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7-1 わたしはあなたの side A
3 That is Author of Bloodshed and Manslaughter.
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――のろわれている。
――呪われている。
突然のその言葉に、和音は一瞬意味を取れずに、ぽかんとしてロビンを見返した。
「さっき言った通り、信じるも信じないもキミの自由。ただ、更に言うなら、そういう事に対しては特化してるオリカだって、今現時点ではどうしようもない状態だ」
「……え、ええと、あの」
思考が追いつかない。
そんな狼狽える和音を見ながら、ロビンは落ち着いてコーヒーを一口啜った。
「ボクもオリカも、まあ、俗に言う霊能力者、だ。繰り返すけど、さっき言った通り、信じる、信じないは自由だけどね」
「れい、のうりょくしゃ……」
「まあ、詐欺師のつもりはないから、信じないなら心苦しいけど、ここでサヨナラだ。信じたとしても、壺とか変なものを買わせる気はないし、そもそもキミみたいな中学生が自由にできる金額なんて、たかが知れてる。今ここには、さっき買ってきた夕飯の材料とか消耗品の入ったこのトートバッグしかないしね」
――わざわざ霊能力者を騙って肉やティッシュを売りつける方が、どうかしてる。
そう、冗談めかしてロビンが言ったところで、少しずつ和音の思考が現状に追いついてきた。
「のろ、呪われてるって、誰に……」
「そこまでは、なんとも。キミの知ってる範囲内の人間だろうけど、まあ見えたところで、ボクに名前がわかるはずもないしね」
「絞り込みはできるんですか?」
ずっとシェイクのストローをぐりぐりと回していた織歌が、ロビンにそう尋ねた。
「ん、ここまではっきり見えるから、たぶん術者とは比較的身近な関係のはずだ。これは、明確に指向性を持って行使された結果だからね」
「……なるほど」
ロビンの言葉を噛み砕くような溜めを挟んで、織歌が頷く。
「あの、呪いって、これ、どうしたら」
「一番手っ取り早いのは術者を見つけて、ボクらと会わせてくれること。正直、お説教をしたい、というのもある」
お説教、という言い方に、ちょっとだけ何かが引っかかって、でも形にはならずに和音の頭の中で霧散した。
「見つけるって、どうやって……」
「既にキミ自身に影響が出てるはずだけど……わからない、かな。まあ、自覚がなくても仕方がない、か」
考え込むようにロビンが口元を手で覆い、テーブルに視線を落とす。
少しの沈黙の後、シェイクを飲んでいた織歌がストローから口を話す。
「そもそも、呪われたのは和音さんだけでしょうか?」
「……ああ、うん。そうだね、それは……ある、けど……そうなると、一番、分かりやすいのは……」
つい、とテーブルに落ちていたロビンの視線が再び和音に向いた。
眼鏡の奥の青い目が、剃刀のような鋭い光を湛えている。
「ワト、キミの周りで――」
――流血沙汰のナニか、起きなかった?
まるで、今日の美術の時間の事を見透かしたようなロビンの言葉に、和音の背中を冷や汗が伝った。
――呪われている。
突然のその言葉に、和音は一瞬意味を取れずに、ぽかんとしてロビンを見返した。
「さっき言った通り、信じるも信じないもキミの自由。ただ、更に言うなら、そういう事に対しては特化してるオリカだって、今現時点ではどうしようもない状態だ」
「……え、ええと、あの」
思考が追いつかない。
そんな狼狽える和音を見ながら、ロビンは落ち着いてコーヒーを一口啜った。
「ボクもオリカも、まあ、俗に言う霊能力者、だ。繰り返すけど、さっき言った通り、信じる、信じないは自由だけどね」
「れい、のうりょくしゃ……」
「まあ、詐欺師のつもりはないから、信じないなら心苦しいけど、ここでサヨナラだ。信じたとしても、壺とか変なものを買わせる気はないし、そもそもキミみたいな中学生が自由にできる金額なんて、たかが知れてる。今ここには、さっき買ってきた夕飯の材料とか消耗品の入ったこのトートバッグしかないしね」
――わざわざ霊能力者を騙って肉やティッシュを売りつける方が、どうかしてる。
そう、冗談めかしてロビンが言ったところで、少しずつ和音の思考が現状に追いついてきた。
「のろ、呪われてるって、誰に……」
「そこまでは、なんとも。キミの知ってる範囲内の人間だろうけど、まあ見えたところで、ボクに名前がわかるはずもないしね」
「絞り込みはできるんですか?」
ずっとシェイクのストローをぐりぐりと回していた織歌が、ロビンにそう尋ねた。
「ん、ここまではっきり見えるから、たぶん術者とは比較的身近な関係のはずだ。これは、明確に指向性を持って行使された結果だからね」
「……なるほど」
ロビンの言葉を噛み砕くような溜めを挟んで、織歌が頷く。
「あの、呪いって、これ、どうしたら」
「一番手っ取り早いのは術者を見つけて、ボクらと会わせてくれること。正直、お説教をしたい、というのもある」
お説教、という言い方に、ちょっとだけ何かが引っかかって、でも形にはならずに和音の頭の中で霧散した。
「見つけるって、どうやって……」
「既にキミ自身に影響が出てるはずだけど……わからない、かな。まあ、自覚がなくても仕方がない、か」
考え込むようにロビンが口元を手で覆い、テーブルに視線を落とす。
少しの沈黙の後、シェイクを飲んでいた織歌がストローから口を話す。
「そもそも、呪われたのは和音さんだけでしょうか?」
「……ああ、うん。そうだね、それは……ある、けど……そうなると、一番、分かりやすいのは……」
つい、とテーブルに落ちていたロビンの視線が再び和音に向いた。
眼鏡の奥の青い目が、剃刀のような鋭い光を湛えている。
「ワト、キミの周りで――」
――流血沙汰のナニか、起きなかった?
まるで、今日の美術の時間の事を見透かしたようなロビンの言葉に、和音の背中を冷や汗が伝った。
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