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8章 ダンジョンを守れ ~異種族間同盟~

捕獲?

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『───────以上が、今のダンジョンの防衛状況さ』


「なるほど……………大体理解した」


 ローガンは、難しい顔をしながら頷いた。ダンジョンの防衛状況が思ったよりも芳しくないものだったからだ。


「それにしても、まさかレクス殿がダンジョンの主だったとは。驚いたどすえ」


 カルメラがそんな事を言った。マリューシュの話のお陰で、無事にレクスの嫌疑? も晴れた。



「……………セレニア皇国のダンジョン以外にも、主はいるのか?」


 エルフ族のハールがそんな事を聞いた。皆も気になるらしく、耳を傾ける。


『う~ん…………どうかな。僕の聞く限りだと、いないと思うけど』


「…………なるほど」


「じゃあ、この場にいる人達で残りのダンジョンの主を務めるのはどうでしょう!」


 オウルドは名案が思い付いたとばかりにそう言う。


『…………ダンジョンの主は、僕達妖精族が認めないとなれないのさ』


 マリューシュは、どこか難しい顔をしてそう言った。妖精族の中には頑固な者が多い。実力がなければ、ダンジョンの主にはなれない。あ、言っとくけど、僕は頑固じゃないよ? うん、違うからね?


「でしたら、どうすればいいですか?」


『多分みんな、ダンジョンのどこかにいると思うから、頑張って探して実力を認めてもらうしかないね』


 マリューシュは、そんな事を言った。



◇◆◇◆◇


 会議が終わってから、数時間後─────。


「ククク……………これがダンジョンコアか」


 黒いフードを被った男が、そんな事を呟いた。声は低く、どこか威圧感すら感じさせる。男は、試しにダンジョンコアに触れてみた。すると───────。




バチィ!!






 弾かれてしまった。どうやら結界が張られているようだ。


「いってぇ…………!」


 思ったより痛かったのか、涙目になる男。


「確か、これで結界を壊せるんだっけか…………」


 男はそう言って、黒色の結晶を取り出す。見るからにまがまがしいオーラを放っている。


「ふんっ!!」


 男は魔力を込めて結晶を割った。すると、黒色の霧が結界を覆い──────結界を割った。パリイイイィィィ─────ン! という大きな音と共に、粉々に砕け散った。



「これで後はダンジョンコアを支配すれば──────」


「─────そこまでにしてもらおうか」


「うぐぅ!?」


 男は、魔力で編まれた縄によって拘束された。完全に油断しきっていたのか、敵の気配に気づくことすら出来なかった。


「くそっ、魔力が足りねえっ…………!」



 先程の黒い結晶に魔力の半分を使ってしまったので、この縄をほどける程の力はなかった。


「ああっ、一体誰が…………!」


「やあ。初めまして」


 マリューシュはそう言いながら、男の前に姿を現す。


「き、貴様は…………妖精族!?」


 何故ここに、とでも言いたげな顔で驚く男。


「それにしても…………こんな簡単な囮に引っ掛かってくれるとは、思いもしなかったよ」


 マリューシュは勝者の笑みを浮かべながら、結界を張り直す。先程よりも、強い効力を持った結界だ。先程のは、あえて弱い効力の結界を張り直し張ったのだ。油断してもらうために。男は、魔力を半分も使ったのに………………と少し哀れな表情でそう言っていた。



「さて─────その姿、見せてもらうよ」


 
 パチンッと指を鳴らすと、魔力の縄と共にローブも一緒に弾け飛び、その姿が露になった。背中から黒い翼を生やし、藍色の髪に黒の瞳を持っていた。その目は細長く、鋭かった。


「─────黒翼人族…………ね」


 マリューシュはきっちりと姿を目に焼き付け
た。


「ちぃっ!!」


 舌打ちしながらも、縄がほどけたのをいいことに、逃げ出そうとする黒翼人族の男。しかし──────。



「あっ!?」


 何か糸のようなものに引っ張られた男は、そのまま盛大にコケて、顔面を強打した。


「逃がすわけにはいかないよ? 君には聞きたい事がたくさんあるんだ………………って、気絶してる?」


 おーい、と何度か呼び掛けるも男が反応することはなかった。


「ま、いっか。こっちの方が楽に運べるし」


 マリューシュはそう言うと、男を魔法で浮遊させ、尋問するべくダンジョンの中にある個室へと連れていくのだった。

 


 








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