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8章 ダンジョンを守れ ~異種族間同盟~

うーん……これは困った

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「それで、少年を保護したけど、ずっと魔法袋マジックバッグに入れっぱなしだったってことだね…………」


 レクスは小さく溜め息をついた。少年を保護するのは構わないが、ちゃんと元の場所に返してあげないければ意味がない。しかもこの少年、ドワーフ国の勇者だという。これは更に厄介な事になりそうな気しかしない。

 
 現在、レクスは執務を終えて自室でくつろいでいたところに、


「明日、この子の親とそのテギルさん…………って人を探せばいいんだよね?」


「うん…………」


 エレナがレクスの言葉に頷いた。今日はもう遅いし、明日にした方がいいだろう。それを考えた上でレクスは明日と言ったのだ。


 今はとりあえずシュエイルは泣き止んでいる。夕食を食べたことで少し落ち着きを取り戻したようだ。まあ、寝ているからというのもあるかもしれないが。


「ネム」


「はーい、お呼びですか? マスター」


 ネムはそう言いながらレクスの首元から出てきた。その口調はいつも通り…………かはわからないが、とりあえず緩かった。


「うん。ネム、今さっきの話聞いてた?」


「バッチグーです! マスター!」


 ネムは親指でサムズアップしながらそう言った。


「どこでそんな言葉を覚えたの…………?」


 レクスは呆れたように溜め息を吐きながらそう言った。


「まあいいや。そんなことよりも、ネム。ちょっとテギルさんって人がどこにいるか探せるかな? さっき少年が言ってた特徴に合う人」


「分かりました! じゃあ、ちょっと広範囲を『見る』ことになるので、マスターの魔力も少し借ります」


 ネムはそう言った。広範囲を見て回るので、ネムの力だけでは足りないようだ。レクスが頷いて了承すると、ネムは『見る』を発動する。


「うむむ…………」


 ネムは唸りながらもテギルなる人物を探す。やはり広範囲を探すのは骨の折れる作業のようだ。当然だろう。ネムには負担をかけるようで悪いが、少しでも早くテギルを見つけておく必要がある。場合によっては…………なんてこともあるかもしれない。


 暫くネムの探索が終わるのを待った。


「マスター、それらしき人物がいました! ですが…………」


 ネムの表情には陰りが見えた。まさかの事態が起こっているのか─────と思う一堂。


「『ミューエル』にある建物の中の酒樽の近くで縛られたまま、限界だーーーー! とか大声で叫んでて、その、おもら──────」


「スト─────ップ!! 分かった、だいたい分かったから!」


 頬を染めながら爆弾発言を始めようとするネムを大慌てで止めるレクス。とりあえず、無事だったことが分かっただけ収穫である。


「『ミューエル』…………またあそこに行くわけね。はぁ~…………めんどくさい」


 ミーシャは溜め息を吐きながらそう言った。レクスが言える立場ではないが、少年を帰すのを忘れて連れ帰って来たからこういうことになっているのだと思った。


「話し合いはここまでにして、そろそろ寝ない? なんだか眠くなって来ちゃった…………」


 カレンは欠伸をしながらそう言った。


「そうね。明日『ミューエル』に行けば分かることだし」


 フィオナもカレンの言葉に同意するようにそう言った。


「それに、疲れが残ったまま探すのってよくないと思うのよ」


 フィオナの言葉にみんなが頷いた。ニューヴィーやその周辺に関する話し合いはこれで切り上げ、たわいもない雑談を少々した後、みんな眠りにつくのだった。
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