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4章
Part 316『終わらせよう。未練だけの執着を』
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「熱烈じゃねぇか。そんなに俺のことが好きか・・・・・・」
家に駆け寄って聞こえてきた声に俺はホッとする。
篝さんのいた場所と百足が突っ込んでいた場所はややずれていた様だった。
百足は、逃げるのをやめて篝さんを見つめていた。それは、今まで本能的にしか動いていなかったはずの百足とは違って見えた。
「いや、お前をこんな姿にした俺を憎んでるだろうな。女としてまともな幸せもなく、ただ、化物として生きさせちまった。」
「おやっさん。呑気に話してる場合じゃねぇ。やるならさっさとやれ!」
乱丸はそう叫んだ。しかし、篝さんにはその声は届かない。
「それでもな。化物の姿でも俺は、お前に生きて欲しかった。生きてさえいればいつかは、お前を生きて元に戻せると思ってたんだ。」
篝さんは、百足に向かって一つの石細工を向けた。
それは小さな球体の呪具だった。機械で作ったかの様に美しい円形の石に複雑に彫り込まれた呪字と病的なまでに彫り込まれた装飾。
ただの石のはずなのに光の入り具合からいくつもの表情を見せる石細工は、どう作っているのか理解しようとすることすら馬鹿馬鹿しく感じるほどだ。
それは世に名を馳せる芸術作品と比べても頭一つ抜けた代物だった。
「だが、技術を磨けば磨くほどに自分の平凡さを突きつけられた。そして、俺は限界を知った。どれだけ努力してもお前を直してやれねぇ。・・・・・・妖刀なんてもんに頼っても俺は結局、お前を殺してる呪具しか作れなかった。これが俺の限界だ。」
百足は、無数にある瞳でまじまじとみ見つめる。
そして、勢いよく篝さんの右腕ごと噛み付いた。
「篝さん!」
意識を取り戻している様に見えていただけで百足は何も変わっていなかったのか。
乱丸も慌てて百足を引き離そうと近寄る。
鋭い牙は篝さんの腕に突き刺さり赤い血を溢れさせていた。
「ああ、終わらせよう。長い間、待たせて悪かったな。」
百足は、溶け出す様に形を歪めていく。篝さんに噛み付いていた体もゆっくりと崩れていく。
そして、崩れた肉体はゆっくりと新しく形を作っていく。
それは、人の形だった。顔も何もないただの人型の肉の塊であった。
それが直感的に篝さんの奥さんであることがわかった。
篝さんは、奥さんを抱きしめる。
「俺はお前と一緒にいれて最後まで幸せだった。」
篝さんがそう呟くと奥さんの体も崩れ始め何もなかったかの様に消滅した。
それを見届けると篝さんは糸切れる様に気を失った。
家に駆け寄って聞こえてきた声に俺はホッとする。
篝さんのいた場所と百足が突っ込んでいた場所はややずれていた様だった。
百足は、逃げるのをやめて篝さんを見つめていた。それは、今まで本能的にしか動いていなかったはずの百足とは違って見えた。
「いや、お前をこんな姿にした俺を憎んでるだろうな。女としてまともな幸せもなく、ただ、化物として生きさせちまった。」
「おやっさん。呑気に話してる場合じゃねぇ。やるならさっさとやれ!」
乱丸はそう叫んだ。しかし、篝さんにはその声は届かない。
「それでもな。化物の姿でも俺は、お前に生きて欲しかった。生きてさえいればいつかは、お前を生きて元に戻せると思ってたんだ。」
篝さんは、百足に向かって一つの石細工を向けた。
それは小さな球体の呪具だった。機械で作ったかの様に美しい円形の石に複雑に彫り込まれた呪字と病的なまでに彫り込まれた装飾。
ただの石のはずなのに光の入り具合からいくつもの表情を見せる石細工は、どう作っているのか理解しようとすることすら馬鹿馬鹿しく感じるほどだ。
それは世に名を馳せる芸術作品と比べても頭一つ抜けた代物だった。
「だが、技術を磨けば磨くほどに自分の平凡さを突きつけられた。そして、俺は限界を知った。どれだけ努力してもお前を直してやれねぇ。・・・・・・妖刀なんてもんに頼っても俺は結局、お前を殺してる呪具しか作れなかった。これが俺の限界だ。」
百足は、無数にある瞳でまじまじとみ見つめる。
そして、勢いよく篝さんの右腕ごと噛み付いた。
「篝さん!」
意識を取り戻している様に見えていただけで百足は何も変わっていなかったのか。
乱丸も慌てて百足を引き離そうと近寄る。
鋭い牙は篝さんの腕に突き刺さり赤い血を溢れさせていた。
「ああ、終わらせよう。長い間、待たせて悪かったな。」
百足は、溶け出す様に形を歪めていく。篝さんに噛み付いていた体もゆっくりと崩れていく。
そして、崩れた肉体はゆっくりと新しく形を作っていく。
それは、人の形だった。顔も何もないただの人型の肉の塊であった。
それが直感的に篝さんの奥さんであることがわかった。
篝さんは、奥さんを抱きしめる。
「俺はお前と一緒にいれて最後まで幸せだった。」
篝さんがそう呟くと奥さんの体も崩れ始め何もなかったかの様に消滅した。
それを見届けると篝さんは糸切れる様に気を失った。
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