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6章 突如、領地経営へ

打開策は─────。

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『明日の夜10時に、その紙を持ってグレイト区のサイロク橋の下へ来い。応じない場合は────この娘は殺す』





 手紙の内容はそんな感じのものだった。レクス達は、ミーシャをさらわれてしまったことに、不甲斐なさと悔しさを感じていた。





「くそっ………………! ミーシャ…………!」



 レクスは拳を思い切り地面に叩きつけた。他のみんなも、やりきれないような表情だ。




「………………レクス…………。…………ミーシャのことだからきっと大丈夫………。……それよりも打開策を考えるべき…………」




 そんな中、エレナはレクスにそう言った。あの少女達が持っていた武器の数々…………あれは、絶対に普通の武器ではない。スキルを破る武器や、攻撃を完全に防ぐ武器。更には転移まで…………。





「………………! そ、そうだよね………約束の期限は明日…………。それまでに、打開策を考えないと………」




 エレナの言葉にはっとさせられるレクス。ここで今悔やんでいても、ミーシャは戻ってこない。今は出来ることをするのが最優先だ。





「ねえ、レクス。ちょっといい?」




「ん? どうしたの? カレン」




「さっきの人達が持ってた武器に、心当たりがあるんだけど…………」





「さっきの武器って…………ああ、あれね。…………あれの正体が分かったの?」




 レクスは、真剣な表情でそう問う。




「うん…………。恐らくだけどあれは─────神武具じゃないかな」




「神武具?」




「そう。神武具っていうのは、簡単に言えば、神様が作った武器の事。本当かどうかは定かじゃないらしいけどね。でも、威力は相当なものらしいね。今は確か、人間ヒューマン族の王族の宝物庫に眠ってるって聞いてたけど…………」




「神武具ね………………」




 でも、王宮は確か警備は堅い筈じゃ…………。王宮に入ろうものなら、直ぐに騒ぎになるだろう。しかも、そこそこの手練れだ。簡単にやられる筈がない。あの少女達に、そこまでの力があるとは到底思えない。




「王族に、内通者でもいるのかな……………?」



「ねえ、お兄ちゃん、考えるのも大事だけど…………。今日はもう寝ようよ…………。ミーシャちゃんを助けるんでしょ? 疲れきってる状態じゃ、何も出来ないよ?」




 夜だった事をすっかり忘れていたレクス。





「お、おい! あそこの建物が崩れてるぞ!!」




「い、今すぐ『槍師団』にも連絡を!」





 保安官に見つかると、時間を食われそうなので、レクス達はさっさとその場を後にした。



◇◆◇◆◇


「ククク…………。ハッハッハッハ!! 愉快、愉快! いやぁ、実に最高だねぇ! 絶望に歪んだ顔を見るのは!!」




 天界のある場所にて、レクス達を映す水晶を見て、狂喜に満ちた笑いをしている少年が一人。頭には天使の輪があった。身長は小さく、薄赤色の神にピンク色の瞳を持っていた。黙っていれば可愛いのだが…………実に腹黒い性格をしている。





「ちっ…………直ぐに立ち直りやがったか………つまんねえの」




 がりッとクッキーを頬張りながら、そう呟く少年。その名は─────小天使ネクルス。




「あいつの絶望をもっと見てみたい…………!」





 ああいうやつは、大抵一人になれば絶望するはずだ。何万回もあらゆる絶望を見てきた僕には分かる。あれは脆い。どんなやつよりも一番壊しがいがあると。




「ククク……………今日辺りに、またあいつの夢の中に出て、けしかけてやろうかな」




 ついでにあいつの望みも叶えてやる。これこそ、WINーWINの関係と言えよう。




「さあ、この僕にたっぷりと絶望を見せてくれよ? 人間ヒューマン!」





 再び高笑いするネクルス。─────と。





「どうされたんですか? そんなに笑われて」





 入ってきたのは、ネクルスの侍女的存在の女性─────シュミナ。こちらは、金髪に緑色の瞳のお姉さん的女性だ。




「い、いや、何でもない」



「そう? ならいいんだけど」




 そう言えば、この部屋、音漏れが凄いんだった。幸いにも話の内容は聞こえてないが…………。くそっ、僕も大天使になりたい…………。




 そうすれば、今よりもまともな部屋が貰えるのだ。音漏れもしない、完璧な。






 小天使ネクルスの表情は、少し悔しそうであった。





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