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8章 ダンジョンを守れ ~異種族間同盟~

ハイエルフ族は一筋縄ではいかない

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「………………お前らか? この騒動の首謀者は?」


 屋根の上に飛び乗り、オルクリムとリミルを鋭い目付きで睨み付けてそう言うニンファ。


「お~、怖い怖い~。そんなに怒っちゃって~」


 表情とセリフが噛み合っていない。表情的にまだまだ余裕があると見ていいだろう。しかも、この白衣の女……………全く底が知れないのだ。こんな経験は─────そう、二度目だ。レクスの時が初めてだった。だが、今回は敵対している者同士。あの時とは違い、油断は一切できない。気を抜けば、やられる。隙を作るもんか、と決意にも似た思いを抱き──────聖剣をリミル達に向けて振るう。瞬時に作り出された光の刃が、リミル達を襲う。オルクリムは無理無理無理っ! 無理だからぁーーーーー!! と涙目で叫んでいた。


「オルクリム~、慌てすぎだよ~。これくらい──────指一本で十分だって~」


 リミルはそう言うと、指一本で自分の目の前に障壁を展開し──────光の刃が障壁に弾かれ、見事に光の粒子となって消えていった。一瞬の事だった。


「くっ………………!」


 通じないことはある程度予想していたが………………実力に差がありすぎる。傷一つすらつけられないのは予想外だった。


「ニンファ!」


 下からニンファの名前を呼んだアイリーンは、ニンファに強化バフをかける。『攻撃力強化』だ。フェルティーにも同じバフをかけた。


「うおおおぉぉぉぉ!!」


 ニンファは、もう一度聖剣に自らの魔力を込めて、今度は直接障壁を斬る。ガキィン、ガキィン、ガキィン!! とまるで金属のような音がした。しかし、いずれも障壁を破壊するには至らなかった。


「フェルティー!!」


「オッケー!!」


 今度は同時に。ニンファは『身体強化』で自身の肉体を強化し、疾走。フェルティーは全力で魔弾を放つ。少しでも、障壁を打ち破る助けになれば。魔力を使い果たすつもりで。全てはこの一瞬にかける───────


「──────ねえ~、この茶番、いつまで続くの?」


「────────!?」


 魔弾も、ニンファの聖剣もどちらも軽々受け止められていた。ニンファ達の攻撃は、指一本で展開された障壁に負けたのだ。


「邪魔だよ~、ほらほら~」


 リミルは、魔法陣を展開して魔光線を放つ。複数の銃弾を同時に放つかのように次々と繰り出していく。


「くっ、厄介なっ……………!!」


 ニンファはそれらをギリギリでかわしていく。アイリーンやフェルティーに向かっても飛んできており、フェルティー達も何とかかわす。しかし、地面は魔光線によって抉りとられ、土煙が上がる。


「ケホッ、ケホッ」


 思わず咳き込むニンファ達。全く歯が立たない。これほどまでとは。


「もうこれで終わり~? じゃあ、次はこっちの番だね~」


 リミルはそう言うと、複数の魔法陣を展開。先程よりも魔法陣の数が多い。というか、あの魔法陣の数……………多い以前に異常だ。異常すぎる。数百は余裕で展開されている。


「ちょっ、リミル……………!! それはまずいんじゃっ………!」


「いちいち振りかかる小さい虫を追い払うのも面倒だからね~………。それにぃ、大丈夫だよ、


 そう言いながら、そこそこ威力のある魔弾を同時に放つ。それらが一気に、ニンファ達のもとへと降り注ぐ。


「──────────」


 ニンファ達どころか、ここら一帯が吹き飛ぶのは目に見えている。多くの犠牲者が出るだろう。この数の魔弾はニンファ達でも防ぎきれそうにない。もう駄目だ──────と諦めかけていた、その時。


「───────『守る』!!」


「……………『絶壁ガイアウォール』………!!」


 見覚えのある、少年少女達がニンファ達の前に現れたのだった。
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