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いざ旅行(5)※

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 食後の身体の負担にならないようにと短めに、けれど満足するまで楽しんだお風呂のあと、二人でベッドに潜り込んだ。心ときめくお部屋、おいしいご飯、広いベッド、大好きな紘人さん。幸せに浸り、彼の腕枕の中で一日の思い出を反芻する。
 すると、今まで私のことを抱きしめているだけだった彼の手の先が、急に浴衣の隙間から私のお腹を擽った。首に吹きかかる吐息も心なしか熱っぽく、一度は忘れていた熱が身体の奥で呼び起こされる。

「由奈……」
「ひ、紘人さん、」
「今さ、由奈のこと好きって気持ちでいっぱいで……最近、仕事片づけるのに忙しくて、土日も疲れて寝ている時間がなかったから……少し間空いてるでしょ? 由奈さえよければ……どう、かな?」

彼の言う通り少しご無沙汰であることは事実だし、とろ火で温められて焦らされた身体も、彼の愛を溢れんばかりに受け止めた心も、紘人さんを求めていた。彼の太ももに手を這わせ、何度か上下に左右に摩ってみる。

「……随分積極的だね。どうなっても知らないよ」

 ごろん、と腕枕から解放されて、ふかふかの枕に寝かされた。浴衣の襟が少し乱れていて、彼の綺麗な鎖骨がよく見える。色気たっぷりの光景から、目を逸らしたくても逸らせない。部屋の電気を少し控え目にしてくれた紘人さんは、身体を低くして私の額に、頬に、鼻に、唇にたくさんのキスを降らせた。その瞳に、重たく沈む情欲の火が灯っている。

「ふぁ、ううん……」

 甘ったるい声が漏れる。肩を摩っていたはずの彼の手が、気が付けば下着ごと胸をやわやわと掴んでいた。何度彼と身体を重ねても、最初に触れられる瞬間にだけは慣れない。穏やかだった空気が一瞬で淫靡なものに変わり、彼の温かく包み込むような優しさの奥から、私をダメにしてしまうどろりとした甘さが滲んでくる。
 下着の上から頂をきゅっと摘ままれて、身体がぴくんと跳ねた。その反応に気をよくしたのか、何度も何度も同じことを繰り返されて、次第に下着と内側でぴんと硬く尖ってしまう。逃げようと背中を捩じっているうちに、どんどんと浴衣が乱れて、ほとんど服としての意味を為さなくなっていた。
 紘人さんはそんな浴衣の帯を解いて、私の肌を暴いた。彼も同じように浴衣を抜いて、まだ湯上りの温かさの残る肌が重なる。肌が触れ合っている安心感と、これからのアレコレへの緊張感で、頭の中がぐちゃぐちゃだ。

「由奈、あったかい」
「紘人さんもあったかいです」

 紘人さんが直接私に触れてくる。大きくて少し硬い手のひらに身体中を撫でまわされるだけで、ぞくぞくと熱が身体中に巡り、触られた部分が、身体の奥が熱くなった。大事なところには触れられていないのに、こうも蕩けてしまいそうになるのが怖い。

「―――、腰、そんなに揺らして、もう我慢できない?」
「ちが、っ、ちがぁ、ぅ、勝手に、うごいちゃ、ぅ、の、」
「だから、それを我慢できていないんじゃないかって、言ってるの……俺も、我慢できなくなりそう。本当は時間をかけて、いっぱい由奈のこと気持ちよくしたかったんだけど……早く、繋がりたい気持ちに負けちゃいそう……あ、震えたね。時間、かけられたくなっちゃった? それとも、早く繋がりたい?」

 どちらに転んでも紘人さんにいいようにされてしまうのがわかりきっている質問に、簡単には答えられない。私が悩んでいる間もずっと、彼の手は私の腰回りを撫で続けていて、それに声を上げないようにするので精一杯なのに。

「返事がないのは、どっちも正解ってことかな。由奈をぐずぐずにするのは明日時間をかけてするから――――今日は、もうシよっか」

 明日の宿籠りが決まってしまった。近くの美術館に行く話はどこに? と声を上げるのは無粋だった。いちゃいちゃして、お風呂に入って、ごろごろして……そんな一日、幸せに決まっている。

「うん、もう、こんなに濡れてる……」
「ふぁ、ぁあぁ、んぁ、ぁ」

 ぬかるみに指を沈められ、何度か抜き差しされて中の具合を確かめられる。少し窮屈で、彼のものを受け入れられるか不安に思っていると、紘人さんは私を安心させるように微笑んで、上の尖りを指でぐにゅりと押し潰した。
 こぷりと蜜を零して、ナカがひくりと蠢く。たったこれだけで準備ができてしまう自分の身体が恨めしい。けれど、自分の手でそれを成した紘人さんは満足そうな顔をしていて、「彼がそれでいいのなら」と思ってしまう自分もいた。

「痛かったら言ってね」

 彼が腰を進めてきて、身体の奥で紘人さんとくっつく。最奥で結ばれて、紘人さんは動きを止めた。自分の中に彼がいるという感覚に心も身体も満たされる。私の身体が彼に馴染むのを待つ間も、紘人さんは私にたくさんキスをしてくれた。舌が絡みあう深いキスに、身体の熱がさらに高まってしまう。
 紘人さんは私の背中に手を回し、私を抱き起した。胡坐をかいて座る彼の上に座らされ、ぐちゅ、と音を立てながら紘人さんが奥まで埋まる。横になっているときよりも自重の分だけ奥に押し付けられる圧迫感が高まって、背中やつま先を丸めて快感に耐えた。

「声、我慢しないよ……」

 掠れた低い声が耳に届く。目の端から涙が零れて止まらない。上下に前後に腰を揺らされて、息苦しいほどの気持ちいいに頭が真っ白になった。彼の首に腕を巻き付けて、なんとかしがみついていても、身体を揺さぶられるたびにその腕がほどけてしまいそうになって、そのたびに彼がぎゅっと抱きしめてくれていた。

「ひ、ぁああああっ!」

 下からがつがつ、ごりごりと中を穿つ雄に頭の中に星が煌めく。中が勝手に紘人さんを締め付けて、きゅうきゅうとひくついた。紘人さんの首筋に汗が伝って、触れ合っている私の肌をも濡らす。
 彼は私のことを思い切り抱きしめて、私の身体が彼の雄から逃れようと上へ上へと浮いてしまうのを留めていた。時折強く下に向かって抑えつけられて、最奥を押し潰されて高い声を上げる。肌がちりちりして、ほんの些細な刺激でも達してしまいそうなほど敏感になっていた。

「んぅう、っはあぁ、うぅ、あ、あ、イっちゃ、ぅ……」
「うん、イって……」

 私のソコに手を伸ばし、肉芽をぬるりと撫でられた。突然の突起への愛撫に耐え切れず、背を仰け反らせて達した私の身体が後ろに倒れないように、紘人さんがしっかりと抱きしめてくれていた。

「由奈、キスしよ……」

 紘人さんが私の後頭部を掴んで、顔を上げさせる。絶頂に蕩けた顔なんて見られたくないのに、彼と目が合ってその羞恥心もどこかに消えた。彼がほしくてほしくて、貪られるがままにキスを受け入れた。

「紘人さん、も……」
「……うん、……終わっちゃうの、もったいないな……本当は、もっとしていたいのに……」

 そう言いながらも、腰の動きが激しさを増す。ぱちゅぱちゅと皮膚がぶつかり合う音の合間に熱い舌が絡みあう水っぽい音が聞こえてくる。思い出したかのように胸の頂や秘部の尖りにも指で触れられ、背中を指先で擽られた。
たった二本の腕しかないのに、どうしてこんなにも私を好きにできるのか、意味がわからない。知らないうちに私の身体のどこかしらに不意に触れて、私を翻弄してくる。ますます身体の奥から蜜が溢れて、彼の律動が激しくなる。

「由奈、出る……!」
「ぁ、あぁあああッ、あ――――――――!」

 紘人さんが私の腰を強く掴んで、上下に激しく揺さぶった。快感に跳ねる腰を追いかけるように強く雄を打ち付けられて、呼吸ができないほどの深い絶頂に上り詰める。二度目か三度目かわからない高まりにくったりする私の背中を紘人さんが優しく撫でながら、私の中でどくどくと雄を震わせていた。

「愛してる……」

 耳元で愛を囁かれ、身体が反応した。それに紘人さんは小さく呻き声を漏らして、眉間に皴を寄せる。二人の呼吸が落ち着くまでそうして繋がっていて、汗ばんだ身体を密着させていた。
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