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6章 突如、領地経営へ

鉱石食い

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「暗いね……………」


「…………………洞窟だから、仕方ない………」



 2人は、洞窟の入り口付近でそんな会話を交わした。



「『光球ライトニングボール』!」


 レクスは洞窟内を照らすために、魔法を発動。しかしーーーー。



「あれ? 発動しない」


 少ない魔力でもきちんと発動するはずなのに。


「……………多分、魔導石とかに吸い取られてるんだと思う………」


「ああ、なるほどね」


 ネルフィさんが言うには、ここは魔導石が多いエリアらしいし…………。結構大量の魔力を消費することになっちゃうな。どうしよう…………。



 レクスがそんなことを考えているとーーーー。



「………………懐中電灯は…………あった」



 ポーチから懐中電灯を取り出し、光をつけた。これで、前方が見えるようになった。レクスは『見る』を発動しているので、暗くても見える。




「うわっ、結構あるね…………」





 前方に見えるだけでも、2、30個くらいの魔導石があった。大きさはそれぞれ違う。




「………………レクス、ちょっとこれ持ってて」



 ネルフィはそう言ってレクスに懐中電灯を渡すと、ポーチからツルハシを取り出した。あのポーチは、どうやら魔法袋マジックバッグのようだ。今から鉱石の取り方を実演してくれるらしい。


 ネルフィは、ガッ! ガッ! と数回ツルハシで魔導石の周りの岩を削る。しかし、固すぎるせいで、全く掘れていなかった。



「何ですか? それ」



 レクスはネルフィがポーチから新たに取り出した透明な液体が入った瓶を見て、そう尋ねた。



「………………これは、スライムの消化液。……鉱石採取には必須。…………これで周りの岩を溶かす」



 ネルフィはそう言いながら、透明な液体を魔導石の周りに撒いた。土が溶けて、取り出しやすい状態になった。それをツルハシを使って取り出した。



「………………こんな感じで採取を進める」



 ネルフィはレクスに小瓶とツルハシを渡した。やってみろ、ということらしい。



「まずはツルハシで………………」



 レクスは魔導石の傍にツルハシを振り下ろした。すると、パキッと音がした。思わずツルハシを見てみれば、金属部分が折れていた。



「………………レクス、力入れすぎ」


「ご、ごめん………………」



 全然力を入れたつもりはなかったのに。ツルハシが脆すぎる。


「………………レクス、これ。替えはまだあるから、気にしないで」


「ありがとう、ネルフィさん」


 レクスはネルフィから新たなツルハシを受け取った。このままじゃ、また折れるだろうから…………。魔力の消費がきついけど、試してみるか。



「我が魔力よ、集いてかの物質を頑強に……『強化』」



 レクスは魔力をこめる、こめる、まだこめる! そして、やっとのことで強化に成功した。MPの残量を確認してみると、3分の1くらい減っていた。



「…………………………」




 それを見たネルフィは、もはや呆れたような顔でレクスを見やったのだった。



◇◆◇◆◇


 2人は着々と魔導石の採取を進めていた。合計30個くらい集まっている。後50個くらいは欲しいところ。ーーーーと。






バリッ、ボリッ、バリッ、ボリッ!








「ネルフィさん、なんか変な音が聞こえるんだけど…………」



 それも大分大きい。複数聞こえてくる。



「………………まさか」



 ネルフィには心辺りがあるようだ。やがて、奥からその音を立てている正体が姿を現した。




「……………………『鉱石食い』………!」



 ネルフィは、背中に提げている槍を取って構えた。レクスも、自分の作った剣を取り出して構える。



「『鉱石食い』?」


「………………通称、『鉱石食い』……。…………ベンガロウーフっていう魔物。…………鉱石を主食としてる……。…………魔導石の入荷が少なかった原因は、これか………」



 ベンガロウーフは、青色の球体で周りがトゲに覆われている。身体は宙に浮いていた。




「この魔力反応…………少なくとも50匹以上はいるね」


「……………………普通はいても、10匹。………これは異常………」




「ギイイイィィィィィ!!」



 けたたましく鳴り響く、ベンガロウーフの鳴き声。魔力反応がどんどん増えていく。仲間を呼んだようだ。



「…………逃げよう、レクス。…………これは無理」



 レクスの手を引いて逃げようとするネルフィ。しかし、レクスは逃げなかった。




「………………レクス?」



 ネルフィが声をかけた。すると、次の瞬間ーーーー。




「ギイイイィィィィィィィ!?」




 全てのベンガロウーフが、真っ二つになっていた。そのすぐ近くでは、レクスが剣を鞘に収めていた。




「…………………………」



 これには、ネルフィも口をポカーンと開けて固まってしまった。


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