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6章 突如、領地経営へ
領地へ
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「これは…………」
レクスの前には、草が生い茂った土地が広がっていた。所々にはでかい岩が転がっている。周囲の木々はある程度伐採されており、開拓途中の雰囲気が何となく漂っている。しかし、街にするには面積がもう少し必要だ。
数時間前ーーーー。
『その領地についてなんだけどーーーーこの地図を見てもらえる?』
ヴァンナがそう言って取り出したのが、セレニア皇国とその周辺について記された地図。その地図上のある場所に丸印がつけられていた。
『これは?』
『近々ここを開拓して街にしようと思っていたのよ。まだ開拓途中なんだけどね』
ヴァンナは丸印を指差してそう言った。
『この領地をレクス君に与えるわ。勿論、開拓は自由にしてもらっても構わないから』
領地を開拓………。どっから手をつければいいのやら…………。
そんな経緯があって、こうして領地に来ている訳である。フィアもメイドも含めて、一家総出で。爵位が与えられると報告したら、それはもう偉くびっくりされた。
「レクス、あそこら辺に屋敷建てたらどう?」
目を輝かせてそう言うのはフィア。やる気満々である。
「うーん…………」
レクスは立地などについてはよく分からないため、曖昧に濁すしかなかった。
「あそこに飲食店を建てたいわ!」
「アクセサリーショップも建てるのだー!」
「…………レクスと……2人でいられる部屋が……欲しい…………」
ミーシャ、ティーナがそんなことを言った。未来の領地を想像してるのか、ニヤニヤしている。エレナは顔を真っ赤にしていた。そんなことを言われたら、僕も顔が真っ赤になっちゃうじゃん。
「でも、まずは…………開拓からだね」
ここの草や木なんかも切らないと、街なんかちてもじゃないけど作れないしね。どうしたもんか……………。
「そんなもの、焼き払えば終わりなのだ!」
ティーナはそう言って、魔法陣をすぐさま展開して炎を出そうとするがーーーー。
「わーー!? ストップ、ストップ!」
レクスが止めた。
「何でなのだ? 焼き払えば速いのに」
ティーナは不満げな顔をしてそう言った。
「木に火が燃え移って、大変なことになるでしょ!?」
「それでいいではないか」
「いや、でもーーーー」
レクスはそこまで言った所で、いや、待てよ…………と考え出した。
そう言われてみれば…………木に火が燃え移っても、大した被害にはならないね。僕が後で魔法で火を消せばいいし。
「ティーナ、やっちゃって。あ、でも、あっちの方を頼むよ」
レクスは、街がある方面とは逆の方面を指差した。一応、魔力反応も確かめて、人がいないのは確認済みだ。
「分かったのだーーー!」
ティーナは元気よくそう言うと、先程の魔法陣を展開し、炎を放つ。ゴオオォォォーーーー! と物凄い勢いで木や草が燃え上がる。レクスは一応、『守る』でみんなを安全圏へ。
「ねえ、大丈夫なの? これ」
「大丈夫だよ、水魔法で消せば問題ないし」
「そ、そっか……………」
フィアはレクスの発言に呆れた。それと同時に、もう私の手の届かない所にいるんだなぁ…………としみじみ思った。
暫く炎が燃え広がるのを待った。次々に消し炭になっていく。
「…………よし、これくらいで大丈夫でしょ。『大降水』!」
すると、魔法陣が展開され、炎の上から大量の雨が降り注ぐ。一分も経たない内に、全てが消火された。
「うん、この感じならこの周辺は大丈夫そうかな」
綺麗になった地面を見て、そう言うレクス。
「レクス君、少し宜しいでしょうか」
「何? シュレムさん」
「ここを街として発展させるには、まず道を整備して、街道を造らなければなりません。それに、領民がいなければ、街として成り立ちません。そこら辺はどうするおつもりで?」
メガネをくいっと上げながらそう言うシュレム。最近つけ始めたものだ。
シュレムの問いに、あっ、と気づかされるレクス。
「街道の方は何とかなると思うけど、領民は…………どうしよう?」
「まあ、まだ開拓途中なんだし、後で考えればいいじゃない」
フィアはそう口を挟んだ。まだ開拓は始まったばかりだ。先を見通すよりは、目の前の必要な事をすべきである。
「…………確かにそうですね。すいません、興奮してしまった余りに」
「それもそうだね…………」
納得する2人。クールなシュレムさんでも、興奮することがあるんだね。
そんなこんなしながらも、開拓作業を進めていった。
レクスの前には、草が生い茂った土地が広がっていた。所々にはでかい岩が転がっている。周囲の木々はある程度伐採されており、開拓途中の雰囲気が何となく漂っている。しかし、街にするには面積がもう少し必要だ。
数時間前ーーーー。
『その領地についてなんだけどーーーーこの地図を見てもらえる?』
ヴァンナがそう言って取り出したのが、セレニア皇国とその周辺について記された地図。その地図上のある場所に丸印がつけられていた。
『これは?』
『近々ここを開拓して街にしようと思っていたのよ。まだ開拓途中なんだけどね』
ヴァンナは丸印を指差してそう言った。
『この領地をレクス君に与えるわ。勿論、開拓は自由にしてもらっても構わないから』
領地を開拓………。どっから手をつければいいのやら…………。
そんな経緯があって、こうして領地に来ている訳である。フィアもメイドも含めて、一家総出で。爵位が与えられると報告したら、それはもう偉くびっくりされた。
「レクス、あそこら辺に屋敷建てたらどう?」
目を輝かせてそう言うのはフィア。やる気満々である。
「うーん…………」
レクスは立地などについてはよく分からないため、曖昧に濁すしかなかった。
「あそこに飲食店を建てたいわ!」
「アクセサリーショップも建てるのだー!」
「…………レクスと……2人でいられる部屋が……欲しい…………」
ミーシャ、ティーナがそんなことを言った。未来の領地を想像してるのか、ニヤニヤしている。エレナは顔を真っ赤にしていた。そんなことを言われたら、僕も顔が真っ赤になっちゃうじゃん。
「でも、まずは…………開拓からだね」
ここの草や木なんかも切らないと、街なんかちてもじゃないけど作れないしね。どうしたもんか……………。
「そんなもの、焼き払えば終わりなのだ!」
ティーナはそう言って、魔法陣をすぐさま展開して炎を出そうとするがーーーー。
「わーー!? ストップ、ストップ!」
レクスが止めた。
「何でなのだ? 焼き払えば速いのに」
ティーナは不満げな顔をしてそう言った。
「木に火が燃え移って、大変なことになるでしょ!?」
「それでいいではないか」
「いや、でもーーーー」
レクスはそこまで言った所で、いや、待てよ…………と考え出した。
そう言われてみれば…………木に火が燃え移っても、大した被害にはならないね。僕が後で魔法で火を消せばいいし。
「ティーナ、やっちゃって。あ、でも、あっちの方を頼むよ」
レクスは、街がある方面とは逆の方面を指差した。一応、魔力反応も確かめて、人がいないのは確認済みだ。
「分かったのだーーー!」
ティーナは元気よくそう言うと、先程の魔法陣を展開し、炎を放つ。ゴオオォォォーーーー! と物凄い勢いで木や草が燃え上がる。レクスは一応、『守る』でみんなを安全圏へ。
「ねえ、大丈夫なの? これ」
「大丈夫だよ、水魔法で消せば問題ないし」
「そ、そっか……………」
フィアはレクスの発言に呆れた。それと同時に、もう私の手の届かない所にいるんだなぁ…………としみじみ思った。
暫く炎が燃え広がるのを待った。次々に消し炭になっていく。
「…………よし、これくらいで大丈夫でしょ。『大降水』!」
すると、魔法陣が展開され、炎の上から大量の雨が降り注ぐ。一分も経たない内に、全てが消火された。
「うん、この感じならこの周辺は大丈夫そうかな」
綺麗になった地面を見て、そう言うレクス。
「レクス君、少し宜しいでしょうか」
「何? シュレムさん」
「ここを街として発展させるには、まず道を整備して、街道を造らなければなりません。それに、領民がいなければ、街として成り立ちません。そこら辺はどうするおつもりで?」
メガネをくいっと上げながらそう言うシュレム。最近つけ始めたものだ。
シュレムの問いに、あっ、と気づかされるレクス。
「街道の方は何とかなると思うけど、領民は…………どうしよう?」
「まあ、まだ開拓途中なんだし、後で考えればいいじゃない」
フィアはそう口を挟んだ。まだ開拓は始まったばかりだ。先を見通すよりは、目の前の必要な事をすべきである。
「…………確かにそうですね。すいません、興奮してしまった余りに」
「それもそうだね…………」
納得する2人。クールなシュレムさんでも、興奮することがあるんだね。
そんなこんなしながらも、開拓作業を進めていった。
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