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お泊まり⑦

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 俺は絵里奈とのお風呂タイムを無事に? 終えると、リビングにあるテレビでバラエティ番組を見始めた。

 テレビは壁に埋め込んであり、たたみ二畳分くらいの大きさがあった。

 一体コイツはどれだけ金持ちなんだよと不思議に思う。

「ところでさ、絵里奈はどうしてこんなに高い高層マンションに住んでるんだ? 俺が知っている昔のお前の家のイメージとはかけ離れすぎているんだが」


「ああ、それね。えーっとね。お父さんの会社が鰻上りに黒字を出してね、それで我が家は捨てるほどの貯金ができてるの。現在進行形よ」


「へ~そうなんだ。でもそれにしては、生活感がないよな、この家は」


「そ、そうかしら……」


「両親はあまり家に帰らない仕事をしてるのか?」


「ま、まあそんなところね。お父さんは起業して会社を立ち上げたくらいだし、とても忙しいのよ。お母さんもそのお手伝いをしている感じで」


「へえ~頑張ってるんだな」


 俺は素直に関心した。

 なぜなら起業して設立した会社がうまくいくことなんてほとんどないのだ。

 大抵の新興の会社は世の中のニーズを読み違えたり、不完全な経営管理で一年と持たないことが多い。

 そんな過酷な環境のなか、そうやって確実に売り上げと利益を伸ばしていき、最終的には高層マンションに住めるくらいにお金を稼ぐことが出来ているのは、正直に言ってかなりすごいことなのだ。


「お前のお父さんとお母さん、もしかして高学歴だったりするの?」


「へっ?? ま、まあそんなところかな」


「ふ~ん。すごいんだなお前の両親。俺の記憶だとお前の両親は高卒だったような気がするんだけど、気のせいだったか」


「へ、へえ。お、覚えてたんだぁ~。あ、けど間違ってるからね。わ、わたしの両親は大卒だよっ」


「そうだったんだな。俺、お前のこと何でも知ってたような気がしたけど、案外知らないこともまだまだ沢山あるのかもしれないな」


「そ、そうね……、こういった込み入った話は昔はあまりしていなかったから、知らない話も当然あるわよね。だって私も直樹の家族のこととか、全然知らないもの」


「そうだな~」


 俺は今こうやって落ち着いた話が出来ていることに妙な安堵感のようなものを感じている。

 それは今まで絵里奈とずっと激しい運動をしていたせいなのかもしれない。

 不意にやってくる平穏に人間は誰しも心安らげるものなのだ。


「なんか大きくなってから、お前とこういう話ができるのは楽しいわ」


「そ、そう?」


「ああ。そういう点では絵里奈とセフレになったことは良い決断だったな。こうやってまた関係を元に戻せたわけだし」


「ちょ、ちょっと! その言い方だと私とのセックスは余計なことのように聞こえるじゃない?」


「はははは。絵里奈が俺の望むような心通い合うセックスをしてくれるのなら、それもセフレの利点に入るかな~」


「な、なによそれ。それだと私の思いが一方通行みたいな感じになっちゃうじゃない。確かに私が直樹にセフレになってとお願いしたのは事実だけどさ……。女の子の私が勇気を振り絞ってした提案なんだよ。そういう言い方はずるくない?」


「お前な、勇気を振り絞ってすることが幼馴染とセフレになることの提案か? やっぱりお前は超が付くほどの変態さんだな……」


「な、なによ!! なんでそんなに直樹は意地悪なのよ~」


「はははははははっ」


 ああ、楽しいな。


 またこうやって絵里奈と二人で楽しく過ごすことが出来ている。


 セフレという一般的に見れば歪な関係かもしれないけど、俺はこれからも絵里奈とうまくやっていこうと思う。


 もう二度と彼女を手放すことはしないと密かに俺は心に誓うのだった。
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