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6章 突如、領地経営へ

フィアにも報告

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「証拠を探している時に、その少女達に攻撃されて、ミーシャが連れ去られたと…………。明日までにその証拠の紙を渡さないと、ミーシャは殺される…………そういうことね?」




「………………うん」





 フィアは、レクスの話を冷静に聞いてそう言った。フィアの手には、レクスが先程渡した証拠の紙が。





「しかし…………まさか、ルミリア騎士伯と犯罪組織が繋がっていたなんてね」





 フィアは驚いたような表情でそう言った。しかも、ルミリア騎士伯は今回の選挙の最有力候補。これを見逃せば、国としても大問題だ。





「それにしても…………ルミリア騎士伯はどうしてここまでして皇女の側近になりたいのか…………」




 フィアは顎に手を当てて考え込む。しかし、特に何か浮かぶわけでもなかった。




「ねえ、フィアさん…………。どうしたらいいと思う?」




「そうだね…………。これを大人しく渡して、ミーシャを返してくれるのかどうかだね…………。場所はサイロク橋でしょ?」




「うん」




 フィアの問いにレクスは頷いた。




「サンロク橋は、普段ほとんど人も通らないような所だからね。何をされてもおかしくない」





 フィアは苦い表情をしながらそう言った。





「────だから、私達も気取られないようにすぐ近くってわけにもいかないけど、見守ってるから。何かあれば、直ぐに駆けつけるよ」




 フィアがそんな事を言った。私達、とは騎士団のことだろう。フィアさん達を危険な目には会わせたく無いんだけど…………ここで断るのも無粋だね。



 レクスはフィアの決意に満ちた眼差しを見て、そんな事を思った。




「…………うん、ありがとう。フィアさん」




 後は、ミーシャをどうやって助け出すだけど…………。




「ミーシャを助けるにはやっぱり…………この紙を素直に渡すしかないね」




 証拠を手渡すのは惜しいが、ミーシャの命に比べれば、こんなの大したこともない。これを渡して、レクス達にとって何も悪いことが起きなければ、素直に渡していることだろう。





「ルミリア騎士伯…………皇女の側近になって何をするつもりなんだろう………?」




 場合によっちゃ、排除する必要性すら出てくるだろう。レクスはそんなことを考えていた。




「ねえねえ、レクス。私、その紙を渡さなくても、ミーシャを助けられる方法を思い付いたんだけど」




 フィアは何か思い付いたような様子でそう言った。




「それは!?」



「………………何?」




「教えて、フィアさん!」




 レクス、エレナ、ミアがそう言いながら食いついた。カレンとティーナも、その方法とやらを聞くために、耳を傾けるのだった。



◇◆◇◆◇


「─────お前はここにでも座っておけ」




「きゃあ!?」




 乱雑に押されたミーシャは、そのまま牢獄の冷たい床に尻餅をついた。そして、ガシャ────ン!! と勢いよく扉を閉められ、鍵を掛けられてしまった。





「──────なーんてね」




 ミーシャは、先程までとは違い、余裕のある表情を浮かべた。先程までのは全て演技だったのだ。何か言われると面倒臭いので、そういう風にしていただけなのだ。




「まずはこの枷を外して…………と」




 ミーシャは、聖剣時代の頃の『聖力』が僅かに残っていたので、それを使ってこの足枷を解いた。この足枷は魔力だけしか制限できないようだ。




 暫く『聖力』を通すと、カチャ…………と音を立てて外れた。





「さて…………。それにしても………あいつらが持ってた武器………あれは神武具のレプリカね」





 神武具はもっとまがまがしいというか…………もっと強大な力を感じるはず。私は一度だけだけど、神武具を見たことがある。あんなものじゃなかった。





「一体誰があんなの作ったのかしら…………」




 まあ、問題はそこじゃないよね。取り敢えず、あの武器をどうにかして壊さないと…………。私の魔法で壊せるかどうか。それに、ここの建物の構造が分からない以上、下手には動けないしね。





「取り敢えず、足枷をつけたふりをしたまま、情報収集ね…………。明日までには、どうにかしないと…………」




 ミーシャは、そんなことを呟いた。
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