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8章 ダンジョンを守れ ~異種族間同盟~

レクス、ついに…………

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「…………ルーパはどこに連れ去られたの……!?」


「分からないわ。朝起きたらいなくなってた」


 フィオナは歯噛みしながらそう言った。フィオナが一番最初に起きて、その事に気づいたのだ。


「どうにか見つけ出したいけど…………」


 カレンは悔しそうにそう言った。寝てる間に誰かが忍び込んで、ルーパをさらっていったことになる。魔力反応で気づけるはずなのに気づけなかった。これは、取り返しのつかない大失態である。


「…………一旦レクスのところに戻ろう…………」


 エレナはそう提案した。レクスが回復してから探した方がすぐに見つかるかもしれない。闇雲に探して日数を消費するのは愚策である。


「それしかないね…………」


 ミアも同意した。他の面々も賛成のようで、うんうんと頷いていた。とりあえず、あとの事はレクスを助けてからという方向になった。


 エレナ達は急いで宿屋から出て、門を通って『ミューエル』の国外へと出た。目立たないところまで来たエレナ達は、魔法を使って上空を飛んでいくのだった。



◇◆◇◆◇


「ふぅ…………思ったよりもきついな」


 治療院でレクスの治療を行っている女性─────ミリィナは、額の汗を拭いながらそう呟いた。一週間持たせるなんて言ったが、これでは持たないかもしれない。


「はぁ…………はぁ」


 徐々に息が荒くなってきた。それでも、ミリィナは踏ん張る。一週間持たせると約束した以上、それを破るわけにはいかない。自分の名誉のためにも、そして、あの子達のためにも─────


「──────待たせて悪かったわね」


 そう言って扉を開けて入ってきたのは、エレナ達だった。因みに先程の言葉はミーシャのものである。


「案外、早かったじゃない…………」


 ミリィナの予想よりも大分早かった。だが、ミリィナは既に疲れきっていたため、驚くこともできなかった。ぐったりと疲れきっていたミリィナは、レクスの寝ているベッドに寄りかかるように倒れた。ミリィナは、そのままぐっすりと眠りについてしまった。


「…………お疲れ様………」


 エレナはミリィナは労る言葉をかけると、ミリィナの上に魔法袋マジックバッグから取り出した毛布をかけてやった。もしもの時のために持っておいたものだ。これで風邪をひくことはないだろう。


「…………回復薬があればいいんだっけ?」


 カレンはそう尋ねた。回復薬にアマオリを混ぜれば、薬は完成するらしい。あとは、それをレクスに飲ませればいいだけだ。


「…………回復薬なら、ここに………」


 エレナが回復薬を取り出した。


「あとはこれね」


 ミーシャはアマオリを取り出して、エレナに渡す。エレナは、回復とアマオリを混ぜ合わせた。そして──────ついに、『世界樹ユグドラシルの秘薬』が完成した。


「これを飲ませれば…………!」


 レクスが助かる。みんなそう思った。

 
 早速エレナ達は、レクスの口に少しずつ『世界樹ユグドラシルの秘薬』を飲ませていく。すると─────レクスの身体から青色の光が発現した。


 黒いアザが段々と消えていき、やがて全てなくなった。青色の光も、既に消えていた。レクスの身体は黒いアザができる前の状態に戻った。






◇『死の呪縛・凶』は解呪されました



 


 エレナ達の目の前にそのような画面が表示された。その画面を見て、エレナ達はほっと息を吐いた。


「とりあえず、目が覚めるのを待つしかないね…………」


 ミアは良かった…………という風に安堵の息を吐くと、そう言ったのだった。
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