怪異から論理の糸を縒る

板久咲絢芽

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7-1 わたしはあなたの side A

2 Speak of the devil

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「あ、ロビンさん、すみません、こちらです」

驚きに立ちすくんでいたような青年は、織歌おりかなかば立ち上がって手を振ると、はっとしたようにこちらの席へと向かって来る。
その間も、その視線は和音わとに突き刺さったままだった。

「いや……オリカ、この子が、電話の?」

そう言いながら、青年は肩からげていた大きくふくらんだトートバッグを、座り直す織歌おりかの隣の席に下ろした。

「はい。ちょっと、私もどうすればいいか、わからなくて……」
「ああ、うん……そうだろうね、これは……」

彼が見張っていた目を緩めても、剣の強い目つきでにらまれているというような感じしか、和音わとにはない。
けれど、珠紀たまきのあの目よりはずっとマシだと感じた。
少し考え込むような素振りを見せた青年は、はっとしてから置いたトートバッグをごそごそとあさる。

「とりあえず、今すぐどうにかしようもないし、どうにかなるものでもない。場所代わりのボクの分、買ってくるから、ちょっと待ってて」
「はい、わかりました」

目当てらしい財布をトートバッグから取り出すと、青年はすぐに注文カウンターに向かってしまった。

「電話の人、ですか……?」
「ええ、たぶん私より説明も上手です」

困ったように笑って、織歌おりかが言った。
和音わとは注文カウンターに並んだ中でも一際目立つ――と言っても、時間的に混雑しているとは言いがたいが――、金髪の後頭部を注視する。

ひょろりと背が高く、さっき見た顔はどう見ても欧米系の顔立ちだった。
向こうの人は大人びて見えると言われるが、織歌おりかの対応からして、年は織歌おりかよりも上だろう。
ただ、どういう繋がりかが、見えない。

和音わとが思わずストローに歯を立てながらそう考えていると、その内すぐに、当の本人がホットコーヒーらしい紙カップを持って戻って来た。
そして一度テーブルにカップを置くと、トートバッグに財布をしまってから、そのまま床に下ろしてその席に座る。
それから向けられた視線で、和音わとは初めて、その青年の目があざやかな青い色をしている事に気がついた。

「待たせて、ごめんね。オリカ、どこまで説明した?」
「ええと、まだ、何も……」
「え、ナニも? ……まあ、うん、説明はしづらいことこの上ない、か」

驚いたように織歌おりかに視線を向けて、流暢りゅうちょうな日本語でそう言うと、一瞬だけ眉間にしわを作って、ため息をついた青年は和音わとに向き直る。

「とりあえず、ボクはロビン・イングラム。ロビンで構わない」
「あ、葉山はやま和音わと、です。ええと、ロビン、先輩も、うちの中学の卒業生、なんですか?」

織歌おりかとロビンの繋がりと考えられる唯一のものを口にすると、ロビンは片眉を上げて、いや、と口にした。

「ボクは生まれも育ちもイギリスEnglandだよ。こっちに来たのは義務教育修了後。日本語の勉強は昔からしてたけどね」

目つきに反して、淡々と感じられるほど穏やかな口調でロビンはそう言った。
しかし、和音わととしては、そうなると、じゃあ、この二人の共通項はなんなんだ、となってくる。
そんな和音わとの考えが顔に出ていたのか、ロビンが和音わとの顔を見て、ふっ、と苦笑に近い笑いをらした。

「ワト、ここから先は、信じるも信じないも、キミの勝手ではある。ただ、信じなかった場合、保証はボクらにはできかねる。信じてくれたとしても、ボクらの手に余る可能性も否定できない」

ロビンの鋭い目つきの青が、一瞬だけ発光したように和音わとには見えた。

「オリカは判断がつかなかったけど、ボクは断定できる。ワト、キミは
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