107 / 454
6章 突如、領地経営へ
真実
しおりを挟む
ネスラ家の庭園にて────。
「────ルーミアさん、どういうことか説明して」
レクス達は、ルーミアを問い詰めていた。フィアとメア、更にはエレナ達もその場にいた。
「どういうことかと言われましても…………確かに私はメア様のメイドでしたが、そのようなことはしていません」
あくまでもルーミアはとぼけるつもりらしい。決定的な証拠がないからだろう。
「そう…………。ねえ、ルーミア。お願い、真実が知りたいの。妹のメアのためにも。メアに呪いをかけたのは貴方でしょ? どうしてそんなことを…………」
フィアはそんなことを言った。ルーミアは一度深く溜め息をつくと────ニヤリとは笑わなかった。どちらかと言えば、苦笑という感じだ。
「はぁ…………ここでばれるなんて。そうですよ、メア様に呪いをかけたのは、私です」
ルーミアは、観念して自分がメアに呪いをかけたことを認めた。
「っ………………! どうして、どうしてよ! 何で貴方が私に呪いを!!」
ガッ! とルーミアの服の襟を掴んで、涙を流しながらそう言うメア。信頼していたメイドに、裏切られた事が余程悔しいようだ。
「…………ルーミア、どうしてこんな事を」
「………………知りたいですか? 少し滅入った話になりますが」
ルーミアは、観念したようにそう言った。メアがこの事を知らなければ、きっと平穏に暮らせるに違いない。しかし、メアの眼差しは、真っ直ぐルーミアを見ていた。
「…………ええ、聞かせてください。何故、あんな呪いを私にかけたのかを」
メアは、落ち着きを取り戻してルーミアから離れると、覚悟を決めた様子でそう言った。
「…………信じてもらえないかもしれませんが────メア様が、ルミリア騎士伯に殺されるかもしれなかったからです」
驚愕の真実が、ルーミアの口から紡がれた。
「………………ど、どうして私が、ルミリア様に殺されないといけないのです? わ、私は、ルミリア様をお慕いしておりましたのに………」
ルーミアの言葉に動揺しながらそう返すメア。実際、メアとルミリアは表面上では、上手く付き合っていた。だが、メアはルミリアの裏の顔を知らないのだ。
「…………ルミリア騎士伯は、普段こそ落ち着いた様子ですが────その裏の顔は、自分のためならどんな極悪非道な手段でも厭わない、最低な野郎ですっ………!!」
ルーミアは、歯ぎしりしながらそう言った。
「う、嘘よ! そんな事あるわけないでしょ!?」
「…………いえ。残念ながら真実です。メア様は当時、候補の座をより確実なものにするために、色々画策しておられましたよね?」
「え、ええ。確かにそうだけど─────」
「ルミリア騎士伯は、その事をあまり良く思っていなかったのです。挙げ句には、メア様を暗殺しようとまで企んでいたんですっ………! それに私達は気づいた」
メアは次々と語られる真実に、メアは何も言えずに、ただただ歯を食い縛るばかり。
「で、でも、だったら私に言ってくれれば良かったじゃない!!」
大声でそんな事を言うメア。感情が爆発した。
「─────私だって、何度も言いましたよ!! でも、今は忙しいだの、後にしてくれだの、もう策は打ってあるだの言ってまともに聞かなかったじゃないですか!」
温厚なルーミアが、半ばキレたようにそう言った。その様子に、メアはたじろいだ。
思い返してみれば、何度も言われていたような気がする。ルーミア騎士伯には気をつけてください、彼女は危険です───と。
メアは、冗談半分にそれを聞き流していた。結局は、自分が一番メイドを信じていなかったのだ。そのいたたまれなさに、メアは落ち込んだ。
「それで仕方なく、呪いをかけたんです。呪いにかかれば、候補からも当然外れます。後は、私達がその情報を流したんです」
「………………そういうことだったの。…………ごめんなさい、あの時は周りが見えてなかったの」
メアは申し訳なさそうにそう言った。
「…………いいえ。こちらこそ、呪いをかけた上にそれを黙っていてすみませんでした。他に方法はあったんでしょうが、思い浮かばなくて。メア様をこんな不自由な目にあわせてすみませんでした。────罰は、きちんと受けます」
覚悟を決めたルーミア。しかし────。
「────大丈夫ですよ。罰しはしません。私にも非はあるのですから」
「メア様………………」
「ふぅ…………とりあえずは、一件落着かな」
そんな2人を見たレクスは、そんな事を呟いた。しかし、まだ大事な問題が残っている。
「ルミリア騎士伯………………どうにかしないと」
「そうね……………」
フィアも頷いていた。ルミリア騎士伯を追い込むには、とてもじゃないが、決定的な証拠がない。何か物証が欲しいところだ。
レクスは、そんな事を考えるのだった。
「────ルーミアさん、どういうことか説明して」
レクス達は、ルーミアを問い詰めていた。フィアとメア、更にはエレナ達もその場にいた。
「どういうことかと言われましても…………確かに私はメア様のメイドでしたが、そのようなことはしていません」
あくまでもルーミアはとぼけるつもりらしい。決定的な証拠がないからだろう。
「そう…………。ねえ、ルーミア。お願い、真実が知りたいの。妹のメアのためにも。メアに呪いをかけたのは貴方でしょ? どうしてそんなことを…………」
フィアはそんなことを言った。ルーミアは一度深く溜め息をつくと────ニヤリとは笑わなかった。どちらかと言えば、苦笑という感じだ。
「はぁ…………ここでばれるなんて。そうですよ、メア様に呪いをかけたのは、私です」
ルーミアは、観念して自分がメアに呪いをかけたことを認めた。
「っ………………! どうして、どうしてよ! 何で貴方が私に呪いを!!」
ガッ! とルーミアの服の襟を掴んで、涙を流しながらそう言うメア。信頼していたメイドに、裏切られた事が余程悔しいようだ。
「…………ルーミア、どうしてこんな事を」
「………………知りたいですか? 少し滅入った話になりますが」
ルーミアは、観念したようにそう言った。メアがこの事を知らなければ、きっと平穏に暮らせるに違いない。しかし、メアの眼差しは、真っ直ぐルーミアを見ていた。
「…………ええ、聞かせてください。何故、あんな呪いを私にかけたのかを」
メアは、落ち着きを取り戻してルーミアから離れると、覚悟を決めた様子でそう言った。
「…………信じてもらえないかもしれませんが────メア様が、ルミリア騎士伯に殺されるかもしれなかったからです」
驚愕の真実が、ルーミアの口から紡がれた。
「………………ど、どうして私が、ルミリア様に殺されないといけないのです? わ、私は、ルミリア様をお慕いしておりましたのに………」
ルーミアの言葉に動揺しながらそう返すメア。実際、メアとルミリアは表面上では、上手く付き合っていた。だが、メアはルミリアの裏の顔を知らないのだ。
「…………ルミリア騎士伯は、普段こそ落ち着いた様子ですが────その裏の顔は、自分のためならどんな極悪非道な手段でも厭わない、最低な野郎ですっ………!!」
ルーミアは、歯ぎしりしながらそう言った。
「う、嘘よ! そんな事あるわけないでしょ!?」
「…………いえ。残念ながら真実です。メア様は当時、候補の座をより確実なものにするために、色々画策しておられましたよね?」
「え、ええ。確かにそうだけど─────」
「ルミリア騎士伯は、その事をあまり良く思っていなかったのです。挙げ句には、メア様を暗殺しようとまで企んでいたんですっ………! それに私達は気づいた」
メアは次々と語られる真実に、メアは何も言えずに、ただただ歯を食い縛るばかり。
「で、でも、だったら私に言ってくれれば良かったじゃない!!」
大声でそんな事を言うメア。感情が爆発した。
「─────私だって、何度も言いましたよ!! でも、今は忙しいだの、後にしてくれだの、もう策は打ってあるだの言ってまともに聞かなかったじゃないですか!」
温厚なルーミアが、半ばキレたようにそう言った。その様子に、メアはたじろいだ。
思い返してみれば、何度も言われていたような気がする。ルーミア騎士伯には気をつけてください、彼女は危険です───と。
メアは、冗談半分にそれを聞き流していた。結局は、自分が一番メイドを信じていなかったのだ。そのいたたまれなさに、メアは落ち込んだ。
「それで仕方なく、呪いをかけたんです。呪いにかかれば、候補からも当然外れます。後は、私達がその情報を流したんです」
「………………そういうことだったの。…………ごめんなさい、あの時は周りが見えてなかったの」
メアは申し訳なさそうにそう言った。
「…………いいえ。こちらこそ、呪いをかけた上にそれを黙っていてすみませんでした。他に方法はあったんでしょうが、思い浮かばなくて。メア様をこんな不自由な目にあわせてすみませんでした。────罰は、きちんと受けます」
覚悟を決めたルーミア。しかし────。
「────大丈夫ですよ。罰しはしません。私にも非はあるのですから」
「メア様………………」
「ふぅ…………とりあえずは、一件落着かな」
そんな2人を見たレクスは、そんな事を呟いた。しかし、まだ大事な問題が残っている。
「ルミリア騎士伯………………どうにかしないと」
「そうね……………」
フィアも頷いていた。ルミリア騎士伯を追い込むには、とてもじゃないが、決定的な証拠がない。何か物証が欲しいところだ。
レクスは、そんな事を考えるのだった。
0
お気に入りに追加
8,243
あなたにおすすめの小説
婚約者に犯されて身籠り、妹に陥れられて婚約破棄後に国外追放されました。“神人”であるお腹の子が復讐しますが、いいですね?
サイコちゃん
ファンタジー
公爵令嬢アリアは不義の子を身籠った事を切欠に、ヴント国を追放される。しかも、それが冤罪だったと判明した後も、加害者である第一王子イェールと妹ウィリアは不誠実な謝罪を繰り返し、果てはアリアを罵倒する。その行為が、ヴント国を破滅に導くとも知らずに――
※昨年、別アカウントにて削除した『お腹の子「後になってから謝っても遅いよ?」』を手直しして再投稿したものです。
「お姉様の赤ちゃん、私にちょうだい?」
サイコちゃん
恋愛
実家に妊娠を知らせた途端、妹からお腹の子をくれと言われた。姉であるイヴェットは自分の持ち物や恋人をいつも妹に奪われてきた。しかし赤ん坊をくれというのはあまりに酷過ぎる。そのことを夫に相談すると、彼は「良かったね! 家族ぐるみで育ててもらえるんだね!」と言い放った。妹と両親が異常であることを伝えても、夫は理解を示してくれない。やがて夫婦は離婚してイヴェットはひとり苦境へ立ち向かうことになったが、“医術と魔術の天才”である治療人アランが彼女に味方して――
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
婚約破棄と領地追放?分かりました、わたしがいなくなった後はせいぜい頑張ってくださいな
カド
ファンタジー
生活の基本から領地経営まで、ほぼ全てを魔石の力に頼ってる世界
魔石の浄化には三日三晩の時間が必要で、この領地ではそれを全部貴族令嬢の主人公が一人でこなしていた
「で、そのわたしを婚約破棄で領地追放なんですね?
それじゃ出ていくから、せいぜいこれからは魔石も頑張って作ってくださいね!」
小さい頃から搾取され続けてきた主人公は 追放=自由と気付く
塔から出た途端、暴走する力に悩まされながらも、幼い時にもらった助言を元に中央の大教会へと向かう
一方で愛玩され続けてきた妹は、今まで通り好きなだけ魔石を使用していくが……
◇◇◇
親による虐待、明確なきょうだい間での差別の描写があります
(『嫌なら読むな』ではなく、『辛い気持ちになりそうな方は無理せず、もし読んで下さる場合はお気をつけて……!』の意味です)
◇◇◇
ようやく一区切りへの目処がついてきました
拙いお話ですがお付き合いいただければ幸いです
神々の間では異世界転移がブームらしいです。
はぐれメタボ
ファンタジー
第1部《漆黒の少女》
楠木 優香は神様によって異世界に送られる事になった。
理由は『最近流行ってるから』
数々のチートを手にした優香は、ユウと名を変えて、薬師兼冒険者として異世界で生きる事を決める。
優しくて単純な少女の異世界冒険譚。
第2部 《精霊の紋章》
ユウの冒険の裏で、田舎の少年エリオは多くの仲間と共に、世界の命運を掛けた戦いに身を投じて行く事になる。
それは、英雄に憧れた少年の英雄譚。
第3部 《交錯する戦場》
各国が手を結び結成された人類連合と邪神を奉じる魔王に率いられた魔族軍による戦争が始まった。
人間と魔族、様々な意思と策謀が交錯する群像劇。
第4部 《新たなる神話》
戦争が終結し、邪神の討伐を残すのみとなった。
連合からの依頼を受けたユウは、援軍を率いて勇者の後を追い邪神の神殿を目指す。
それは、この世界で最も新しい神話。
拾った子犬がケルベロスでした~実は古代魔法の使い手だった少年、本気出すとコワい(?)愛犬と楽しく暮らします~
荒井竜馬
ファンタジー
旧題: ケルベロスを拾った少年、パーティ追放されたけど実は絶滅した古代魔法の使い手だったので、愛犬と共に成り上がります。
=========================
<<<<第4回次世代ファンタジーカップ参加中>>>>
参加時325位 → 現在5位!
応援よろしくお願いします!(´▽`)
=========================
S級パーティに所属していたソータは、ある日依頼最中に仲間に崖から突き落とされる。
ソータは基礎的な魔法しか使えないことを理由に、仲間に裏切られたのだった。
崖から落とされたソータが死を覚悟したとき、ソータは地獄を追放されたというケルベロスに偶然命を助けられる。
そして、どう見ても可愛らしい子犬しか見えない自称ケルベロスは、ソータの従魔になりたいと言い出すだけでなく、ソータが使っている魔法が古代魔であることに気づく。
今まで自分が規格外の古代魔法でパーティを守っていたことを知ったソータは、古代魔法を扱って冒険者として成長していく。
そして、ソータを崖から突き落とした本当の理由も徐々に判明していくのだった。
それと同時に、ソータを追放したパーティは、本当の力が明るみになっていってしまう。
ソータの支援魔法に頼り切っていたパーティは、C級ダンジョンにも苦戦するのだった……。
他サイトでも掲載しています。
晴れて国外追放にされたので魅了を解除してあげてから出て行きました [完]
ラララキヲ
ファンタジー
卒業式にて婚約者の王子に婚約破棄され義妹を殺そうとしたとして国外追放にされた公爵令嬢のリネットは一人残された国境にて微笑む。
「さようなら、私が産まれた国。
私を自由にしてくれたお礼に『魅了』が今後この国には効かないようにしてあげるね」
リネットが居なくなった国でリネットを追い出した者たちは国王の前に頭を垂れる──
◇婚約破棄の“後”の話です。
◇転生チート。
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇なろうにも上げてます。
◇人によっては最後「胸糞」らしいです。ごめんね;^^
◇なので感想欄閉じます(笑)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。