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4章
Part 335『ありふれた幸せ』
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異世界に行くなんて難しいことだと思っていたのだが、サクヤにとっては、大したことではないらしかった。
まあ、リューでも簡単に出来てしまうので今のサクヤにとっては造作もないことなのかもしれない。
「あの時は、バタバタしてちゃんと観光は出来ませんでしたから挨拶も兼ねてデートしませんか?」
そんな可愛いことを言われてしまえば、俺としても拒否する理由はない。
妖怪達の住む異世界。俺達がいた世界とは別の時間の流れをしているため、あれから、一年ほど時間が経過していた。
鬼島の家に挨拶をしに行くと粉雪が熱烈な歓迎をしてくれたり、サクヤの強さにマコトが勝負したそうにうずうずしていたりと賑やかだった。
狐月の当主であるムゲツのもとで働いているレンジ達もなんだかんだ文句を言いながらも頑張って過ごしている様だった。
「いっそのことしばらくこっちに住むのはどうだ? 部屋なら空いてるぜ?」
と言われたのだが、世界同士の時間のズレが逆転する可能性ので、サクヤの依代である桜の木を放置してこちらにずっといる訳にもいかなかった。
しかし、それでも観光はしたかったので二人で観光をして過ごした。食事をしたり、秘湯と呼ばれる温泉に行ったりと充実した時間を過ごしてから元の世界に戻ると日も暮れて一日が終わろうとしていた。
「いやぁ、楽しかったな。」
「はい。そうですね。温泉が混浴なのは予想外でしたけど・・・・・・」
「まあ、ある意味恋人らしいと言えば恋人らしいことだしな。」
お互い照れがあったが、一度入ってしまえば、そんなことを忘れるほどの極上の温泉に二人ともうっとりしていた。
それに知る人ぞ知る秘湯ということで、二人きりだったのが大きかった。
二人きりで今更照れて入らないというのもおかしな話だった。ドキドキしなかった訳ではもちろんないが。
家の縁側に腰掛け桜を見ながらサクヤとお茶を飲む。お酒はサクヤが酔っ払うので禁止した。
今のサクヤが酔っ払うと何が起こるかわからない。
「今日はとりあえず終わりですね。」
「ああ。明日は、凛とユキに会ってそれから、師匠のところかな。」
「それが終わったらどうします?」
「サクヤはして欲しいこととか、したい事はないのか?」
どちらかと言えば、サクヤのしたいことをさせてやりたい。けれど、サクヤはそれに対して少し考え込む。
「もう十分やりたい事が出来てるんですよ。日向さんと過ごせて他の方にも会えて、もちろん、旅行に行ったり、遊びに行ったりとかは魅力的なんですけど、別にどこか特別な場所に行きたいとかはないですし」
「欲がないな。普通はもっと色々あると思うんだけど」
「十分ですよ。日向さんが側に居てくれるだけで。」
そう言ってサクヤは俺に寄りかかってくる。俺もサクヤの肩を抱き寄せた。
「確かに特別なことをしなくても幸せだな。」
サクヤは少し可笑しそうに笑うと「欲がないですね。」と呟いた。
まあ、リューでも簡単に出来てしまうので今のサクヤにとっては造作もないことなのかもしれない。
「あの時は、バタバタしてちゃんと観光は出来ませんでしたから挨拶も兼ねてデートしませんか?」
そんな可愛いことを言われてしまえば、俺としても拒否する理由はない。
妖怪達の住む異世界。俺達がいた世界とは別の時間の流れをしているため、あれから、一年ほど時間が経過していた。
鬼島の家に挨拶をしに行くと粉雪が熱烈な歓迎をしてくれたり、サクヤの強さにマコトが勝負したそうにうずうずしていたりと賑やかだった。
狐月の当主であるムゲツのもとで働いているレンジ達もなんだかんだ文句を言いながらも頑張って過ごしている様だった。
「いっそのことしばらくこっちに住むのはどうだ? 部屋なら空いてるぜ?」
と言われたのだが、世界同士の時間のズレが逆転する可能性ので、サクヤの依代である桜の木を放置してこちらにずっといる訳にもいかなかった。
しかし、それでも観光はしたかったので二人で観光をして過ごした。食事をしたり、秘湯と呼ばれる温泉に行ったりと充実した時間を過ごしてから元の世界に戻ると日も暮れて一日が終わろうとしていた。
「いやぁ、楽しかったな。」
「はい。そうですね。温泉が混浴なのは予想外でしたけど・・・・・・」
「まあ、ある意味恋人らしいと言えば恋人らしいことだしな。」
お互い照れがあったが、一度入ってしまえば、そんなことを忘れるほどの極上の温泉に二人ともうっとりしていた。
それに知る人ぞ知る秘湯ということで、二人きりだったのが大きかった。
二人きりで今更照れて入らないというのもおかしな話だった。ドキドキしなかった訳ではもちろんないが。
家の縁側に腰掛け桜を見ながらサクヤとお茶を飲む。お酒はサクヤが酔っ払うので禁止した。
今のサクヤが酔っ払うと何が起こるかわからない。
「今日はとりあえず終わりですね。」
「ああ。明日は、凛とユキに会ってそれから、師匠のところかな。」
「それが終わったらどうします?」
「サクヤはして欲しいこととか、したい事はないのか?」
どちらかと言えば、サクヤのしたいことをさせてやりたい。けれど、サクヤはそれに対して少し考え込む。
「もう十分やりたい事が出来てるんですよ。日向さんと過ごせて他の方にも会えて、もちろん、旅行に行ったり、遊びに行ったりとかは魅力的なんですけど、別にどこか特別な場所に行きたいとかはないですし」
「欲がないな。普通はもっと色々あると思うんだけど」
「十分ですよ。日向さんが側に居てくれるだけで。」
そう言ってサクヤは俺に寄りかかってくる。俺もサクヤの肩を抱き寄せた。
「確かに特別なことをしなくても幸せだな。」
サクヤは少し可笑しそうに笑うと「欲がないですね。」と呟いた。
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