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8章 ダンジョンを守れ ~異種族間同盟~
その頃の屋敷
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「今日こそは私が勝あぁーーーつ!」
魔王の娘─────サリウスは、街中の道をそれはもう、周囲への迷惑を顧みることもなく猛ダッシュで走り抜けていく。父─────魔王にも新しい技術を教えてもらった。今日こそは絶対に勝つのだ。魔王の娘のプライドが負けを許さない。
暫く人々の悲鳴が響き渡る中を走り続けた。
(父に言われた通り、角は隠したのだが……………なんで私を見て人間どもは悲鳴をあげているのだ……………?)
サリウスの国では、これくらいの移動速度など普通である。だが、人間の大多数が住む、このセレニア皇国において、この移動速度は普通ではないのだ。
「あれがレクスの屋敷か………………」
レクスの屋敷を視界に捉え、そう言うサリウス。今日はしっかりと玄関から入らないと、また父に厳しいお叱りを受ける羽目になる。というわけで。
「頼もおおぉぉーーーーー!!」
叫びながら、レクスの屋敷の玄関の扉を思いっきりぶち破って中に入った。これで、とりあえずお叱りは受けなくて済む。
「……………あなたは、あの時の……………」
丁度エレナが玄関付近にいた。
あの時の、というのは、レクスの屋敷の二階の窓を思い切り割って侵入してきた時の事だ。当然、あの時に自己紹介し合った訳でもないので、お互いの名前など知らない。まして、大した記憶力も持ち合わせていないサリウスは、お前は誰だ? みたいな顔になっていた。
「レクスはどこだ!」
サリウスはレクスの居場所を尋ねる。
「…………レクスなら、今日はいない…………。お出掛け中……………」
「どこにっ!?」
言って良いものか迷うエレナ。一応、レクスの行った場所は聞いている。ウグイヴの砦だ。サリウスがウグイヴの砦に行けば、レクスの邪魔になってしまう。そうすると、レクスの帰る時間が遅くなってしまう。それは嫌だ。レクスには、早く帰って来てほしい。
「ウグイヴの砦…………か。遠いが、私の魔技なら、半日もかからずにつける」
「……………………!? なんで…………!?」
自分の思考が読まれた事に驚くエレナ。
「ほ、本当にそこだったの…………ううん、わ、私は魔王の娘だぞ? これくらい出来て当然だ」
本当はカマをかけて、それがたまたま的中したなどとは言えないサリウスであった。
「…………むぅ……………」
エレナはサリウスを睨み、不機嫌そうに頬を膨らませていた。サリウスは一瞬たじろいだが、レクスの居場所も分かった事だし、急いでウグイヴの砦に向かう必要がある。
サリウスはそう思い、走り出そうと────────
「…………………行かせ、ない…………。………お前のせいで、レクスの帰りが遅くなったら…………困る………」
エレナは、サリウスの後ろに障壁を張って行かせないように邪魔をした。
「……………やるつもり? 魔王の娘であるこの私と」
「………魔王の娘だかなんだか、知らないけど……………お前程度には、負けない…………」
エレナは、睨み付けたままそう言った。引く気はないようだ。
「…………んじゃあ、先手は取らせてもらう!! 『落剛け────』」
「…………遅い………!」
エレナは屋敷に被害が出ないよう、障壁を周囲に張り巡らせつつ、魔法を発動。その魔法は──────『闇夜の陽炎』。
「───────!?」
突如、周りが暗くなり、地面から炎が勢いよく吹き出す。
「『防御陣』!!」
炎が迫って来るまで余裕もなかったため、簡易的な防御陣を展開。ダメージの軽減を試みる。
「うぐぐぐ………………ぐあああぁぁぁぁ!?」
サリウスは、防御陣をいとも簡単に突破され、炎を直に食らった。そのまま空高く吹っ飛ばされると、地面に勢いよく衝突し、ぐへっ……………!? と呻き声をあげながら、地面に転がる。
(ぐっ……………こいつ、やばい…………!)
サリウスは、エレナを見上げながらそう思ったのだった。
魔王の娘─────サリウスは、街中の道をそれはもう、周囲への迷惑を顧みることもなく猛ダッシュで走り抜けていく。父─────魔王にも新しい技術を教えてもらった。今日こそは絶対に勝つのだ。魔王の娘のプライドが負けを許さない。
暫く人々の悲鳴が響き渡る中を走り続けた。
(父に言われた通り、角は隠したのだが……………なんで私を見て人間どもは悲鳴をあげているのだ……………?)
サリウスの国では、これくらいの移動速度など普通である。だが、人間の大多数が住む、このセレニア皇国において、この移動速度は普通ではないのだ。
「あれがレクスの屋敷か………………」
レクスの屋敷を視界に捉え、そう言うサリウス。今日はしっかりと玄関から入らないと、また父に厳しいお叱りを受ける羽目になる。というわけで。
「頼もおおぉぉーーーーー!!」
叫びながら、レクスの屋敷の玄関の扉を思いっきりぶち破って中に入った。これで、とりあえずお叱りは受けなくて済む。
「……………あなたは、あの時の……………」
丁度エレナが玄関付近にいた。
あの時の、というのは、レクスの屋敷の二階の窓を思い切り割って侵入してきた時の事だ。当然、あの時に自己紹介し合った訳でもないので、お互いの名前など知らない。まして、大した記憶力も持ち合わせていないサリウスは、お前は誰だ? みたいな顔になっていた。
「レクスはどこだ!」
サリウスはレクスの居場所を尋ねる。
「…………レクスなら、今日はいない…………。お出掛け中……………」
「どこにっ!?」
言って良いものか迷うエレナ。一応、レクスの行った場所は聞いている。ウグイヴの砦だ。サリウスがウグイヴの砦に行けば、レクスの邪魔になってしまう。そうすると、レクスの帰る時間が遅くなってしまう。それは嫌だ。レクスには、早く帰って来てほしい。
「ウグイヴの砦…………か。遠いが、私の魔技なら、半日もかからずにつける」
「……………………!? なんで…………!?」
自分の思考が読まれた事に驚くエレナ。
「ほ、本当にそこだったの…………ううん、わ、私は魔王の娘だぞ? これくらい出来て当然だ」
本当はカマをかけて、それがたまたま的中したなどとは言えないサリウスであった。
「…………むぅ……………」
エレナはサリウスを睨み、不機嫌そうに頬を膨らませていた。サリウスは一瞬たじろいだが、レクスの居場所も分かった事だし、急いでウグイヴの砦に向かう必要がある。
サリウスはそう思い、走り出そうと────────
「…………………行かせ、ない…………。………お前のせいで、レクスの帰りが遅くなったら…………困る………」
エレナは、サリウスの後ろに障壁を張って行かせないように邪魔をした。
「……………やるつもり? 魔王の娘であるこの私と」
「………魔王の娘だかなんだか、知らないけど……………お前程度には、負けない…………」
エレナは、睨み付けたままそう言った。引く気はないようだ。
「…………んじゃあ、先手は取らせてもらう!! 『落剛け────』」
「…………遅い………!」
エレナは屋敷に被害が出ないよう、障壁を周囲に張り巡らせつつ、魔法を発動。その魔法は──────『闇夜の陽炎』。
「───────!?」
突如、周りが暗くなり、地面から炎が勢いよく吹き出す。
「『防御陣』!!」
炎が迫って来るまで余裕もなかったため、簡易的な防御陣を展開。ダメージの軽減を試みる。
「うぐぐぐ………………ぐあああぁぁぁぁ!?」
サリウスは、防御陣をいとも簡単に突破され、炎を直に食らった。そのまま空高く吹っ飛ばされると、地面に勢いよく衝突し、ぐへっ……………!? と呻き声をあげながら、地面に転がる。
(ぐっ……………こいつ、やばい…………!)
サリウスは、エレナを見上げながらそう思ったのだった。
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