149 / 454
8章 ダンジョンを守れ ~異種族間同盟~
捕獲?
しおりを挟む
『───────以上が、今のダンジョンの防衛状況さ』
「なるほど……………大体理解した」
ローガンは、難しい顔をしながら頷いた。ダンジョンの防衛状況が思ったよりも芳しくないものだったからだ。
「それにしても、まさかレクス殿がダンジョンの主だったとは。驚いたどすえ」
カルメラがそんな事を言った。マリューシュの話のお陰で、無事にレクスの嫌疑? も晴れた。
「……………セレニア皇国のダンジョン以外にも、主はいるのか?」
エルフ族のハールがそんな事を聞いた。皆も気になるらしく、耳を傾ける。
『う~ん…………どうかな。僕の聞く限りだと、いないと思うけど』
「…………なるほど」
「じゃあ、この場にいる人達で残りのダンジョンの主を務めるのはどうでしょう!」
オウルドは名案が思い付いたとばかりにそう言う。
『…………ダンジョンの主は、僕達妖精族が認めないとなれないのさ』
マリューシュは、どこか難しい顔をしてそう言った。妖精族の中には頑固な者が多い。実力がなければ、ダンジョンの主にはなれない。あ、言っとくけど、僕は頑固じゃないよ? うん、違うからね?
「でしたら、どうすればいいですか?」
『多分みんな、ダンジョンのどこかにいると思うから、頑張って探して実力を認めてもらうしかないね』
マリューシュは、そんな事を言った。
◇◆◇◆◇
会議が終わってから、数時間後─────。
「ククク……………これがダンジョンコアか」
黒いフードを被った男が、そんな事を呟いた。声は低く、どこか威圧感すら感じさせる。男は、試しにダンジョンコアに触れてみた。すると───────。
バチィ!!
弾かれてしまった。どうやら結界が張られているようだ。
「いってぇ…………!」
思ったより痛かったのか、涙目になる男。
「確か、これで結界を壊せるんだっけか…………」
男はそう言って、黒色の結晶を取り出す。見るからにまがまがしいオーラを放っている。
「ふんっ!!」
男は魔力を込めて結晶を割った。すると、黒色の霧が結界を覆い──────結界を割った。パリイイイィィィ─────ン! という大きな音と共に、粉々に砕け散った。
「これで後はダンジョンコアを支配すれば──────」
「─────そこまでにしてもらおうか」
「うぐぅ!?」
男は、魔力で編まれた縄によって拘束された。完全に油断しきっていたのか、敵の気配に気づくことすら出来なかった。
「くそっ、魔力が足りねえっ…………!」
先程の黒い結晶に魔力の半分を使ってしまったので、この縄をほどける程の力はなかった。
「ああっ、一体誰が…………!」
「やあ。初めまして」
マリューシュはそう言いながら、男の前に姿を現す。
「き、貴様は…………妖精族!?」
何故ここに、とでも言いたげな顔で驚く男。
「それにしても…………こんな簡単な囮に引っ掛かってくれるとは、思いもしなかったよ」
マリューシュは勝者の笑みを浮かべながら、結界を張り直す。先程よりも、強い効力を持った結界だ。先程のは、あえて弱い効力の結界を張り直し張ったのだ。油断してもらうために。男は、魔力を半分も使ったのに………………と少し哀れな表情でそう言っていた。
「さて─────その姿、見せてもらうよ」
パチンッと指を鳴らすと、魔力の縄と共にローブも一緒に弾け飛び、その姿が露になった。背中から黒い翼を生やし、藍色の髪に黒の瞳を持っていた。その目は細長く、鋭かった。
「─────黒翼人族…………ね」
マリューシュはきっちりと姿を目に焼き付け
た。
「ちぃっ!!」
舌打ちしながらも、縄がほどけたのをいいことに、逃げ出そうとする黒翼人族の男。しかし──────。
「あっ!?」
何か糸のようなものに引っ張られた男は、そのまま盛大にコケて、顔面を強打した。
「逃がすわけにはいかないよ? 君には聞きたい事がたくさんあるんだ………………って、気絶してる?」
おーい、と何度か呼び掛けるも男が反応することはなかった。
「ま、いっか。こっちの方が楽に運べるし」
マリューシュはそう言うと、男を魔法で浮遊させ、尋問するべくダンジョンの中にある個室へと連れていくのだった。
「なるほど……………大体理解した」
ローガンは、難しい顔をしながら頷いた。ダンジョンの防衛状況が思ったよりも芳しくないものだったからだ。
「それにしても、まさかレクス殿がダンジョンの主だったとは。驚いたどすえ」
カルメラがそんな事を言った。マリューシュの話のお陰で、無事にレクスの嫌疑? も晴れた。
「……………セレニア皇国のダンジョン以外にも、主はいるのか?」
エルフ族のハールがそんな事を聞いた。皆も気になるらしく、耳を傾ける。
『う~ん…………どうかな。僕の聞く限りだと、いないと思うけど』
「…………なるほど」
「じゃあ、この場にいる人達で残りのダンジョンの主を務めるのはどうでしょう!」
オウルドは名案が思い付いたとばかりにそう言う。
『…………ダンジョンの主は、僕達妖精族が認めないとなれないのさ』
マリューシュは、どこか難しい顔をしてそう言った。妖精族の中には頑固な者が多い。実力がなければ、ダンジョンの主にはなれない。あ、言っとくけど、僕は頑固じゃないよ? うん、違うからね?
「でしたら、どうすればいいですか?」
『多分みんな、ダンジョンのどこかにいると思うから、頑張って探して実力を認めてもらうしかないね』
マリューシュは、そんな事を言った。
◇◆◇◆◇
会議が終わってから、数時間後─────。
「ククク……………これがダンジョンコアか」
黒いフードを被った男が、そんな事を呟いた。声は低く、どこか威圧感すら感じさせる。男は、試しにダンジョンコアに触れてみた。すると───────。
バチィ!!
弾かれてしまった。どうやら結界が張られているようだ。
「いってぇ…………!」
思ったより痛かったのか、涙目になる男。
「確か、これで結界を壊せるんだっけか…………」
男はそう言って、黒色の結晶を取り出す。見るからにまがまがしいオーラを放っている。
「ふんっ!!」
男は魔力を込めて結晶を割った。すると、黒色の霧が結界を覆い──────結界を割った。パリイイイィィィ─────ン! という大きな音と共に、粉々に砕け散った。
「これで後はダンジョンコアを支配すれば──────」
「─────そこまでにしてもらおうか」
「うぐぅ!?」
男は、魔力で編まれた縄によって拘束された。完全に油断しきっていたのか、敵の気配に気づくことすら出来なかった。
「くそっ、魔力が足りねえっ…………!」
先程の黒い結晶に魔力の半分を使ってしまったので、この縄をほどける程の力はなかった。
「ああっ、一体誰が…………!」
「やあ。初めまして」
マリューシュはそう言いながら、男の前に姿を現す。
「き、貴様は…………妖精族!?」
何故ここに、とでも言いたげな顔で驚く男。
「それにしても…………こんな簡単な囮に引っ掛かってくれるとは、思いもしなかったよ」
マリューシュは勝者の笑みを浮かべながら、結界を張り直す。先程よりも、強い効力を持った結界だ。先程のは、あえて弱い効力の結界を張り直し張ったのだ。油断してもらうために。男は、魔力を半分も使ったのに………………と少し哀れな表情でそう言っていた。
「さて─────その姿、見せてもらうよ」
パチンッと指を鳴らすと、魔力の縄と共にローブも一緒に弾け飛び、その姿が露になった。背中から黒い翼を生やし、藍色の髪に黒の瞳を持っていた。その目は細長く、鋭かった。
「─────黒翼人族…………ね」
マリューシュはきっちりと姿を目に焼き付け
た。
「ちぃっ!!」
舌打ちしながらも、縄がほどけたのをいいことに、逃げ出そうとする黒翼人族の男。しかし──────。
「あっ!?」
何か糸のようなものに引っ張られた男は、そのまま盛大にコケて、顔面を強打した。
「逃がすわけにはいかないよ? 君には聞きたい事がたくさんあるんだ………………って、気絶してる?」
おーい、と何度か呼び掛けるも男が反応することはなかった。
「ま、いっか。こっちの方が楽に運べるし」
マリューシュはそう言うと、男を魔法で浮遊させ、尋問するべくダンジョンの中にある個室へと連れていくのだった。
0
お気に入りに追加
8,243
あなたにおすすめの小説
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた
兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。
ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い
平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。
ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。
かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。
【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】
最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。
戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。
目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。
ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!
彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!!
※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中
異世界に落ちたら若返りました。
アマネ
ファンタジー
榊原 チヨ、87歳。
夫との2人暮らし。
何の変化もないけど、ゆっくりとした心安らぐ時間。
そんな普通の幸せが側にあるような生活を送ってきたのにーーー
気がついたら知らない場所!?
しかもなんかやたらと若返ってない!?
なんで!?
そんなおばあちゃんのお話です。
更新は出来れば毎日したいのですが、物語の時間は割とゆっくり進むかもしれません。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる
遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」
「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」
S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。
村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。
しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。
とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。
せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。