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4章
Part 324『初戦闘』
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妖刀を突き刺した瞬間、慢性的な頭痛が襲う。
しかし、それと同時に自分の技術が飛躍的に上昇しているのが分かる。
俺は瞬時に本気で指先に噛みつき傷を作った。
指先から溢れる血を使って呪字を体に書き込んだ。
その速度は今までとは比較にならない。乱丸の呪いの行使以上の速度で文字を書き込んだ。
内容は使用後に身体能力が向上するが、その後、能力が向上していた時間の倍の時間、身体能力が低下する。
つまりは、長期戦になれば、なるほど危険性の高い呪術ではある。
しかし、血を代償にする呪術よりも効率的だ。
呪術を使用するための代償として血を差し出したが、その程度なら活動に問題などない。
体が羽根のように軽くなるのを感じすぐに移動する。単純計算で身体能力は倍になっていると考えて良い。
今ならば、世界大会でアスリートと勝負しても勝てる。そう確信を持てるほどに強化された体。
しかし、それでも相手に勝てるビジョンが見えなかった。
醜穢は、ただそこにいる。攻撃するわけでもなく逃げるわけでもなくオブジェのようにそこにあるだけだった。
タイムリミットは15分しかない。それ以降は恐ろしいほどに眠気が襲いかかり動けなくなる。
逃げるべきなのか戦うべきなのか、相手の存在が未知数であるために判断が難しかった。
相手の能力は未知数。現状で分かるのは相手が自分自身を襲おうとしている。その事実だけだ。
過去の記憶から醜穢の特性を思い返す。
妖怪の成れの果て
いつか朽ちていくだけの意思のない災害。攻撃という攻撃は姿を変形させて攻撃するだけ。
けれど今の醜穢の見た目は、過去の泥のような姿とは明らかに違っている。
仮に撃ち漏らしたとして、何故、こうも変化が起こっているのか。
加速させられた思考能力がすぐに真相に辿り着かせた。
「・・・・・・魔石」
篝さんの奥さんの変身もおそらくは魔石の摂取が原因だと乱丸は話していた。
醜穢は大量に残された魔力を浪費し続け、なくなれば自壊する災害。しかし、それに魔力を貯蔵する魔石を取り込めば、それは新たな生物になるのではないか。
何かが後ろで手を引いている。自分の関係者か。それとも全くの偶然か。
いや、この世界でほとんど手に入らない魔石を調達出来るのは限られている。
しかも、辺りをうろついている醜穢ならともかく、篝さんの奥さんのことは蘭丸と篝さんと俺しか知らないはずだ。
そしてあそこに用があって訪れる人間などそうはいない。
ならばこの状況を用意したのはーーーーーー。
思考が結論に辿りつく前に突然の現象が起こった。
先ほどまで少し離れた距離にいた醜穢が突如、目の前に現れたのだ。
「っ!?」
俺は醜穢を知覚した瞬間、蹴りを放った。しかし、その蹴りはまるで布を殴りつけた様に手応えがなかった。
すぐさま距離を取り、次の攻撃に備える。
醜穢は触れるだけでも危険。しかし、今の醜穢は触れてもダメージはない。
つまり、根本的に別の生物と考えて行動していい。
そして、瞬間移動が可能な生物に逃走は不可能だ。
「ああ、こりゃあ、覚悟を決めて戦うしかないようだ。」
まともに攻撃が通用しない。ならば、呪術で相手の存在定義を書き換えるしかない。
俺の初めての呪術戦闘だった。
しかし、それと同時に自分の技術が飛躍的に上昇しているのが分かる。
俺は瞬時に本気で指先に噛みつき傷を作った。
指先から溢れる血を使って呪字を体に書き込んだ。
その速度は今までとは比較にならない。乱丸の呪いの行使以上の速度で文字を書き込んだ。
内容は使用後に身体能力が向上するが、その後、能力が向上していた時間の倍の時間、身体能力が低下する。
つまりは、長期戦になれば、なるほど危険性の高い呪術ではある。
しかし、血を代償にする呪術よりも効率的だ。
呪術を使用するための代償として血を差し出したが、その程度なら活動に問題などない。
体が羽根のように軽くなるのを感じすぐに移動する。単純計算で身体能力は倍になっていると考えて良い。
今ならば、世界大会でアスリートと勝負しても勝てる。そう確信を持てるほどに強化された体。
しかし、それでも相手に勝てるビジョンが見えなかった。
醜穢は、ただそこにいる。攻撃するわけでもなく逃げるわけでもなくオブジェのようにそこにあるだけだった。
タイムリミットは15分しかない。それ以降は恐ろしいほどに眠気が襲いかかり動けなくなる。
逃げるべきなのか戦うべきなのか、相手の存在が未知数であるために判断が難しかった。
相手の能力は未知数。現状で分かるのは相手が自分自身を襲おうとしている。その事実だけだ。
過去の記憶から醜穢の特性を思い返す。
妖怪の成れの果て
いつか朽ちていくだけの意思のない災害。攻撃という攻撃は姿を変形させて攻撃するだけ。
けれど今の醜穢の見た目は、過去の泥のような姿とは明らかに違っている。
仮に撃ち漏らしたとして、何故、こうも変化が起こっているのか。
加速させられた思考能力がすぐに真相に辿り着かせた。
「・・・・・・魔石」
篝さんの奥さんの変身もおそらくは魔石の摂取が原因だと乱丸は話していた。
醜穢は大量に残された魔力を浪費し続け、なくなれば自壊する災害。しかし、それに魔力を貯蔵する魔石を取り込めば、それは新たな生物になるのではないか。
何かが後ろで手を引いている。自分の関係者か。それとも全くの偶然か。
いや、この世界でほとんど手に入らない魔石を調達出来るのは限られている。
しかも、辺りをうろついている醜穢ならともかく、篝さんの奥さんのことは蘭丸と篝さんと俺しか知らないはずだ。
そしてあそこに用があって訪れる人間などそうはいない。
ならばこの状況を用意したのはーーーーーー。
思考が結論に辿りつく前に突然の現象が起こった。
先ほどまで少し離れた距離にいた醜穢が突如、目の前に現れたのだ。
「っ!?」
俺は醜穢を知覚した瞬間、蹴りを放った。しかし、その蹴りはまるで布を殴りつけた様に手応えがなかった。
すぐさま距離を取り、次の攻撃に備える。
醜穢は触れるだけでも危険。しかし、今の醜穢は触れてもダメージはない。
つまり、根本的に別の生物と考えて行動していい。
そして、瞬間移動が可能な生物に逃走は不可能だ。
「ああ、こりゃあ、覚悟を決めて戦うしかないようだ。」
まともに攻撃が通用しない。ならば、呪術で相手の存在定義を書き換えるしかない。
俺の初めての呪術戦闘だった。
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