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みだれ髪と青春③
しおりを挟む高野君と私の二人はいつもと同じ帰り道を、少しだけ慣れない道のように感じながら帰っています。
高野君の顔はたまにチラチラと私の方に向けられ、それに気づかれまいとすぐに反対の方へ首を振ってしまいます。
「あ、あのさ……。高野君はどうして今日、私のこと誘ってくれたのかな?」
「うっ……」
どうやら、彼の方から話を持ちかけるつもりだったようで、私に先手を打たれたことで少しだけ戸惑っている様子。
「あ、ご、ごめんね。私の方から聞いちゃ不味かったかな……」
「い、いや、べ、別に大丈夫だよ」
「そ、そう」
私たちの間にはなんとも気まずい空気が流れていく。
私の方はいたって普通にコミュニケーションしているはずなんだけどな……
そう思っていたときでした。
「ぽつ、ぽつ、ぽつ……」
急に雨粒の音が遠くの方から聞こえてきたかと思うと、すぐに私たちのところにまで雨がやってきて、すっかりあたり一面が雨模様になってしまいました。
「た、竹内さん!! こっちへ!!」
先ほどの優柔不断な彼とは打って変わって、今の高野君はとても判断が早く、私の手を優しく握ると、近くの公園にあった東屋まで走っていきました。
私はその高野君の大きな背中を見つめながら、ただ彼につられて東屋へと急ぐのでした。
その後に、私があんなになってしまうなんて、そのときは思いもよらないのでした……
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