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6章 突如、領地経営へ

動き出す計画

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「うおおおぉぉぉぉ!!」



 冒険者の男が、スケルトンソルジャーに切りかかる。ミルスカ鉱山付近で大量のスケルトンが発生したらしく、こうして討伐しに来たわけである。スケルトン自体は動きは遅く、大したことはない魔物。




「『氷柱アイスピラー』!」



 パーティーメンバーの魔術師の女性が、スケルトンソルジャーに向かって魔法を放った。氷柱は、次々とスケルトンソルジャーを蹴散らしていく。ーーーーと。




「ーーーーーーー!?」




 スケルトンソルジャーの動きが、急に。スケルトンソルジャーの剣が、冒険者の男を斬りつけた。



「ぐああああぁぁぁぁーーーー!!」





 悲鳴をあげる男性。腕に切り傷が入った。






「だ、大丈夫!? か、彼の者に癒しあれ! 『治癒ヒール』!」



 僧侶の女性が慌てて男性を治療する。みるみる内に傷口が塞がっていく。




「ふぅ………助かった。サンキュー!」




 男はそう言うと、再びスケルトンソルジャーに向かっていく。今度は急に動きが速くなることはなかった。



 その後、難なく依頼をこなしたのであった。



◇◆◇◆◇


「くっくっくっ…………。どうやら上手くいったいったみたいですね………」



 岩の陰から隠れて見ていた男ーーーーマサユキがそう呟いた。マサユキは今度こそ自分の計画が成功する、そう思うと、込み上げる笑いが抑えられない。




「異世界なんて、大嫌いだ」




 自分を苦しめるだけの世界など、なくなってしまえばいい。セレニア皇国を滅ぼすのが、その第一歩である。



「せいぜいもがき、苦しむのです。僕と同じ痛みを味わわせてやりますよ」



 不気味な笑い声だけが、その場に響くのだった。



◇◆◇◆◇


「フィオナさん、ルリさん、キャロルさん! 久しぶり!」



 レクス達が、領地を開拓しに行った帰り。久しぶりに3人に会った。




「久し振りね、レクス。とはいっても、たまに連絡取り合ってるけどね。エレナちゃん達も、久し振りね」


「………………久し振り………」


「久し振りだな! レクスの活躍は聞いてるぜ!」




 3人は口々にそう言った。格好は冒険者装備だ。時間的に、依頼完了を報告しに来たか、依頼を受け終わった帰りかのどちらかだろう。




「活躍だなんて、そんな…………。みんなの協力があってこそだよ」


「上級悪魔の討伐に、黒竜の退治に、魔物の大群の殲滅…………何度もこの国を救ったそうじゃない。それに、辺境伯の爵位まで………。相変わらずね、レクスは」



 照れるレクスに苦笑しながらそう言うフィオナ。隣でルリもうんうんと頷いている。黒竜退治は、エレナのおかげでどうにかなったんだけど。



「それに、また知らない女が一人増えてるし。こりゃもう、立派なハーレムってやつだろ?」



「状況的にはそうかもだけど、僕はエレナ一筋だよ!」



 レクスは顔を真っ赤にして、そう言った。エレナもレクスの言葉を聞いて、ゆでダコみたいに赤くなっていた。



「そうかそうか」


 快活に笑うキャロル。全く取り合ってくれない。




「………………私もあんな風に言われてみたいわね…………」


 羨ましそうにそう言うフィオナ。




「え? なんだって、フィオナ?」


 わざとらしくそう言うキャロル。フィオナは顔を真っ赤にして。



「な、何でもないわよ!」


 そう言った。キャロルはフィオナの反応を見て、面白がっていた。


「んんっ。所でレクス。そこの女の子は誰なの?」


「ティーナの事? 聞いて驚かないでね? 彼女はーーーー黒竜なんだよ」


 流石のフィオナ達もこれには驚くかと思われたがーーーー。



「まあ、レクスだもんね」


「………………うん」


「そうだな」


 納得されてしまった。そんな感じで、会話が弾んだ。




「じゃあ、私達はこれでいくわ。あ、レクス。今度暇な時にお茶でもしに来て、ってお母さんが言ってたわよ」



「分かった。暇を見つけて行ってみるよ」



 じゃあね、と手を振るフィオナ達に手を振り返すレクス達。人混みに隠れて見えなくなるまで振った。



「僕達も行こうか」



 レクスの言葉に、みんなは屋敷へと帰るのだった。




 

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