春の芽吹きと官能小説

春の芽吹きと官能小説

「春がやってきたわ……」

　暖かい日の光を浴びて私は起床した。

　時刻はすでに昼を回っている。

　とても遅くまで、ぐっすりと眠っていたみたい。

　いつの間にか春が来ていた。

　家の庭に植えてあった枝垂れ桜が満開を迎えている。

　その花の蜜をメジロがちゅんちゅんとやってきて、一生懸命に吸っている。

　ふふふ、かわいい。

　ずっと見ていられる……


「ああ、本当に気持ちがいいわ」


　私は春の暖かい陽気に包まれながら、ベットから起き上がる。

　けれど、床はまだ冷たい。

　木製の床がギシギシと軋み、その上を私は歩いていく。

　水道の蛇口を捻って、水道水をコップいっぱいに満たす。

　それをグイッと一息に飲み干す。

　冷たい。

　水はまだ冷たい。

　私は毎朝の日課を終え、しばらくして部屋に戻った。

　今日は昨日、読み残した官能小説を読むんだ。

　こんな気持ちがいい春の陽気の中で官能小説を読むなんて、ちょっと罪悪感を感じてしまう。

　でも、なんか……

　それがいいの。

「それじゃあ、今日も一日楽しみましょう」

　私は読みかけの273ページから、また読み進める。

　いきなり、セックスの描写が飛び込んでくるものだから、びっくりしてしまいます。

　寝起きに官能小説。

　ああ、たまりません……


　こうして、私の休日。


　春休みの休日の1日は始まるのです。


　春の気持ちいときに読む官能小説。


　外でメジロの鳴く音を傍に読む官能小説。


　とってもおすすめですよ。


　それでは、また。