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我が家へ行きたい?

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「ねえ、そろそろ直樹の家に行ってもいい時間じゃない?」

 絵里奈はリビングのソファでくつろぎながらそう言った。

「そんなに行きたいのか……。別に行ったところで、ただのボロ家だぞ」

「私たちにとっては思い出の場所でしょ。小さい頃はよく直樹の家で遊んだなぁ……」


「そうかもしれないけど……。でも家族がいたら絶対に今日は無理だからな」


「なんで? 久しぶりに直樹の家族とも会いたいのだけど?」


「そ、それはだな……。俺たちは前の純粋な関係だけじゃないから……というか。ヤったあとに絵里奈を連れて親の前に立つなんて、罪悪感が半端ないだろ……」


「はははっ。直樹はそんなこと気にするんだねっ。おもしろいね~」


 絵里奈は珍しいものを見るような顔で俺のことを馬鹿にしてくる。

「お前な……。罪悪感を感じないほうがおかしいっての……」
 
 俺は逆にあきれた顔をして絵里奈に対抗しようとする。


「直樹はほんとに……」


「絵里奈は本当に……」


「真面目さんだね」
「変態だな」


 二人はそんなことを同時に言うのだった。


「ははっ。私たち変なところで息ぴったりだね」


 絵里奈は変態と言われたのがさぞ嬉しいかったかのように、クシャっと笑顔を作った。


「今から親に電話するから、ちょっと待ってろ」


「はーいっ」

 
 俺は絵里奈の存在を悟られないように、最善の注意を払いながら電話をかけるのだった。



数分後……




「今日は家族いないって。まあ、それもそうか。今日は平日だからな」


「ふふふっ。私たち悪い子だね。学校がある日にお泊りしてたなんて……」


「まあ、なんだ。背徳感はすごかったけど、俺は絵里奈を優先させたかったからな」


「あらあら~。かっこいいこと言うのね、直樹は。そんなに私のことが大事なの?」


「そんなの当たり前じゃないか。俺はずっと絵里奈のことで後悔していたんだ。だから、二度と手放してやるものかってな」


「ちょ、ちょっと……。その言い方だとまるで恋人みたい……だよ?」


 絵里奈の顔は真っ赤になっている。


「うっ……。いやっ。その……。俺は幼馴染として二度と離れ離れにはなりたくないって意味で……」

「そ、そうよね……。あははは……。びっくりした~」

 絵里奈は両手で火照った顔をパタパタと扇ぎながら、気持ちを落ち着けている。


「でも……もし……」


 絵里奈は直樹に詳しくは聞こえないような小さな声で呟く。


「もし……直樹にも……」


「ん?? 何か言ったか絵里奈?」


「あっ……。えっと……なにも言ってない……よ?」


「そうか。それじゃあ早く行こうか」


「う、うん。行こ!」


 俺たちはこうして、学校をサボり俺の家へと向かうのだった。
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