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5-1 夢の浮橋 side A
12 手に入りやすいものは限られる
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「それ以来、女性が信用、ならなくて、コミュニケーションを取ることも、ままならず……」
「いや、それは仕方ねえよ……」
「むしろ、そんな魔女にひっかかってなるな、という方がムリ」
「あー、なるほど」
慰めと同情と励ましと、三種類の色が含まれた直人とロビンの言葉の後に、紀美が納得の声をあげた。
「だから、だ。キミはトラウマ故に女性全般が信用できない、つまり、受け入れられない。トラウマと向き合う事は、傷を受け入れること。つまり、もう一度女性を信用しようとすることと、同義になる。だから、トラウマに従って夢を忘れていることが、リャナン・シーに対する静的な拒絶になってるんだ。ただ……」
紀美が困ったように眉尻を下げる。
「逆に、黙っているのは褒めている、黙る時は賛成を叫んでいるではないけど、明確な拒絶をできてないから、沈黙は肯定という形で、静的な受容という天秤が釣り合わないぐらいの、受容と拒絶が六対四みたいな状況で、ごりごり削られてる、みたいな……?」
そこで疑問形にされると全然締まらないのだが。
「……そこを確実に言い切れたら、ボクらがやってるのは神秘じゃないし、たぶん、センセイは胡散臭くない」
純也の考えを見透かしたようにロビンがそう言った。
「そう、それはそう。だからここまで来たら、後はとりあえず一時しのぎの対症療法考えるのと、日程調整、でいいよね?」
「うん、オリカでなんとかなると思う。センセイは最終手段」
「ねえ、気のせいか、困った時の織歌ちゃんになってない?」
直人の言葉に紀美とロビンは目を合わせてから、ほぼ同じタイミングで首を横に振った。
「オリカは一点特化。センセイは万能。ソコは見誤ったらダメ」
「逆に織歌で駄目なら、僕が動くべきって事になる、はずだから……うん、今回は僕が動くと、ちょっとねえ、ロビンだけじゃなく、弘にも怒られそう……」
じろりと視線を送るロビンから、気まずそうに目を逸らしつつ、紀美がぽつりと師匠の威厳がない言葉を零した。
やっぱり、弟子というよりお目付け役なのではないだろうか。
「だけど、紀美くん、対症療法なんてあるの?」
「ん、残念だけどリャナン・シー独自のものはない。ただ、妖精全般が苦手とするものは決まってるからね」
そう言って、紀美は最後の砂肝を口で串から引き抜く。
「鉄、ナナカマド、ニワトコ、パン……まあ、後はよくある西洋系の護符全般だね……ボクは和鋏とか良いと思う」
純也としては、パンが妖精避けになるなんて初耳だし、そもそも最後は何故、そんな微妙にニッチなものを推すんだろう、といったところである。
直人の様子を見てみると、直人も微妙な表情をしていた。
「いや、それは仕方ねえよ……」
「むしろ、そんな魔女にひっかかってなるな、という方がムリ」
「あー、なるほど」
慰めと同情と励ましと、三種類の色が含まれた直人とロビンの言葉の後に、紀美が納得の声をあげた。
「だから、だ。キミはトラウマ故に女性全般が信用できない、つまり、受け入れられない。トラウマと向き合う事は、傷を受け入れること。つまり、もう一度女性を信用しようとすることと、同義になる。だから、トラウマに従って夢を忘れていることが、リャナン・シーに対する静的な拒絶になってるんだ。ただ……」
紀美が困ったように眉尻を下げる。
「逆に、黙っているのは褒めている、黙る時は賛成を叫んでいるではないけど、明確な拒絶をできてないから、沈黙は肯定という形で、静的な受容という天秤が釣り合わないぐらいの、受容と拒絶が六対四みたいな状況で、ごりごり削られてる、みたいな……?」
そこで疑問形にされると全然締まらないのだが。
「……そこを確実に言い切れたら、ボクらがやってるのは神秘じゃないし、たぶん、センセイは胡散臭くない」
純也の考えを見透かしたようにロビンがそう言った。
「そう、それはそう。だからここまで来たら、後はとりあえず一時しのぎの対症療法考えるのと、日程調整、でいいよね?」
「うん、オリカでなんとかなると思う。センセイは最終手段」
「ねえ、気のせいか、困った時の織歌ちゃんになってない?」
直人の言葉に紀美とロビンは目を合わせてから、ほぼ同じタイミングで首を横に振った。
「オリカは一点特化。センセイは万能。ソコは見誤ったらダメ」
「逆に織歌で駄目なら、僕が動くべきって事になる、はずだから……うん、今回は僕が動くと、ちょっとねえ、ロビンだけじゃなく、弘にも怒られそう……」
じろりと視線を送るロビンから、気まずそうに目を逸らしつつ、紀美がぽつりと師匠の威厳がない言葉を零した。
やっぱり、弟子というよりお目付け役なのではないだろうか。
「だけど、紀美くん、対症療法なんてあるの?」
「ん、残念だけどリャナン・シー独自のものはない。ただ、妖精全般が苦手とするものは決まってるからね」
そう言って、紀美は最後の砂肝を口で串から引き抜く。
「鉄、ナナカマド、ニワトコ、パン……まあ、後はよくある西洋系の護符全般だね……ボクは和鋏とか良いと思う」
純也としては、パンが妖精避けになるなんて初耳だし、そもそも最後は何故、そんな微妙にニッチなものを推すんだろう、といったところである。
直人の様子を見てみると、直人も微妙な表情をしていた。
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