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6-1 竜馬と松浦の姫 side A
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「さっきから、しれっとうちら本歌取り言うとったけど、それも把握しとる?」
「ええと、要はパロディとかオマージュとかそういうことですよね?」
その小夜の言葉に蓬はふんふん、と頷いて口を開く。
本歌、つまり元ネタの和歌を踏まえた上で新たな和歌を作成する手法のことだったはずで、パロディとかオマージュと言っておけば、まず間違いはなかったはずだ。
「ま、その認識で問題はあらへんな。向こうが本歌取りしよるから、これらも本歌取りやろ、ロビンくん」
「え、ああ、うん」
蓬に不意に話題を振られて、ロビンが驚いたように戸惑いながら返す。
「センセイと話して、大伴旅人のと、この旅人に向けて吉宜が書いたっていわれるものとを元にしてる」
「まあ、向こうが詠んどるんが旅人の本歌取りやもんね、そうなるわな」
「……ヨモギ、まさかヨモギと話してる扱いなら、ボクがカウントされないと思ってる?」
「んあ、違うん?」
ロビンの言葉にあっけらかんと蓬が答え、ロビンが少し面倒そうな表情で頭を掻く。
「んー、まあ、センセイのせいで状況が変わったし……それなら、むしろ睨まれておくのはアリだから、いいけどね。ボクから見たら、直接よりは薄くても影響はあると確信できるから……」
「結局のところは結果オーライっちゅーことやんな?」
「……うん、まあそう」
投げやり気味にロビンが言う。
いつの間にか、弘が自分は一仕事終えたみたいな顔でフライドポテトをちょっと摘んでいる。
ロビンはそれを少し目を細めて見てから、改めて口を開いた。
「一首目は旅人の〈現には 会ふよしもなし ぬばたまの 夜の夢にも 継ぎて見えこそ〉。現実に会うことはできないが、夜の夢で会いましょう、って感じだね。『万葉集』の収録順としては、龍の馬も、の歌の後だから返しとしても最適」
「それを、断る方向にしてるわけですよね。現にもにして、現実でも会えませんし、夢でも会うべきでねーんじゃボケと……うーん、現在の状態を加味すると倒置の妙みたいなのありますね」
「いや、罵倒まではしてないけど?」
もそもそと長いポテトを齧りながら言った弘に、ロビンが眉間に皺を寄せてツッコむ。
そもそも、仮にも相手が神だと言われてるので、小夜としては、罵倒していいような相手ではない気もする。
「気を取り直して、二首目は、吉宜の、〈君を待つ 松浦の浦の 娘子らは 常世の国の 天娘子かも〉」
「これも倒置の妙になるんやね。松浦の浜辺にいる娘たちは常世の国の天女かもしれへんよって歌を、常世ならざるで、松浦の浜辺にいる娘たちだって人間やからねってしとるわけで……全体的にロックのノリで行くのがええんとちゃう」
「それ言うなら、単純なロックじゃなくてパンクかな……」
もしかしなくても、ロビンはツッコミ気質らしい。
本格的に口を開き始めた先程から弘にも蓬にもツッコミを入れている気がする。
「ええと、要はパロディとかオマージュとかそういうことですよね?」
その小夜の言葉に蓬はふんふん、と頷いて口を開く。
本歌、つまり元ネタの和歌を踏まえた上で新たな和歌を作成する手法のことだったはずで、パロディとかオマージュと言っておけば、まず間違いはなかったはずだ。
「ま、その認識で問題はあらへんな。向こうが本歌取りしよるから、これらも本歌取りやろ、ロビンくん」
「え、ああ、うん」
蓬に不意に話題を振られて、ロビンが驚いたように戸惑いながら返す。
「センセイと話して、大伴旅人のと、この旅人に向けて吉宜が書いたっていわれるものとを元にしてる」
「まあ、向こうが詠んどるんが旅人の本歌取りやもんね、そうなるわな」
「……ヨモギ、まさかヨモギと話してる扱いなら、ボクがカウントされないと思ってる?」
「んあ、違うん?」
ロビンの言葉にあっけらかんと蓬が答え、ロビンが少し面倒そうな表情で頭を掻く。
「んー、まあ、センセイのせいで状況が変わったし……それなら、むしろ睨まれておくのはアリだから、いいけどね。ボクから見たら、直接よりは薄くても影響はあると確信できるから……」
「結局のところは結果オーライっちゅーことやんな?」
「……うん、まあそう」
投げやり気味にロビンが言う。
いつの間にか、弘が自分は一仕事終えたみたいな顔でフライドポテトをちょっと摘んでいる。
ロビンはそれを少し目を細めて見てから、改めて口を開いた。
「一首目は旅人の〈現には 会ふよしもなし ぬばたまの 夜の夢にも 継ぎて見えこそ〉。現実に会うことはできないが、夜の夢で会いましょう、って感じだね。『万葉集』の収録順としては、龍の馬も、の歌の後だから返しとしても最適」
「それを、断る方向にしてるわけですよね。現にもにして、現実でも会えませんし、夢でも会うべきでねーんじゃボケと……うーん、現在の状態を加味すると倒置の妙みたいなのありますね」
「いや、罵倒まではしてないけど?」
もそもそと長いポテトを齧りながら言った弘に、ロビンが眉間に皺を寄せてツッコむ。
そもそも、仮にも相手が神だと言われてるので、小夜としては、罵倒していいような相手ではない気もする。
「気を取り直して、二首目は、吉宜の、〈君を待つ 松浦の浦の 娘子らは 常世の国の 天娘子かも〉」
「これも倒置の妙になるんやね。松浦の浜辺にいる娘たちは常世の国の天女かもしれへんよって歌を、常世ならざるで、松浦の浜辺にいる娘たちだって人間やからねってしとるわけで……全体的にロックのノリで行くのがええんとちゃう」
「それ言うなら、単純なロックじゃなくてパンクかな……」
もしかしなくても、ロビンはツッコミ気質らしい。
本格的に口を開き始めた先程から弘にも蓬にもツッコミを入れている気がする。
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