上 下
254 / 454
8章 ダンジョンを守れ ~異種族間同盟~

ユグドラシルから採取

しおりを挟む
「ユグドラシルから出る樹液を取ればいいんだよね?」

 カレンはそう尋ねる。


「…………うん………」


 エレナはカレンの言葉に頷いた。


「そういえば…………ミーシャ達の方は大丈夫なのか?」


 トラランカはそう言った。ミーシャ達は魔物達と交戦していたはずだ。今から助けに向かわなくても大丈夫なのだろうか。


「…………それなら、大丈夫………あれを破壊した時に、その魔法式も削除しておいた」


「なるほど…………あれが魔物を呼び寄せてたってことか」


 トラランカが納得したように頷いた。あの錯覚させる障壁のようなものはどうやら魔物達を引き付ける役割まで担っていたようだ。


「…………もうじき、ミーシャ達も来るはず…………」


 エレナがそんなことを呟くと。


「─────ごめんなさい。遅くなったわ」


 ミーシャが走ってこちらに向かってきながらそう言った。ミーシャ達はあちこちが汚れており、激しい戦闘だったのだということが一目でわかる。実際、あれだけの魔物の群れを相手にすれば、こうなっても仕方ないだろう。


「それにしても…………急に魔物が逃げて行ったわ」


 ミーシャ達が戦っている最中に、急に魔物が恐れをなしたように次々と散らばって逃げていったのだ。今まで誰かに操られていたということだ。


「これがユグドラシル?」


 ミアが目の前の大樹を指差してそう言った。エレナ達の目の前にある大樹─────ユグドラシルには、力強い生命力が感じられた。


「ユグドラシルで間違いない…………」


 ルーパはそう言った。ルーパは花達の声が聞けるし、生命力も感じ取ることができる。花達が『ユグドラシル様を助けてくれてありがとう』って言っているので間違いないだろう。


「アマオリを採りましょう────と言いたいところなのだけど、その…………。採っても大丈夫なのかしら?」


 フィオナは心配そうな顔でそう言った。ユグドラシルからは荘厳さのようなものを感じ取っており、採っても大丈夫なのかと逆に不安になった。─────と。


『──────助けてくれてありがとのう。危うく暴走してしまうところだったわい。我が名はユグドラシル=レコードじゃ』


 そんな声が響き渡った。ルーパだけではなく、全員の脳内に響いていた。その声は低い男性のような声だった。しかし、話し方は意外と穏やかである。


『して、お主らは、先程の話からして儂の樹液が欲しいんじゃな?』


 うんうん、と頷くエレナ達。ユグドラシルがふっ────と笑ったような気がした。


『なら、好きなだけ持っていくといい。代わりと言ってはなんじゃが…………一つだけ、お主らにお願いがあるのじゃ』


 ユグドラシルはそう言うと、ポツリポツリと語りだした。


『─────儂は、もうそれほど長くない。何千年も生きてきた。その間、儂はずっとこの森を守ってきたつもりじゃ。じゃが、ユグドラシルとて、永久の命という訳にもいかんようじゃ。現に、儂の力は弱体化している。さっきのだって、以前の儂なら魔物をけしかけて追い払えたはずの、なんでもないことだったんじゃ』


 苦笑するような声さえ聞こえるユグドラシルの言葉。エレナ達は、ユグドラシルの話を真剣に聞いた。


『─────儂がいなくなった後の、この森のことが心配じゃ。そこでお主らに頼みがある。この森を守って欲しいんじゃ。勿論、ただでとは言わん』


 ユグドラシルがそう言うと、突如目の前に光る球体が出現し──────本の形を成した。


『この本には、この世界のことについて様々なことが記されている。とはいっても、儂の何千年分もの記憶を形にしただけだがのう』


 ユグドラシルはそう言った。
 
しおりを挟む
感想 490

あなたにおすすめの小説

異世界に落ちたら若返りました。

アマネ
ファンタジー
榊原 チヨ、87歳。 夫との2人暮らし。 何の変化もないけど、ゆっくりとした心安らぐ時間。 そんな普通の幸せが側にあるような生活を送ってきたのにーーー 気がついたら知らない場所!? しかもなんかやたらと若返ってない!? なんで!? そんなおばあちゃんのお話です。 更新は出来れば毎日したいのですが、物語の時間は割とゆっくり進むかもしれません。

ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い

平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。 ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。 かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる

遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」 「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」 S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。 村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。 しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。 とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。

断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた

兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。

【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】  最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。  戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。  目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。  ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!  彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!! ※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。