13 / 41
はじめての(1) ※
しおりを挟む
無言を肯定と捉えられたのか、身動きできず固まっている私の手を引いて、柚木さんは寝室へと向かった。触れてほしいと思っていた手に触れられる悦びを期待して、身体中が火照りだす。
その時にふと、引っかかっていた元カノさんのことを思い出した。雰囲気を壊してしまうかもしれないと恐れつつ、ベッドに並んで腰かけたタイミングで話を切り出す。
「あの……、長くお付き合いした相手がいるって噂を聞いたことがあって、あれって、本当なんですか……?」
「ああ、その話、藤井さんも聞いたことあったんだ……もうあんまり思い出したくもないけど、5年か6年か付き合った彼女と結婚しようかって両家顔合わせをやった数日後、二人で同棲していた家に帰ったら他の男連れ込んで……お楽しみ中だったんだよね……」
噂は、全て事実だったらしい。遠い目をして、辛そうに話す柚木さんを抱きしめて、さっきしてもらったように頭を撫で返した。
「ごめんなさい、思い出させて」
「ううん、ワケアリ物件って思われて当然の経歴だからね。俺は一途に想っていたし、浮気発覚以降は全く未練なく、信じていた相手に裏切られる辛さを味わいたくなくてしばらく恋愛とは距離を置いていました……というのが俺のここ5年の話。ちなみにこの部屋は当時借りていた部屋とは違う部屋だから、女の子を連れ込んだのは藤井さんが初めて……安心した? ほかに不安なことがあったら、今のうちに確認して?」
「……不安なこと、ない、です」
「……そっか。よかった」
「私、浮気、絶対しません」
「うん、ありがと」
柚木さんが私に体重をかけてくるがままに、ベッドに押し倒される。電気が眩しくて顔を顰めると、それに気づいて部屋を暗くしてくれた。私の顔にかかった髪を柚木さんが手で払って、少しずつ彼の顔が近づいてくる。
「ん……」
一瞬、唇が触れ合って、すぐに離れていく。もっと、と思って視線でねだれば、「わかってる」と呟いて、噛みつくようなキスをされた。熱い舌で唇をこじ開けられ、そのまま私の舌と絡まり合う。息継ぎもできないくらい荒々しいキスに、彼の二の腕を掴んで耐える。
「ん、ぁ……ッ、ゆ、のき、さん……!」
「紘人って呼んで……由奈」
「あ、ぁあ、ん、ぅう……ひろ、と、さん……!」
「かわいい、由奈、かわいいよ」
名前を呼ばれて、胸が苦しくなる。かわいい、と繰り返しながら何度も何度も、角度を変えてキスをされる。名前を呼び合って、心が通じた喜びを改めて実感する。柚木さん―――紘人さんの瞳はどんどんとギラギラしてきて、会社では見られない男の人の表情に、求められている悦びに身体が震える。
少しの隙間からでも舌が捻じ込まれる。唾液が口の端から零れても、キスは止まらない。歯列を、舌の側面を、ざらざらとした舌で擦られるたび、甘ったるい声が零れるのを止められない。
薄く目を開けば、目を閉じてキスに没頭する紘人さんの顔が見える。睫毛がふるふると揺れ、眉間に皴が寄せられている。私に夢中になってくれていることが嬉しくて、彼の舌に応えるように、私も彼の舌を舐めてみた。
「由奈……」
紘人さんが離れていく。二人の唇の間を、銀の糸がつぅっと結んでいた。ぷつり、とそれが切れるのと同時に、するりと彼の手が私のお腹に触れる。お腹を撫でまわした手は下へ向かい、スカートの上からお尻や太ももを撫でてきて、腰が揺れた。
「紘人さん……」
手を取られて身体を起こす。脱げる?と促され、スカートやブラウスをえいやと脱ぎ捨てた。紘人さんも同じように服を脱いで、ベッドの横に畳まれもしない服が二人分積まれている。
「下着は、俺が脱がせていいの?」
二人とも下着だけになって、もう一度ベッドの上で向かい合う。紘人さんの身体がきれいで、目が離せない。
「見るっていうのは……見られてもいいって、ことだよね。由奈も、見せて……」
ブラのホックが外されて、ふるりと胸が露わになり、恥ずかしさに顔を背けた。紘人さんの手が、それを優しく包み込んで、一度、二度、壊れ物を扱うように揉まれる。
「ふっ、ぅう、んぅっ……」
「声、我慢しないで……」
彼の指が胸に沈み込むたび、先端が尖っていくのを感じる。いつそこに触れられてしまうのだろうかと、期待と羞恥に生理的な涙が浮かぶ。
「ぁっ、や、ぁああっ!」
紘人さんの指先が頂に触れた。こりこりと押し潰され、指先で摘ままれ、じくじくとお腹の奥が疼きだす。紘人さんが勢いよく顔を近づけてきて、予告もなしにそこを咥えてきた。
熱い吐息が肌に届くだけで鳥肌が立つほど気持ちいいのに、敏感な頂を柔らかな舌で捏ねられれば身体が跳ねるのを止められない。舐められていない方の胸は、手で弄られていた。爪の先でカリカリと引っ掻かれ、鋭い刺激にじわりとショーツが濡れた気がする。ぷにぷにと乳輪を舐られ、じゅるじゅると音を立てて先端を吸われ、ぽろぽろと涙が零れる。
「やッ、ぁあっ、ぁああっ……」
身を捩って逃げてしまいそうになる私を、紘人さんは身体全体を使ってベッドに縫い留める。彼の熱い手がお腹を滑って、ショーツに指をかけられた。全部、全部曝け出してしまうのだと、頭の奥がじんじんと痺れるようで、息を止めて覚悟を決める。
「由奈、腰上げて……」
その時にふと、引っかかっていた元カノさんのことを思い出した。雰囲気を壊してしまうかもしれないと恐れつつ、ベッドに並んで腰かけたタイミングで話を切り出す。
「あの……、長くお付き合いした相手がいるって噂を聞いたことがあって、あれって、本当なんですか……?」
「ああ、その話、藤井さんも聞いたことあったんだ……もうあんまり思い出したくもないけど、5年か6年か付き合った彼女と結婚しようかって両家顔合わせをやった数日後、二人で同棲していた家に帰ったら他の男連れ込んで……お楽しみ中だったんだよね……」
噂は、全て事実だったらしい。遠い目をして、辛そうに話す柚木さんを抱きしめて、さっきしてもらったように頭を撫で返した。
「ごめんなさい、思い出させて」
「ううん、ワケアリ物件って思われて当然の経歴だからね。俺は一途に想っていたし、浮気発覚以降は全く未練なく、信じていた相手に裏切られる辛さを味わいたくなくてしばらく恋愛とは距離を置いていました……というのが俺のここ5年の話。ちなみにこの部屋は当時借りていた部屋とは違う部屋だから、女の子を連れ込んだのは藤井さんが初めて……安心した? ほかに不安なことがあったら、今のうちに確認して?」
「……不安なこと、ない、です」
「……そっか。よかった」
「私、浮気、絶対しません」
「うん、ありがと」
柚木さんが私に体重をかけてくるがままに、ベッドに押し倒される。電気が眩しくて顔を顰めると、それに気づいて部屋を暗くしてくれた。私の顔にかかった髪を柚木さんが手で払って、少しずつ彼の顔が近づいてくる。
「ん……」
一瞬、唇が触れ合って、すぐに離れていく。もっと、と思って視線でねだれば、「わかってる」と呟いて、噛みつくようなキスをされた。熱い舌で唇をこじ開けられ、そのまま私の舌と絡まり合う。息継ぎもできないくらい荒々しいキスに、彼の二の腕を掴んで耐える。
「ん、ぁ……ッ、ゆ、のき、さん……!」
「紘人って呼んで……由奈」
「あ、ぁあ、ん、ぅう……ひろ、と、さん……!」
「かわいい、由奈、かわいいよ」
名前を呼ばれて、胸が苦しくなる。かわいい、と繰り返しながら何度も何度も、角度を変えてキスをされる。名前を呼び合って、心が通じた喜びを改めて実感する。柚木さん―――紘人さんの瞳はどんどんとギラギラしてきて、会社では見られない男の人の表情に、求められている悦びに身体が震える。
少しの隙間からでも舌が捻じ込まれる。唾液が口の端から零れても、キスは止まらない。歯列を、舌の側面を、ざらざらとした舌で擦られるたび、甘ったるい声が零れるのを止められない。
薄く目を開けば、目を閉じてキスに没頭する紘人さんの顔が見える。睫毛がふるふると揺れ、眉間に皴が寄せられている。私に夢中になってくれていることが嬉しくて、彼の舌に応えるように、私も彼の舌を舐めてみた。
「由奈……」
紘人さんが離れていく。二人の唇の間を、銀の糸がつぅっと結んでいた。ぷつり、とそれが切れるのと同時に、するりと彼の手が私のお腹に触れる。お腹を撫でまわした手は下へ向かい、スカートの上からお尻や太ももを撫でてきて、腰が揺れた。
「紘人さん……」
手を取られて身体を起こす。脱げる?と促され、スカートやブラウスをえいやと脱ぎ捨てた。紘人さんも同じように服を脱いで、ベッドの横に畳まれもしない服が二人分積まれている。
「下着は、俺が脱がせていいの?」
二人とも下着だけになって、もう一度ベッドの上で向かい合う。紘人さんの身体がきれいで、目が離せない。
「見るっていうのは……見られてもいいって、ことだよね。由奈も、見せて……」
ブラのホックが外されて、ふるりと胸が露わになり、恥ずかしさに顔を背けた。紘人さんの手が、それを優しく包み込んで、一度、二度、壊れ物を扱うように揉まれる。
「ふっ、ぅう、んぅっ……」
「声、我慢しないで……」
彼の指が胸に沈み込むたび、先端が尖っていくのを感じる。いつそこに触れられてしまうのだろうかと、期待と羞恥に生理的な涙が浮かぶ。
「ぁっ、や、ぁああっ!」
紘人さんの指先が頂に触れた。こりこりと押し潰され、指先で摘ままれ、じくじくとお腹の奥が疼きだす。紘人さんが勢いよく顔を近づけてきて、予告もなしにそこを咥えてきた。
熱い吐息が肌に届くだけで鳥肌が立つほど気持ちいいのに、敏感な頂を柔らかな舌で捏ねられれば身体が跳ねるのを止められない。舐められていない方の胸は、手で弄られていた。爪の先でカリカリと引っ掻かれ、鋭い刺激にじわりとショーツが濡れた気がする。ぷにぷにと乳輪を舐られ、じゅるじゅると音を立てて先端を吸われ、ぽろぽろと涙が零れる。
「やッ、ぁあっ、ぁああっ……」
身を捩って逃げてしまいそうになる私を、紘人さんは身体全体を使ってベッドに縫い留める。彼の熱い手がお腹を滑って、ショーツに指をかけられた。全部、全部曝け出してしまうのだと、頭の奥がじんじんと痺れるようで、息を止めて覚悟を決める。
「由奈、腰上げて……」
0
お気に入りに追加
603
あなたにおすすめの小説
【R18】十六歳の誕生日、許嫁のハイスペお兄さんを私から解放します。
どん丸
恋愛
菖蒲(あやめ)にはイケメンで優しくて、将来を確約されている年上のかっこいい許嫁がいる。一方菖蒲は特別なことは何もないごく普通の高校生。許嫁に恋をしてしまった菖蒲は、許嫁の為に、十六歳の誕生日に彼を自分から解放することを決める。
婚約破棄ならぬ許嫁解消。
外面爽やか内面激重お兄さんのヤンデレっぷりを知らないヒロインが地雷原の上をタップダンスする話です。
※成人男性が未成年女性を無理矢理手込めにします。
R18はマーク付きのみ。
【R18】男嫌いと噂の美人秘書はエリート副社長に一夜から始まる恋に落とされる。
夏琳トウ(明石唯加)
恋愛
真田(さなだ)ホールディングスで専務秘書を務めている香坂 杏珠(こうさか あんじゅ)は凛とした美人で26歳。社内外問わずモテるものの、男に冷たく当たることから『男性嫌いではないか』と噂されている。
しかし、実際は違う。杏珠は自分の理想を妥協することが出来ず、結果的に彼氏いない歴=年齢を貫いている、いわば拗らせ女なのだ。
そんな杏珠はある日社長から副社長として本社に来てもらう甥っ子の専属秘書になってほしいと打診された。
渋々といった風に了承した杏珠。
そして、出逢った男性――丞(たすく)は、まさかまさかで杏珠の好みぴったりの『筋肉男子』だった。
挙句、気が付いたら二人でベッドにいて……。
しかも、過去についてしまった『とある嘘』が原因で、杏珠は危機に陥る。
後継者と名高いエリート副社長×凛とした美人秘書(拗らせ女)の身体から始まる現代ラブ。
▼掲載先→エブリスタ、ベリーズカフェ、アルファポリス(性描写多め版)
極上の一夜で懐妊したらエリートパイロットの溺愛新婚生活がはじまりました
白妙スイ@書籍&電子書籍発刊!
恋愛
早瀬 果歩はごく普通のOL。
あるとき、元カレに酷く振られて、1人でハワイへ傷心旅行をすることに。
そこで逢見 翔というパイロットと知り合った。
翔は果歩に素敵な時間をくれて、やがて2人は一夜を過ごす。
しかし翌朝、翔は果歩の前から消えてしまって……。
**********
●早瀬 果歩(はやせ かほ)
25歳、OL
元カレに酷く振られた傷心旅行先のハワイで、翔と運命的に出会う。
●逢見 翔(おうみ しょう)
28歳、パイロット
世界を飛び回るエリートパイロット。
ハワイへのフライト後、果歩と出会い、一夜を過ごすがその後、消えてしまう。
翌朝いなくなってしまったことには、なにか理由があるようで……?
●航(わたる)
1歳半
果歩と翔の息子。飛行機が好き。
※表記年齢は初登場です
**********
webコンテンツ大賞【恋愛小説大賞】にエントリー中です!
完結しました!
【R18】ドS上司とヤンデレイケメンに毎晩種付けされた結果、泥沼三角関係に堕ちました。
雪村 里帆
恋愛
お陰様でHOT女性向けランキング31位、人気ランキング132位の記録達成※雪村里帆、性欲旺盛なアラサーOL。ブラック企業から転職した先の会社でドS歳下上司の宮野孝司と出会い、彼の事を考えながら毎晩自慰に耽る。ある日、中学時代に里帆に告白してきた同級生のイケメン・桜庭亮が里帆の部署に異動してきて…⁉︎ドキドキハラハラ淫猥不埒な雪村里帆のめまぐるしい二重恋愛生活が始まる…!優柔不断でドMな里帆は、ドS上司とヤンデレイケメンのどちらを選ぶのか…⁉︎
——もしも恋愛ドラマの濡れ場シーンがカット無しで放映されたら?という妄想も込めて執筆しました。長編です。
※連載当時のものです。
性欲の強すぎるヤクザに捕まった話
古亜
恋愛
中堅企業の普通のOL、沢木梢(さわきこずえ)はある日突然現れたチンピラ3人に、兄貴と呼ばれる人物のもとへ拉致されてしまう。
どうやら商売女と間違えられたらしく、人違いだと主張するも、兄貴とか呼ばれた男は聞く耳を持たない。
「美味しいピザをすぐデリバリーできるのに、わざわざコンビニのピザ風の惣菜パンを食べる人います?」
「たまには惣菜パンも悪くねぇ」
……嘘でしょ。
2019/11/4 33話+2話で本編完結
2021/1/15 書籍出版されました
2021/1/22 続き頑張ります
半分くらいR18な話なので予告はしません。
強引な描写含むので苦手な方はブラウザバックしてください。だいたいタイトル通りな感じなので、少しでも思ってたのと違う、地雷と思ったら即回れ右でお願いします。
誤字脱字、文章わかりにくい等の指摘は有り難く受け取り修正しますが、思った通りじゃない生理的に無理といった内容については自衛に留め批判否定はご遠慮ください。泣きます。
当然の事ながら、この話はフィクションです。
【完結】お義父様と義弟の溺愛が凄すぎる件
百合蝶
恋愛
お母様の再婚でロバーニ・サクチュアリ伯爵の義娘になったアリサ(8歳)。
そこには2歳年下のアレク(6歳)がいた。
いつもツンツンしていて、愛想が悪いが(実話・・・アリサをーーー。)
それに引き替え、ロバーニ義父様はとても、いや異常にアリサに構いたがる!
いいんだけど触りすぎ。
お母様も呆れからの憎しみも・・・
溺愛義父様とツンツンアレクに愛されるアリサ。
デビュタントからアリサを気になる、アイザック殿下が現れーーーーー。
アリサはの気持ちは・・・。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる