ、前よりも悪化してるような……………。
「………………ヴァンナさんの場所がつかめてたら、こんなことにはなってないよ………」
レクスはため息をつきながらそう言った。場所をどうやって掴むのか、まずはそこからだろう。
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