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1章
Part 38 『最高級のラブレター』
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真冬さんに抱かれながらウチガネさんは瞳を閉じる。真冬さんは、瞳を閉じたウチガネさんの頭を軽く撫でて「お疲れ様です。」と呟いた。そして、その唇にゆっくりと口づけをする。
その瞬間、ウチガネさんの体が淡く光り始める。その光は優しく蛍のようだった。
そして、ウチガネさんの体がゆっくりと光へと変わっていく。光は、ゆっくりと上に上がって空中をふわふわと漂い始める。その光に触れるとどこか暖かい。なんとなく、ウチガネさんに風呂場で頭を撫でられたことが思い出されて涙が溢れそうになる。
これは、ウチガネさんそのものなのだと知識のない俺にも実感さられた。
コンも光に触れて唇を噛み締めて涙をこらえていた。俺は、涙が溢れないように上を向いた。
そこには、いくつもの輝きが広がっていた。まるで目の前に星が広がっているような光景に目を奪われた。これは、最期の輝きなのだろう。
儚くも美しい光景
光の中で真冬さんは、その光を慈しむように眺める。
鬼女の食事は、最大級の愛情表現だと真冬さんは言っていた。しかし、普通の食事と愛情を示す食事は全くの別物だった。
痛みもなく逝けたのだろうか、いや、これだけ美しく優しい光なのだ。安らかに逝けただろう。
「本当にひどい人ですね。最期の最後にそんなこと言われたら忘れられなくなるじゃないですか・・・」
涙を流しながら小さく笑うその姿は、本当にウチガネさんが死んでしまったのだと実感させた。寂しさがないとは言えない。けれど、彼は最期の最後まで見て確かに生きて生を全うしたのだ。
不器用な生き方しかできないあの人の生き方は、ひどく愚直だった。だけれど、カッコいいと俺は思った。
確かに彼は最期まで生きていたのだ。
光は、ゆっくりと真冬さんの中へと入っていく。それが名残惜しくもあったが、しかし、良かったのだと思った。
彼は想いを伝えて、それを真冬さんは受け継いだのだ。
「真冬さん、これを見て欲しいっす。」
コンは、真冬さんにウチガネさんが最期に打った日本刀を見せる。しかし、一体、なんだというのだ。
「本当に綺麗な刀ですね。流石、ウチガネさんが最期に心血を注いで打った刀ですね。」
「最高の出来だって言ってたっす。だけど、そこじゃないっす。この刀の名前っす。」
コンが示すのは、最期にウチガネさんが打っていた名前のことだろう。
そこには、こう書かれていた。
『打金 作 銘 真冬』
・・・・・・本当に不器用な人だな・・・と思った。
剣を造ることに全てを捧げて生きてきた人間が、最期に全身全霊を込めて打った刀に女の名が彫ってあるなど、これ以上ない最高級の愛情表現に他ならない。
これ以上なほどの熱烈なラブレターだ。
真冬さんは、何も言わずに刀を撫でる。その頬を滴る雫は何よりも美しいものだと思った。
その瞬間、ウチガネさんの体が淡く光り始める。その光は優しく蛍のようだった。
そして、ウチガネさんの体がゆっくりと光へと変わっていく。光は、ゆっくりと上に上がって空中をふわふわと漂い始める。その光に触れるとどこか暖かい。なんとなく、ウチガネさんに風呂場で頭を撫でられたことが思い出されて涙が溢れそうになる。
これは、ウチガネさんそのものなのだと知識のない俺にも実感さられた。
コンも光に触れて唇を噛み締めて涙をこらえていた。俺は、涙が溢れないように上を向いた。
そこには、いくつもの輝きが広がっていた。まるで目の前に星が広がっているような光景に目を奪われた。これは、最期の輝きなのだろう。
儚くも美しい光景
光の中で真冬さんは、その光を慈しむように眺める。
鬼女の食事は、最大級の愛情表現だと真冬さんは言っていた。しかし、普通の食事と愛情を示す食事は全くの別物だった。
痛みもなく逝けたのだろうか、いや、これだけ美しく優しい光なのだ。安らかに逝けただろう。
「本当にひどい人ですね。最期の最後にそんなこと言われたら忘れられなくなるじゃないですか・・・」
涙を流しながら小さく笑うその姿は、本当にウチガネさんが死んでしまったのだと実感させた。寂しさがないとは言えない。けれど、彼は最期の最後まで見て確かに生きて生を全うしたのだ。
不器用な生き方しかできないあの人の生き方は、ひどく愚直だった。だけれど、カッコいいと俺は思った。
確かに彼は最期まで生きていたのだ。
光は、ゆっくりと真冬さんの中へと入っていく。それが名残惜しくもあったが、しかし、良かったのだと思った。
彼は想いを伝えて、それを真冬さんは受け継いだのだ。
「真冬さん、これを見て欲しいっす。」
コンは、真冬さんにウチガネさんが最期に打った日本刀を見せる。しかし、一体、なんだというのだ。
「本当に綺麗な刀ですね。流石、ウチガネさんが最期に心血を注いで打った刀ですね。」
「最高の出来だって言ってたっす。だけど、そこじゃないっす。この刀の名前っす。」
コンが示すのは、最期にウチガネさんが打っていた名前のことだろう。
そこには、こう書かれていた。
『打金 作 銘 真冬』
・・・・・・本当に不器用な人だな・・・と思った。
剣を造ることに全てを捧げて生きてきた人間が、最期に全身全霊を込めて打った刀に女の名が彫ってあるなど、これ以上ない最高級の愛情表現に他ならない。
これ以上なほどの熱烈なラブレターだ。
真冬さんは、何も言わずに刀を撫でる。その頬を滴る雫は何よりも美しいものだと思った。
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