はじめてのドキドキ

ぱんだくらぶ

文字の大きさ
3 / 10

第3話: 「クラスの輪」

しおりを挟む
ゆうすけと少し打ち解けたあかりは、彼との時間が日常の一部になりつつあった。学校でゆうすけに「おはよう」と声をかけるのが楽しみで、隣の席にいるゆうすけが頑張ってクラスに馴染もうとしている姿を見ると、応援したくなる気持ちが湧いてくる。

ある日の昼休み、あかりは友達のりさこといつものように校庭のベンチでおしゃべりをしていた。りさこは明るくて人懐っこい性格で、クラスのムードメーカー的な存在だ。あかりが困っているとすぐに助けてくれるし、悩みも聞いてくれる頼もしい友人だった。

「ねえ、あかりって最近ゆうすけくんとよく一緒にいるよね?」

りさこがそう言うと、あかりは少し驚いた顔をした。確かに、最近はゆうすけと話すことが増えたけれど、そんなに目立つことなのかなと少し不安になった。

「そうかな?まあ、席が隣だから自然と話すことも多くて…」

「ふーん、そうなんだ。ゆうすけくん、ちょっと大人しそうだけど、優しそうだよね。あかりもゆうすけくんと仲良くて楽しそうだし、いいことだよ!」

りさこの言葉にあかりは安心した。友達に認められると、ゆうすけとの友情が本物のように感じられて嬉しかった。

昼休みの終わり頃、あかりとりさこは教室に戻る途中で、ゆうすけが一人で校庭の端に立っているのを見かけた。周りには誰もおらず、ゆうすけは黙って空を見上げていた。

「あ、ゆうすけくんだ。あんなところで何してるんだろう?」

りさこが不思議そうに首をかしげる。あかりも同じように疑問に思い、近づいて声をかけた。

「ゆうすけくん、どうしたの?」

ゆうすけは少し驚いたように振り向いたが、すぐにいつもの落ち着いた表情に戻った。

「あ、あかり。いや、ちょっと考え事してたんだ。」

「何かあったの?」

あかりが心配そうに尋ねると、ゆうすけは少し躊躇しながらも答えた。

「うん、クラスにまだ完全に馴染めてない気がしてさ。なんか、みんなの輪に入っていけないっていうか…」

その言葉にあかりは胸が痛んだ。確かに、ゆうすけはまだクラスメイトと打ち解けきれていないようだった。新しい環境での孤独感や、不安は痛いほど理解できた。

「そんなことないよ!少しずつでも、みんなゆうすけくんのこと気にしてると思うよ。」

りさこも横から元気づけるように言った。

「そうそう!私もゆうすけくんともっと話してみたいなって思ってたんだ。だからさ、そんなに気にしなくていいと思うよ!」

ゆうすけはりさこの明るい言葉に少しだけ笑みを浮かべた。

「ありがとう。でも、まだ自分からみんなの輪に入っていくのが苦手で…。」

「大丈夫だよ。少しずつやっていけばいいんだから。わたしも最初はゆうすけくんにどう接したらいいかわからなかったけど、話してみたらすごく楽しかったし。」

あかりの言葉にゆうすけは静かに頷いた。その後、三人はしばらく立ち話を続けたが、りさこの提案で「次の休み時間に一緒に遊ぼう!」ということになった。

午後の授業が始まり、あかりは少し安心していた。ゆうすけが少しずつでもクラスに馴染んでいけるよう、できることをしてあげたいと思っていたからだ。りさこや他の友達と一緒に過ごせば、ゆうすけももっと楽しくなるはずだ。

授業が終わり、放課後になると、あかりはまたゆうすけと帰り道を共にすることになった。今日の出来事を話しながら歩く中で、あかりはふと思ったことを口にした。

「ゆうすけくん、もしクラスで困ってることがあったら、いつでも言ってね。わたしも、りさこも、みんなもきっと手伝いたいって思ってるから。」

「ありがとう、あかり。君みたいな友達がいて本当に良かった。」

ゆうすけのその言葉に、あかりは心から嬉しくなった。これからも、ゆうすけの力になりたい。そして、自分もゆうすけから学べることがたくさんあるはずだ。

二人の距離は少しずつ近づいていく。そして、その小さな一歩が、あかりにとって大きな喜びであった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

童話短編集

木野もくば
児童書・童話
一話完結の物語をまとめています。

独占欲強めの最強な不良さん、溺愛は盲目なほど。

猫菜こん
児童書・童話
 小さな頃から、巻き込まれで絡まれ体質の私。  中学生になって、もう巻き込まれないようにひっそり暮らそう!  そう意気込んでいたのに……。 「可愛すぎる。もっと抱きしめさせてくれ。」  私、最強の不良さんに見初められちゃったみたいです。  巻き込まれ体質の不憫な中学生  ふわふわしているけど、しっかりした芯の持ち主  咲城和凜(さきしろかりん)  ×  圧倒的な力とセンスを持つ、負け知らずの最強不良  和凜以外に容赦がない  天狼絆那(てんろうきずな)  些細な事だったのに、どうしてか私にくっつくイケメンさん。  彼曰く、私に一目惚れしたらしく……? 「おい、俺の和凜に何しやがる。」 「お前が無事なら、もうそれでいい……っ。」 「この世に存在している言葉だけじゃ表せないくらい、愛している。」  王道で溺愛、甘すぎる恋物語。  最強不良さんの溺愛は、独占的で盲目的。

エリちゃんの翼

恋下うらら
児童書・童話
高校生女子、杉田エリ。周りの女子はたくさん背中に翼がはえた人がいるのに!! なぜ?私だけ翼がない❢ どうして…❢

トウシューズにはキャラメルひとつぶ

白妙スイ@1/9新刊発売
児童書・童話
白鳥 莉瀬(しらとり りぜ)はバレエが大好きな中学一年生。 小学四年生からバレエを習いはじめたのでほかの子よりずいぶん遅いスタートであったが、持ち前の前向きさと努力で同い年の子たちより下のクラスであるものの、着実に実力をつけていっている。 あるとき、ひょんなことからバレエ教室の先生である、乙津(おつ)先生の息子で中学二年生の乙津 隼斗(おつ はやと)と知り合いになる。 隼斗は陸上部に所属しており、一位を取ることより自分の実力を磨くことのほうが好きな性格。 莉瀬は自分と似ている部分を見いだして、隼斗と仲良くなると共に、だんだん惹かれていく。 バレエと陸上、打ちこむことは違っても、頑張る姿が好きだから。

9日間

柏木みのり
児童書・童話
 サマーキャンプから友達の健太と一緒に隣の世界に迷い込んだ竜(リョウ)は文武両道の11歳。魔法との出会い。人々との出会い。初めて経験する様々な気持ち。そして究極の選択——夢か友情か。   (also @ なろう)

「いっすん坊」てなんなんだ

こいちろう
児童書・童話
 ヨシキは中学一年生。毎年お盆は瀬戸内海の小さな島に帰省する。去年は帰れなかったから二年ぶりだ。石段を上った崖の上にお寺があって、書院の裏は狭い瀬戸を見下ろす絶壁だ。その崖にあった小さなセミ穴にいとこのユキちゃんと一緒に吸い込まれた。長い長い穴の底。そこにいたのがいっすん坊だ。ずっとこの島の歴史と、生きてきた全ての人の過去を記録しているという。ユキちゃんは神様だと信じているが、どうもうさんくさいやつだ。するといっすん坊が、「それなら、おまえの振り返りたい過去を三つだけ、再現してみせてやろう」という。  自分の過去の振り返りから、両親への愛を再認識するヨシキ・・・           

はるのものがたり

柏木みのり
児童書・童話
春樹(はるき)が突然逝ってしまって一ヶ月。いつも自分を守ってくれていた最愛の兄を亡くした中学二年生の春花(はるか)と親友を亡くした中学三年生の俊(しゅん)は、隣の世界から春樹に来た招待状を受け取る。頼り切っていた兄がいなくなり少しずつ変わっていく春花とそれを見守る俊。学校の日常と『お隣』での様々な出来事の中、二人は気持ちを寄せ合い、春樹を失った悲しみを乗り越えようとする。 「9日間」「春の音が聴こえる」「魔法使いたちへ」と関連してくる物語。 (also @ なろう)

極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。

猫菜こん
児童書・童話
 私は人より目立たずに、ひっそりと生きていたい。  だから大きな伊達眼鏡で、毎日を静かに過ごしていたのに――……。 「それじゃあこの子は、俺がもらうよ。」  優しく引き寄せられ、“王子様”の腕の中に閉じ込められ。  ……これは一体どういう状況なんですか!?  静かな場所が好きで大人しめな地味子ちゃん  できるだけ目立たないように過ごしたい  湖宮結衣(こみやゆい)  ×  文武両道な学園の王子様  実は、好きな子を誰よりも独り占めしたがり……?  氷堂秦斗(ひょうどうかなと)  最初は【仮】のはずだった。 「結衣さん……って呼んでもいい?  だから、俺のことも名前で呼んでほしいな。」 「さっきので嫉妬したから、ちょっとだけ抱きしめられてて。」 「俺は前から結衣さんのことが好きだったし、  今もどうしようもないくらい好きなんだ。」  ……でもいつの間にか、どうしようもないくらい溺れていた。

処理中です...