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05 再会
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「会いたかった!!!」
柚葉は俺の姿を見つけると勢いよく、何の躊躇いもなく俺に抱きついてきた。ふわっと空気とともに柚葉の濃い汗の匂い、いや……。色々なものが混ざった匂いが鼻の奥を刺激した。
「どうしたんだ! 柚葉。その格好は……」
柚葉の服はボロボロで、昨日の桜の木の下で見た服の原型は何も保っていない有様になっていた。辛うじて、大事なところは見えていない。そんな状態だった。
「んっとね……。なんでもないの。ちょっと転けちゃって」
「いやいや、そんなレベルじゃないだろ!!!」
俺はあえて昨日の出来事を知らないふりをして、柚葉と接することにした。昨日の夜、俺はそうやって柚葉と接していこうと決めたのだ。どうしてそうしたのか、それは自分でも分からなかったが。
柚葉の体はとても冷たくて、どうやら長いあいだこうして外で俺のことを待っていたらしい。
「本当に久しぶりだね……」
「おい、今はそれどころじゃ……」
俺がそう言いかけた瞬間だった。
柚葉の長い髪がふわっと宙を舞った。そして、ぷにっと柚葉の冷たく湿った唇が俺の唇に重ねられた。
俺たち二人にとって、初めてのキスだった。
「えへへ……キスしちゃった」
柚葉はニコッと元気のない顔ではにかんだ。その姿は何かに焦っているようにも見えた。そしてさらに柚葉は続けた。
ぷにっ。
再び柚葉の唇の感触が伝わってきた。
「んっっっっ……」
俺が柚葉の体を押しのけようとすると……
にゅるっっっ。
柚葉の生温かい舌が俺の口内に入ってきた。そしてしばらくのあいだ、柚葉は不器用な舌使いで俺の口内を舐め回した。
「ん、ぬ……。おいっ柚葉……。何してるんだっ」
俺が必死に抵抗しようとするが、柚葉は負けじと俺に抵抗するように舌を滑り込ませてくる。
その柚葉の懸命なキスは、どこか焦っているようにも見えた。
「柚葉……。お前せっかく会えたって言うのに、どうしてこんなことするんだ!」
俺はちょっとだけ声を荒げて柚葉に問いかけるが、柚葉は舌を俺の口内から一向に抜こうとしない。まるで、柚葉の体のなかに俺の唾液を取り込んでいるかのように、濃厚で深い、焦りのあるディープキスだった。
「ねぇ……。今から私のアパートに来て。早く私たちは一つになるべきだと思うの」
「おい何を言ってるんだ?」
柚葉はディープキスの息継ぎの間にそんなことを俺に言ってきた。
「私、ずっと待ってたんだよ?」
「それとこれと何の関係があるんだ? どうして帰ってきてそうそう、お前とエッチしないといけないんだ?」
俺は正論を柚葉に投げかけた。今の柚葉は明らかにおかしい。ハイエナに追われている小動物のような必死さがあった。
「どうして! エッチしたくないの? 私はエッチしたい! 一つになりたい!」
「おいおい、落ち着けって。な!! 一旦落ち着こう。ほら……」
俺は柚葉をなだめようとするが……
「じゃないと、私……わたし。昔のわたしじゃなくなっちゃう。もうあの頃のわたしは二度と戻ってこないと思うの……。だからお願い、お願い。わたしとエッチして。セックス……して」
朝日が柚葉の体を強く照らしている。あの夕方の太陽が、今度は時と場所を変えて柚葉と俺を照らしている。
俺はどうしたらいい?
どうするのが正解なんだ?
柚葉は俺の姿を見つけると勢いよく、何の躊躇いもなく俺に抱きついてきた。ふわっと空気とともに柚葉の濃い汗の匂い、いや……。色々なものが混ざった匂いが鼻の奥を刺激した。
「どうしたんだ! 柚葉。その格好は……」
柚葉の服はボロボロで、昨日の桜の木の下で見た服の原型は何も保っていない有様になっていた。辛うじて、大事なところは見えていない。そんな状態だった。
「んっとね……。なんでもないの。ちょっと転けちゃって」
「いやいや、そんなレベルじゃないだろ!!!」
俺はあえて昨日の出来事を知らないふりをして、柚葉と接することにした。昨日の夜、俺はそうやって柚葉と接していこうと決めたのだ。どうしてそうしたのか、それは自分でも分からなかったが。
柚葉の体はとても冷たくて、どうやら長いあいだこうして外で俺のことを待っていたらしい。
「本当に久しぶりだね……」
「おい、今はそれどころじゃ……」
俺がそう言いかけた瞬間だった。
柚葉の長い髪がふわっと宙を舞った。そして、ぷにっと柚葉の冷たく湿った唇が俺の唇に重ねられた。
俺たち二人にとって、初めてのキスだった。
「えへへ……キスしちゃった」
柚葉はニコッと元気のない顔ではにかんだ。その姿は何かに焦っているようにも見えた。そしてさらに柚葉は続けた。
ぷにっ。
再び柚葉の唇の感触が伝わってきた。
「んっっっっ……」
俺が柚葉の体を押しのけようとすると……
にゅるっっっ。
柚葉の生温かい舌が俺の口内に入ってきた。そしてしばらくのあいだ、柚葉は不器用な舌使いで俺の口内を舐め回した。
「ん、ぬ……。おいっ柚葉……。何してるんだっ」
俺が必死に抵抗しようとするが、柚葉は負けじと俺に抵抗するように舌を滑り込ませてくる。
その柚葉の懸命なキスは、どこか焦っているようにも見えた。
「柚葉……。お前せっかく会えたって言うのに、どうしてこんなことするんだ!」
俺はちょっとだけ声を荒げて柚葉に問いかけるが、柚葉は舌を俺の口内から一向に抜こうとしない。まるで、柚葉の体のなかに俺の唾液を取り込んでいるかのように、濃厚で深い、焦りのあるディープキスだった。
「ねぇ……。今から私のアパートに来て。早く私たちは一つになるべきだと思うの」
「おい何を言ってるんだ?」
柚葉はディープキスの息継ぎの間にそんなことを俺に言ってきた。
「私、ずっと待ってたんだよ?」
「それとこれと何の関係があるんだ? どうして帰ってきてそうそう、お前とエッチしないといけないんだ?」
俺は正論を柚葉に投げかけた。今の柚葉は明らかにおかしい。ハイエナに追われている小動物のような必死さがあった。
「どうして! エッチしたくないの? 私はエッチしたい! 一つになりたい!」
「おいおい、落ち着けって。な!! 一旦落ち着こう。ほら……」
俺は柚葉をなだめようとするが……
「じゃないと、私……わたし。昔のわたしじゃなくなっちゃう。もうあの頃のわたしは二度と戻ってこないと思うの……。だからお願い、お願い。わたしとエッチして。セックス……して」
朝日が柚葉の体を強く照らしている。あの夕方の太陽が、今度は時と場所を変えて柚葉と俺を照らしている。
俺はどうしたらいい?
どうするのが正解なんだ?
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