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8章 ダンジョンを守れ ~異種族間同盟~
水面下
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「ふぅ…………なんとか早く着けたね」
「そうね」
ミアの言葉にミーシャが同意するように頷いた。ここ、『ミューエル』に来る途中に空を飛んでいる魔物とかがいた気がするが、そんなものはスルーだ。仮にいたとしても、絶対に追いつけないので大丈夫なのである。
「それにしても…………どこから入る? 警備とか堅そうだけど」
カレンが『ミューエル』に入るための門にいる衛兵を見てそう言った。門の近くには、衛兵が六人くらいいた。門番くらい、二人でも十分だろうに。四人ならまだわかるが、六人は多すぎる。何か嫌な予感しかしない。
それでも、レクスを助けるためには『ミューエル』に入ってユグドラシルを見つける必要があるだろう。
「なんでこっそり入ることが前提になってるの? 普通に入ればいいんじゃないかしら」
フィオナがそんなことを言った。
「…………ああ、なるほどね」
ミーシャが察したのか、カレンの言葉に納得したような表情に。
「エルフ族とダークエルフ族は仲があまり良くなかったんだっけ?」
「そうなんだよね…………今も一応、戦争状態っていうか、緩和しつつはあるんだけど…………そのせいで、仲もそんなに良くないんだ」
エルフ族とダークエルフ族はいがみ合う前はそれほど仲が悪いわけではなかった。
しかし、些細なことがきっかけで両者の関係に亀裂が入る。きっかけは本当に小さなことだった。それは─────一つの喧嘩からだ。その喧嘩云々については、のちほど語られる時が来るだろう。とにかく、たった一つの喧嘩からこんな国同士の争いになったのだ。
「まあ、別に変装できるから問題ないけどね!」
カレンはそう言うと、魔法を発動する。すると─────カレンの髪の色がダークエルフ族特有の銀色の髪が金髪に変化した。黒褐色の色だった肌も白色の透き通るような肌になり、エルフ族特有の容姿へと変わっていった。
「こんなこともあるかと思って、習得しておいたんだ。変色」
カレンはそう言って微笑む。本当は違う。本当は、もともとこの魔法は習得していたのだ。とある理由があるために。しかし、今この場でそんなことを言っても仕方がない。
「…………まあ、今はそういうことにしといてあげるわ」
ミーシャはそう言った。
「…………その代わり、あとできちんと話しなさいよ。何を隠してるか知らないけど」
ミーシャはカレンの横を通りすぎる際に、そんなことを呟いていった。カレンはえっ? と間抜けな声を出して驚いていた。
「とりあえず、ミューエルに入るわよ。もたもたしてる暇はないわよ」
エレナ達は、ミューエルに入る門へと向かっていくのだった。
◇◆◇◆◇
「…………遂に見つけましたよ。『愛し子』」
木の陰に隠れて様子をうかがっていた青年─────イウティスは、微笑みながらそう呟いた。しかし、その微笑みは────残忍な者が浮かべるものだった。
「全く、苦労をかけてくれますねぇ…………。わざわざセレニア皇国にまで拠点を移したのに、見つかりませんし…………。でもまあ、こうして『愛し子』が見つかった訳ですから良しとしましょう。やっぱり、気晴らしで遠出してみるものですね」
そう。イウティスにとってこれは気晴らしなのだ。イウティスは行き詰まった時に遠出するというルーティーンがある。今回はその途中で、たまたま件の少女が見つかっただけのことだ。
「ふふふ…………『愛し子』。『愛し子』を捕まえてあの方に差し出せば、私の欲しいものが手に入る…………」
イウティスはそう言うと、再びニヤリ…………と笑ったのだった。
「そうね」
ミアの言葉にミーシャが同意するように頷いた。ここ、『ミューエル』に来る途中に空を飛んでいる魔物とかがいた気がするが、そんなものはスルーだ。仮にいたとしても、絶対に追いつけないので大丈夫なのである。
「それにしても…………どこから入る? 警備とか堅そうだけど」
カレンが『ミューエル』に入るための門にいる衛兵を見てそう言った。門の近くには、衛兵が六人くらいいた。門番くらい、二人でも十分だろうに。四人ならまだわかるが、六人は多すぎる。何か嫌な予感しかしない。
それでも、レクスを助けるためには『ミューエル』に入ってユグドラシルを見つける必要があるだろう。
「なんでこっそり入ることが前提になってるの? 普通に入ればいいんじゃないかしら」
フィオナがそんなことを言った。
「…………ああ、なるほどね」
ミーシャが察したのか、カレンの言葉に納得したような表情に。
「エルフ族とダークエルフ族は仲があまり良くなかったんだっけ?」
「そうなんだよね…………今も一応、戦争状態っていうか、緩和しつつはあるんだけど…………そのせいで、仲もそんなに良くないんだ」
エルフ族とダークエルフ族はいがみ合う前はそれほど仲が悪いわけではなかった。
しかし、些細なことがきっかけで両者の関係に亀裂が入る。きっかけは本当に小さなことだった。それは─────一つの喧嘩からだ。その喧嘩云々については、のちほど語られる時が来るだろう。とにかく、たった一つの喧嘩からこんな国同士の争いになったのだ。
「まあ、別に変装できるから問題ないけどね!」
カレンはそう言うと、魔法を発動する。すると─────カレンの髪の色がダークエルフ族特有の銀色の髪が金髪に変化した。黒褐色の色だった肌も白色の透き通るような肌になり、エルフ族特有の容姿へと変わっていった。
「こんなこともあるかと思って、習得しておいたんだ。変色」
カレンはそう言って微笑む。本当は違う。本当は、もともとこの魔法は習得していたのだ。とある理由があるために。しかし、今この場でそんなことを言っても仕方がない。
「…………まあ、今はそういうことにしといてあげるわ」
ミーシャはそう言った。
「…………その代わり、あとできちんと話しなさいよ。何を隠してるか知らないけど」
ミーシャはカレンの横を通りすぎる際に、そんなことを呟いていった。カレンはえっ? と間抜けな声を出して驚いていた。
「とりあえず、ミューエルに入るわよ。もたもたしてる暇はないわよ」
エレナ達は、ミューエルに入る門へと向かっていくのだった。
◇◆◇◆◇
「…………遂に見つけましたよ。『愛し子』」
木の陰に隠れて様子をうかがっていた青年─────イウティスは、微笑みながらそう呟いた。しかし、その微笑みは────残忍な者が浮かべるものだった。
「全く、苦労をかけてくれますねぇ…………。わざわざセレニア皇国にまで拠点を移したのに、見つかりませんし…………。でもまあ、こうして『愛し子』が見つかった訳ですから良しとしましょう。やっぱり、気晴らしで遠出してみるものですね」
そう。イウティスにとってこれは気晴らしなのだ。イウティスは行き詰まった時に遠出するというルーティーンがある。今回はその途中で、たまたま件の少女が見つかっただけのことだ。
「ふふふ…………『愛し子』。『愛し子』を捕まえてあの方に差し出せば、私の欲しいものが手に入る…………」
イウティスはそう言うと、再びニヤリ…………と笑ったのだった。
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