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8章 ダンジョンを守れ ~異種族間同盟~

展望台の守護者

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 レクス達は現在、長い長い螺旋状の階段を上っていた。上に向かってひたすら走る。


「あの扉の先に展望台があるわ!!」


 ユキメウラは、目の前の扉を指差しながらそう言った。ユキメウラは、レインに背負ってもらっていた。正確にいえば、跨がっている訳だ。理由は至って単純、ユキメウラがレクス達ほど速く走れないからである。


「間に合えっ─────!」


 レクスがその扉に手を掛けようとしたとき─────。



「────────!?」


 レクスは立ち止まって一歩後退した。エレナ達もそれにならって足を止め、後退した。そのすぐ後、上から何かが降り立ち、レクス達の前に立ちはだかった。それは、全身を鎧で覆い隠し、完全武装をしていた。


「マスター! この魔物を倒さないと、扉が開かないようです!」


「なるほど……………ね………」


 正直魔物でなかったらお手上げだったかもしれないが、相手が魔物ということなら、魔石みたいなのがあるはずだ。しかも一体。これはもう、あれしかないだろう。


「『発散』!!」


 レクスは『発散』を発動。『精力』を中から外へ放出させる。相変わらず、スキルで使えるのは『日常動作』のみ。未だに『制限』が解除されないからだ。因みに、『取る』ではこの場合は死んだ魔物の素材しか取れない。取れれば楽なのに…………と何回思ったことか。


「『発散』!」


 更に重ねがけをするレクス。『精力』を感じる事はできないが、ユキメウラの驚きようと立っている全身鎧の魔物がだんだん力が抜けていっているところから『精力』が抜け出ていることが窺える。



「………………もしかしたら………!」


 レクスは試しに『取る』を発動。すると、『精力』が身体の中に入ってくる。




◇スキル『精力操作』、『精力生成』を獲得しました






「うぉ…………!?」


 レクスは目の前に現れた画面を見て、驚いたように声を出した。画面を見るに、今のでスキルを獲得したらしい。しかも、どちらも使える。『発散』するのを待つのも惜しいので、早速使う。まずは『精力』を生成。


「我が精力よ…………我が呼びかけに答えよ………『貫杭』!」


 すると、『精力』が集まり杭の形を成した。そのままフラフラな全身鎧の魔物に向けて射出。そのまま魔石ごと貫き、光の粒子となって全身鎧の魔物は消えていった。


「い、今のは『精力』…………? た、確か人間ヒューマン族じゃ扱えない筈じゃ…………!?」



 心底驚いたような表情でそう言うユキメウラ。先程からずっと驚きっぱなしだ。他の面々も多少は驚いたものの、もう慣れっこなので苦笑しながらその様子を眺めていた。


「みんな、急ぐよ!」


 レクスはあたらしく獲得したスキルに喜ぶこともなく、先を急ぐ。時間がないからだ。


 そんなレクスに、みんなは頷きながら扉を開けたレクスに続いていくのだった。



◇◆◇◆◇


「───────よくここまでたどり着いたね。残り7分だ」


 拍手しながら、椅子から立つリライ。その顔には少しも追い詰められた様子はない。どこまでも憎たらしい奴である。


「………………スイッチはどこに?」


「僕がそう簡単に教えるとでも思うかい? ─────と言いたいところだけど、特別に教えてあげよう。これがそうさ」


 リライはパチンッと指を鳴らし、白い穴を出現させ、そこからスイッチを取り出す。


「───────こっちに渡せ」


 少し荒々しい口調になるレクス。


「流石にそれは出来ないなぁ」


 やれやれ…………といった様子で首を振るリライ。


「──────風よ、舞え! 『暴乱風刃ヴィアレントウィンドブレイド』!」



 次の瞬間、リライを取り囲むように竜巻が発生し、その中を風の刃が飛び交う。しかし──────。





ガキィン! ガキィン!ガキィン!





「無駄だよ。僕は守られてるからね」


 リライの周りには、直方体のような障壁が展開されていた。簡単には破れそうにない。暫くの間、膠着状態が続いたかと思うと、リライが何か閃いたように声をあげる。


「─────あ、じゃあさ。僕の提案したゲームを攻略できたら、スイッチを君にあげるよ」


 リライは微笑みながらそう言った。
 
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