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3章
Part 179『あなたの価値』
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***
私は、見送ることしか出来ませんでした。自分の中には、爆発すればどうなるかもわからない様な大規模な魔力が収められていて、命に関わる怪我をすれば、多くの人に被害が出るらしいです。
あの醜穢の様な化物に成り果ててしまう。それは、とても恐ろしい事でした。
そして、恐ろしいのは、私がもしそうなってしまったら、峰さんを傷つけてしまうかもしれないという事です。
私が峰さんを傷つける。それは、想像するだけで恐ろしいです。もしかしたら、殺してしまうかもしれません。
それだけは嫌です。だから、私はこうして一人でお留守番をしています。
部屋の前の軒下で外の庭をただ眺めていました。
待つのには慣れています。だって、咲けなくなってからずっと待ち続けていたんですから。
なのに、こんなにも峰さんを待つのが辛いのは何故なのでしょうか。
部屋でじっとしていると一人の女性が通りかかりました。その方は、宴会の席でイワミという鬼の方と喧嘩をしていらっしゃったユカリさんでした。
「あら、どうしたの? こんなところで一人で」
「特にはなにも・・・・・・ただ、待っています。」
ユカリさんは、私の返答を不思議そうに見てすぐに「恋人は戦場に行ってるのよね。」と納得した表情を浮かべる。
「時間なんて待ってたって、待たなくたって過ぎるんだから、そんな所でじっとしててどうするの。」
優しく叱る様にユカリさんは言いました。その言葉はもっともで、こうしていても何もありません。
「けど、何をすれば・・・・・・」
そういうとユカリさんは呆れた様な表情を浮かべて、さらには溜息を吐いて一言、呟きました。
「あなた、貰ってばかりね。」
「・・・・・・え」
「今回の戦いだって、元はあなたの為にあの子がやってる事でしょう?」
「・・・・・・はい」
「あの男の子は、あなたに色々あげていると思う。あなたは、好きな人に何かを返してる?」
「私、お金も持ってなくて・・・・・・」
「金銭だけがお礼の返し方じゃない。行為だって場合によっては、お金よりも価値がある。」
ユカリさんの質問に答えが出せませんでした。自分は妖精で出来る事なんて、ほとんどなくて、峰さんは、私と一緒にいるだけで楽しいと言ってくれました。けれど、それは、私は返せていると言えるのでしょうか。
「お互いが得るものがない関係は、そのうち腐るわよ。」
「・・・・・・腐る?」
「ええ、腐るの。最初は、ちょっとした不満が溜まって、最後には腐り落ちる。片方に負担が大きいだけの関係がまともに機能する訳ないでしょう?」
ユカリさんは、私の横に座って私のことをじっと見つめます。
「あなたが何も返してないとは言わない。けど、明らかにそれ以上にあの子は頑張ってると思う。私はそれが気になって仕方ない。ただ、待つ事があの子のためになるの? 今のあなたに私は、あの子が命を賭けるだけの価値があるとは思えない。」
その容赦のない言葉は、私の胸を締め付けて呼吸を止めそうなほど鋭く突き刺さりました。
私は、峰さんが命懸けで頑張る価値のある存在でしょうか。ただ、あるだけの私が・・・・・・
そんな風に考えているとユカリさんは、冷たい声で言葉を続けました。
「あなたにはもったいないと思うわ。そんなに大切じゃないなら私に頂戴」
「ダメです!」
ユカリさんのその言葉に思わず自分でもびっくりするほど声を張り上げていました。
「大切じゃない訳ないです。確かに私には勿体ない人かもしれませんけど、それでも、私は峰さんと一緒にいたいんです!」
私がそう言うとユカリさんは少し笑って「なら、頑張って自分を磨きなさいな。」と私の頭を撫でて立ち上がり去っていきます。そして、去り際に「あれは冗談だから本気にしないで良いわよ。」と言いました。
どうやら、ユカリさんは、私に発破をかけてくれたようでした。かなり、鋭く抉られましたが、確かにその通りだと思いました。
「今、出来る事をしましょう。」
そう思って私は部屋を出ました。そして、そのすぐ後に連絡を受けて私は、それどころではなくなってしまいました。
「峰さんが連れ去られた?」
私は、見送ることしか出来ませんでした。自分の中には、爆発すればどうなるかもわからない様な大規模な魔力が収められていて、命に関わる怪我をすれば、多くの人に被害が出るらしいです。
あの醜穢の様な化物に成り果ててしまう。それは、とても恐ろしい事でした。
そして、恐ろしいのは、私がもしそうなってしまったら、峰さんを傷つけてしまうかもしれないという事です。
私が峰さんを傷つける。それは、想像するだけで恐ろしいです。もしかしたら、殺してしまうかもしれません。
それだけは嫌です。だから、私はこうして一人でお留守番をしています。
部屋の前の軒下で外の庭をただ眺めていました。
待つのには慣れています。だって、咲けなくなってからずっと待ち続けていたんですから。
なのに、こんなにも峰さんを待つのが辛いのは何故なのでしょうか。
部屋でじっとしていると一人の女性が通りかかりました。その方は、宴会の席でイワミという鬼の方と喧嘩をしていらっしゃったユカリさんでした。
「あら、どうしたの? こんなところで一人で」
「特にはなにも・・・・・・ただ、待っています。」
ユカリさんは、私の返答を不思議そうに見てすぐに「恋人は戦場に行ってるのよね。」と納得した表情を浮かべる。
「時間なんて待ってたって、待たなくたって過ぎるんだから、そんな所でじっとしててどうするの。」
優しく叱る様にユカリさんは言いました。その言葉はもっともで、こうしていても何もありません。
「けど、何をすれば・・・・・・」
そういうとユカリさんは呆れた様な表情を浮かべて、さらには溜息を吐いて一言、呟きました。
「あなた、貰ってばかりね。」
「・・・・・・え」
「今回の戦いだって、元はあなたの為にあの子がやってる事でしょう?」
「・・・・・・はい」
「あの男の子は、あなたに色々あげていると思う。あなたは、好きな人に何かを返してる?」
「私、お金も持ってなくて・・・・・・」
「金銭だけがお礼の返し方じゃない。行為だって場合によっては、お金よりも価値がある。」
ユカリさんの質問に答えが出せませんでした。自分は妖精で出来る事なんて、ほとんどなくて、峰さんは、私と一緒にいるだけで楽しいと言ってくれました。けれど、それは、私は返せていると言えるのでしょうか。
「お互いが得るものがない関係は、そのうち腐るわよ。」
「・・・・・・腐る?」
「ええ、腐るの。最初は、ちょっとした不満が溜まって、最後には腐り落ちる。片方に負担が大きいだけの関係がまともに機能する訳ないでしょう?」
ユカリさんは、私の横に座って私のことをじっと見つめます。
「あなたが何も返してないとは言わない。けど、明らかにそれ以上にあの子は頑張ってると思う。私はそれが気になって仕方ない。ただ、待つ事があの子のためになるの? 今のあなたに私は、あの子が命を賭けるだけの価値があるとは思えない。」
その容赦のない言葉は、私の胸を締め付けて呼吸を止めそうなほど鋭く突き刺さりました。
私は、峰さんが命懸けで頑張る価値のある存在でしょうか。ただ、あるだけの私が・・・・・・
そんな風に考えているとユカリさんは、冷たい声で言葉を続けました。
「あなたにはもったいないと思うわ。そんなに大切じゃないなら私に頂戴」
「ダメです!」
ユカリさんのその言葉に思わず自分でもびっくりするほど声を張り上げていました。
「大切じゃない訳ないです。確かに私には勿体ない人かもしれませんけど、それでも、私は峰さんと一緒にいたいんです!」
私がそう言うとユカリさんは少し笑って「なら、頑張って自分を磨きなさいな。」と私の頭を撫でて立ち上がり去っていきます。そして、去り際に「あれは冗談だから本気にしないで良いわよ。」と言いました。
どうやら、ユカリさんは、私に発破をかけてくれたようでした。かなり、鋭く抉られましたが、確かにその通りだと思いました。
「今、出来る事をしましょう。」
そう思って私は部屋を出ました。そして、そのすぐ後に連絡を受けて私は、それどころではなくなってしまいました。
「峰さんが連れ去られた?」
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