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6章 突如、領地経営へ

調査開始────。

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「────とは言っても、皇女の側近の選挙は、1ヶ月後。今さら分かったところで手遅れよ」




 メアはそう言って、苦笑した。それまでにこの呪いをかけた犯人を特定するのは難しいだろう。




「その当時の候補は誰だったんですか?」




 犯人はその当時────4年前に次期皇女の側近候補だった人達の可能性が高いだろう。もしくは、息のかかった人物か。





「当時の候補は私を含めて4人いたわ。私以外に、レリック=アドベンス子爵、フォック=ダーイン男爵、ルミリア=コーシン騎士伯でしたか。あ、一応言っておきますが、お姉さまに情報を提供するために質問に答えただけですからね」





 メアは急に思い出したようにそう付け足して、そっぽを向いた。そんなメアにレクスは苦笑する他なかった。





「確か、今の最有力候補が……………ルミリア騎士伯、だったかな」



 フィアは、記憶を絞り出すようにして、そう言った。






「そうですね。ルミリア騎士伯が犯人かどうかはまだ分かりませんが…………その3人の中に主犯がいる可能性は高そうですね」



 メアは、そう言った。




「次期皇女の側近云々はどうでもいいですが────」



 あ、どうでもいいのか…………。出世できるチャンスの筈なのに…………。


 レクスはそんなことを思った。




「お姉さまとの時間を奪ったことだけは、絶対に許せません!」




 メアにとっては、フィアとの時間の方がよっぽど大切だったようだ。ギリッと歯噛みするメア。その顔は、怒りに満ちていた。





「──────犯人には、せめてそれ相応の罰を受けてもらわないといけませんね。徹底的に調査して、潰します。勿論、貴方にも参加してもらいます。拒否権はありません。お、お姉さまも、よ、宜しければ…………」



 メアは恥じらいながら、そう口にした。



「ええ、勿論。参加させてもらうわ」




 こうして、調査の開始が唐突に決まった。そこにレクスの意志など関係なかった。



◇◆◇◆◇


「………………というわけなんだけど………セレスさん。暫くの間、僕の代理で入ってくれない? 僕も入れる時は入るから。ごめんね、早速こんなことになっちゃって」



 レクスは現在、執務室にてセレスと話していた。セレスの他にも、エレナ達がこの場にいた。




「いや、それは別に構わんのだが…………。メアに呪いがかけられていたのか? それが原因で、日光病になっていたと?」



 セレスは前のめりにそう尋ねた。




「にっこうびょう? ああ、はい。そうです」



 初めて聞いた単語に首を傾げるが、それが何を指すか分かったレクスは、頷いてそう答えた。





「………………そうか。よくも妹をっ………!」




 ギリッと歯噛みするセレス。




「────レクス、頼んだぞ! 妹を苦しめた犯人を絶対に見つけ出してくれ!」




 セレスにバンっ! と肩を叩かれた。思いの外、痛かった。



◇◆◇◆◇


 レクスの自室にて。


「レクス、また厄介事に巻き込まれたわね」



 ミーシャが少し面白そうにそう言った。




「今回は半ば強引だけどね…………」



 レクスはため息をついた。しかも、今回は怪しい対象の調査。方法は、あるにはあるのだが…………。




「レリック子爵にフォック男爵、それに、今次期皇女の側近の最有力候補とも言われているルミリア騎士伯…………誰一人として知らないんだよねぇ…………」




 そう。実際に会ったこともないので、人物像がいまいち想像出来ないのだ。いくら、その人の性格を知っていたところで、意味はないのだ。





「ねえ、お兄ちゃん。確か、1ヶ月後に選挙が始まるんでしょ? だったら、宣伝のために、チラシとか街中で配ってたり、ポスター貼ってたりするんじゃない?」





 ミアがそんなことを言った。




「─────それだ!」




 今まで全く選挙に関心がなかったせいか、すっかり忘れていた。




「………………探しにいこ………?」



「うん」



 流石に鳥型の人形ゴーレムを行かせては目立つので、自力で探しに行くことにしたレクス。ポスターを見つめる人形ゴーレムとか、不気味だしね。



 レクス達は、チラシやポスターを探しに他の街へと赴くのだった────。



 
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