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6章 突如、領地経営へ

呆気にとられる

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 レクス達が、とある料理屋で自慢の一品とやらを提供してもらった、その翌日。


「なっ……………!?」



 フードを被った男ーーーーマサユキが驚いたような顔で、その光景に目を疑った。




「数日前までは、確かに弱っていた筈なのに…………!」




 そう。数日前に様子を見に行った時には、ウェイム区の人々が衰弱しきっている姿がはっきりとあったのだ。それが今や、誰一人としてそういう者はいなかった。




「くそっ、こうなったら………………!」





 自分自ら、この街を破壊してやろうかーーーーそう思った瞬間。





「ゴ、人形ゴーレム!?」




 空から鳥型の人形ゴーレムが、マサユキに迫ってきていた。





「このローブには、認識阻害の効果があるのに…………!」




 マサユキは舌打ちすると、人形ゴーレムを撒くために、ウェイム区を出ようと走り出した。しかしーーーー。






「やっと、見つけましたぞ! 逃しません!」



 ウェイム区の区長ーーーークルフトは、マサユキを見つけるなり、そう叫ぶ。もしかしたら、何らかの原因で認識阻害効果が薄れたのかもしれない。



「くそっ!!」



 マサユキは逃げた。逃げる際にフードが邪魔になったので、外す。


「怪しい男がいたぞ!!」



「あっちだ、追えーーーー!!」



 傭兵達も、マサユキに気づいて追い始める。マサユキは更にスピードを上げて必死に逃げた。しかしーーーー。



「うおぉ!?」



 気づくと、鳥型の人形ゴーレムが目の前に迫っていた。マサユキは慌てて避けた。この先にある門をくぐれば、外に出られる。外に出られば、こちらが断然有利。



「どけえええぇぇぇ!!」




 マサユキは、2人の衛兵にダガーを振り下ろす。衛兵達は、マサユキの力に耐えきれずに吹き飛ばされてしまった。マサユキは門を出て暫くして、急に立ち止まった。クルフトを始めとして、傭兵達はマサユキを取り囲む。





「くっくっく…………。ははははは!!」



 マサユキは突如笑いだした。クルフトや傭兵達は、戦闘態勢をとった。



「…………僕はまだ捕まるわけにはいかないんですよ。貴方達には悪いのですが、僕が魔物の実験にでも協力してもらうことにしましょう」


「作った、だと…………!?」


「まあ、見てれば分かりますよ」


 
 マサユキはそう言うなり、召喚魔法陣を浮かび上がらせ、そこから魔物を召喚した。召喚魔法陣が、赤白く光り、そこから出たのはーーーー。




「グオアアアアァァァァァ!!」



 キメラだった。それも、限りなくどす黒い邪気を放っていた。その巨体から発される咆哮は、地面を大きく震動させた。



「な、なんだ、これは………………」


 クルフトはそう呟いた。傭兵達は足が立ちすくみ、動けない。武器を持つ手が震えていた。




「あらゆる魔物を『薬剤師』のスキル、『調合』で混ぜ、極めつけに『魔の禁薬』を飲ませた、僕の最高傑作ですよ。貴方達では手も足も出ないでしょう。ーーーーさあ、やってしまえ!!」



「グオアアアアァァァ!!」


 
 キメラは答えるように咆哮すると、口からどす黒い息吹ブレスを吐き出した。急いで散開して、それらを避ける。



「じ、地面が…………!?」


 傭兵の一人が、そう呟く。見ると、地面がジュウゥゥゥゥ…………と音を立てて溶けていた。



「あっはっはっはっは!! 無様ですねぇ!」




 嗤うマサユキ。ーーーーと。





「無様なのはーーーー貴方ですよ!!」


「ぶべらべげ!?」


 

 マサユキは顔面を蹴られて吹っ飛ばされた。黒髪の少年ーーーーレクスによって。そして、そのまま地面にバウンドすると、泡を吹いて気絶した。



「グオアアアアァァァァァ!!」



 マサユキを攻撃された事に腹を立てたのか、レクスに突進するキメラ。




「……………『聖なる重杭』」



「グオアアアアァァァァァァァ!?」



 レクスの後ろからやって来たエレナによって、放たれた魔法。光属性の重い杭が天よりキメラに落ちた。キメラは悲鳴をあげると、その場に倒れふした。これで、脅威は去った。



「すいません、遅くなってしまい」


「い、いえ…………。こちらこそ、助かりましたぞ…………」



 そんなレクス達をクルフトを始めとして呆気にとられた様子で見ているのだった。



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