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6章 突如、領地経営へ

欲望に満ちた魔女

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 翌日────。




「ふわぁ………………」








 レクスは大きく伸びをしながら、ベッドから起き上がった。レクスは寝ぼけ眼を擦りながらカーテンを開けると、人がたくさん行き来している様子が見えた。どうやら時刻的に昼らしく、ぐっすり寝込んでしまっていたらしい。





「ミーシャ…………絶対に助け出してみせるからね」




 そして、ルミリア騎士伯の行った悪行を裁きたい。フィアさんの作戦がうまくいくことを願おう。





コンコン




 




 レクスがそんなことを考えていると、ドアをノックする音が。




「どうぞー」




 レクスの返事を聞くと、ドアを開けて入ってきたメイド長─────シュレム。





「レクス君、昼食の準備が出来てますよ」



「分かった。みんなを起こしてから食堂に行くよ」




 シュレムの言葉にそう答えるレクス。




「かしこまりました。…………それはそうと、レクス君」





「うん? ─────うわぁ!?」





 シュレムはレクスのすぐ傍までくると、そのままレクスに抱きついた。優しい抱擁だ。





「な、何してるの? シュレムさんっ」




「レクス君成分の補給です。ここ何年かずっと抱かせてくれませんでしたし。今がチャンスだと思いまして」




「ちょっ、ちょっと、シュレムさん!! 誤解を生むような事言わないでよ!」




 レクスは顔を真っ赤にしながらそう言った。




「おやおや~、レクス君。君もそういうお年頃になったんですね~?」




 シュレムはニマニマしながらそう言った。レクスの顔は更に真っ赤になり、ゆでダコのようになっていた。





「ち、違いますからね!? 全く…………シュレムさんはいつも─────」




 そう言って、レクスが言葉を続けようとする前に。





「─────緊張はほぐれましたか?」




 レクスの耳元で、そう囁くシュレム。




「──────!?」




「私達メイドは、戦う力もないので、レクス君達を助けたいと思っていても足手まといになるようなことしか出来ません。ですので、メイドとして出来ることを精一杯していこうと思いまして」




 ふふっ、と微笑みながらそういうシュレム。





「そうだったんだ…………。シュレムさん、ありがとう」





 確かに、相手が神武具だからって気負いすぎてたのかもしれないね。神武具にだって、弱点はあるはず。戦うことにならなければいいけど…………万が一があるからね。




「いえいえ♪」





 まあ、レクス君成分を補給したかったのは本当だけど。




「シュレム…………!」




「…………いい度胸………!」





 次々起き上がって来て、そう言ったのは、エレナ達だ。状況を見て、大体察したらしい。




 この後、暫く女の修羅場だった。



◇◆◇◆◇


 時刻は昼過ぎになり─────。場所はルミリア騎士伯の部屋。




「捕虜の方はどう?」




「はっ。現在、大人しく監獄の中に入っております。飯も十分に与えてはいますが…………食う量が多すぎて、頻繁に買い出しに行かなければならない状況になっています」



 ミーシャは食欲旺盛だ。ルミリア騎士伯は少食なので、そんなに買い足す必要は無いのだ。しかし、ミーシャはけた違いに食べるので、このような状況になった。




「そう…………。まあ、それはいいとして………ユーエ。作戦を少し変えるわ…………。天使様からのお告げよ…………」




「それは如何様に?」




 名前を呼ばれた少女─────ユーエはそう尋ねた。




「…………書類を貰った後、あの娘を見せしめに殺すわ…………。……天使様は、絶望を所望してるらしいの…………。勿論、あの娘の仲間も…………」



 ふふっ、ふふふふ…………と不気味に嗤うルミリア。それは、決して妖艶な笑みではなく、欲望に満ちた魔女のような笑みである。





「─────はっ、分かりました。他のメイドにも、そのように伝えます」





「頼んだわ……………」





 ユーエは、ルミリアの言葉を聞くと、すぐにその場を立ち去った。他のメイド達に、言伝てに行ったのだろう。





「もう少しで、私の望みが叶う………………」




 ルミリアは、上機嫌に笑いながらそう呟くのだった。




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