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6章 突如、領地経営へ

一方、カレン(ロゼール)とルーティー

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「もう一度言おう、私達ダークエルフ族の元に─────」




「嫌。戻る気はない。帰って」



「ハァ、ハァ。う~、たまらん!!」




 食い気味に即答するカレン。そんなカレンに何故かぞくぞくしているルーティー。それを冷めた目で見下ろすカレン。これは、所謂いわゆる────ドMというやつだろう。先程の発言は、これを引き出すためだったに違いない。ルーティーにそんな性癖はなかった筈なんだけど…………一体いつ目覚めたんだろう。




「ねえ、ルーティー?」



「は、はひぃ」




「貴方、いつからそんなに変態になったの?」




「ぐぅっ…………! へ、変態…………いい響きだ…………」




 興奮冷めやらぬ様子のルーティー。人の話を聞いていないようなので、もう一度問いただしてみる。




「………………ルーティー、もう一度聞くよ? どうしてそんな風になったの」




「そ、それは、その…………お前に、魔銃で撃たれた時に、丁度いい感じに入って…………。今まで仲間に裏切られた事もなかったし、あんまり痛みとか感じたことなかったから………」




 涎を垂らしながら発言するルーティー。友人がこんなどうしようもない変態になっているなど、誰が予想できようか。




「はぁ…………」




 カレンはため息をついた。





「ねえ、ルーティー。もう他に用件がないなら、私は戻るけど」



 そう言って、その場を去ろうとするカレン。





「ま、待ってくれ! そ、その………お願いが…………」




「………………何?」




「も、もう一回、あの時みたいに『5連撃』を食らわせて欲しいのだ…………」




 恥じらいながらとんでもないことを言い出すルーティー。




「『5連撃』!」




 レクスからもらった魔法袋マジックバッグから魔銃を取り出して、お望み通りに食らわせたカレン。




「ぐほおぉぉっ……………!!」




 悲鳴────というよりかは喜びの声をあげたルーティーは、そのまま気絶して地面に倒れ伏した。



 それを見下ろしたカレンは、どうしてこうなったんだか…………と再度溜め息をつくのだった。



◇◆◇◆◇


 レクス達は、場所を門の前から執務室に移して話し合っていた。


「所で、理由をお聞きしてもいいですか? どうして、ここで商売がしたいのかを」




「理由ですか…………そうですね、しいて言うなら、水産物が有り余っているからです。私達セイレーン族は、主に魚や貝を主食にしているのですが、食べきれなくて余るんですよ。ほら、残すの勿体ないし、私達には保存する方法もありませんので」



 人間ヒューマン族なら、それを持ち合わせてるから、ってことかな。




「そうですか……………」




「あ、その代わりと言っては何ですが、私達にも何か人間ヒューマン族の品を定期的に売って欲しいです」




 むしろこっちが本来の目的だろう。レクスとしては、断る理由も特にないため、承諾した。



「ありがとうございます」




 メラルオリニアは、丁寧に礼をしてそう言った。




「それで、ダークエルフ族の方は………?」



 一度戦いを交えた種族。表面的に追い返す事はないが、出来ればお帰り頂きたい。国際問題になど発展してほしくないからだ。また人間ヒューマン族を巻き込まれても困るからね。




「─────先程は、遅れて済まなかった」



 そこには、ダークエルフ族の長、メルビアナがいた。彼女は、魔物を寄せ付けてしまう体質らしく、魔物を討伐しながら進んでいたために遅れてしまったのだ。因みに、この区には、結界が設けてあるため安全である。




「いえいえ」




「では────単刀直入に言わせてもらうわ。私達ダークエルフ族は、エルフ族との戦争に破れたわ。故に、棲みかを確保するために、一番近いここにやって来た次第なの」




「それで?」




 エルフ族と戦争を繰り広げていたことには驚いたが、今重要なのはそこじゃない。自分の区に害をもたらさないか、それだけだ。




「だけど、何も働かないことには、生活できないでしょ? だから水商売というわけ」




「なるほど…………」




 メルビアナを見る限り、嘘を言っているようには思えないが────油断は禁物。






「────両種族共、商売を許可しましょう。ですが────ダークエルフ族の方々には、条件付きで商売をしてもらいます」




 レクスは、そう言ったのだった。




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