織畑ナズナの姐さん飯

KUROGANE Tairo

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織畑ナズナの姐さん飯-85[メスティン焚きご飯(固形燃料)]

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 店が休みの前日となると、直接家に帰らずにおのおの外食へ向かい、好きな物を食べて帰ってきます。

 稲荷神の世界にも飲食店はあるのですが・・・所詮、悠久の時を生きる我々にとっては、人間の文化を真似た暇潰しがこの世界での商売です。

 もちろん、人間の店に負けないガチな店もあります。

 それでも確実なのは、人間の世界にふらっと下りて好きなお店にいくことですね。

 私は一日休みなら行こうかと思うのですが、仕事帰りで稲荷の耳と尻尾を隠して人間っぽくなって・・・という準備が結構面倒なので、急ぎの用がない限りはまっすぐ家に帰ります。

 こんなときに稲荷ハーフのレンカや、ソラちゃんのように見た目が人間にそっくりな神族は便利ですよね。母が息をするように稲荷の耳と尻尾を隠すことができますが、あの領域までたどり着く者は僅かです。私が知っているだけでもそれができるのは、母と葛の葉様くらいです。

 どれくらいそれがすごいかと言うと、鬼●の刃で柱と呼ばれる組織に属するようなものなんです。

 と・・・いうことで、今夜の晩御飯はボッチ飯でした。

 おかずには缶詰、サバの醤油煮があります。缶切り無しで開けられるシステムを思いついた人間はすごいですね。これに慣れたせいで、我が家の缶切りがどこにあったか忘れました。庭キャンプ用のマルチツールを持ってきた方が早いですね。

 今日は何も作らないのかと言うと・・・ご飯がありません。お米が焚けてません。しかも、最後に食べたやつが空の内釜を炊飯器に突っ込んでいたので、準備はこれを洗うとこからでした。人間の世界なら電気代ももったいない。(この世界ではそもそも電気でこれが動いているのか・・・というのは考えないように。)

 しゃもじを流しに投げ捨てるように置くのは、あの堕狐・・・タマモパイセンですね。帰宅後に正座させて、殺生石と同じ重量の石を膝にのせる刑にしておきました。

 さて・・・初期に紹介したフライパン炊きのご飯をしてもいいのですが、庭キャンプを初めてからは、ポケットストーブと固形燃料、そしてメスティンがあるのでこれでご飯を炊くことにしました。

 ところで皆さん、米を焚くメスティンのサイズの適量はご存知でしょうか。(メスティンの材質は一般的なアルミとします。)

 複数人数分の米や、ラーメン用を考えるとラージメスティンだけでいいんじゃね?・・・と思っていた時が私にもありました。

 たしかに使いやすさと汎用性はラージサイズのほうがあります。

 しかーし。
 
 米を焚く・・・これについては、焚く量に応じて適したサイズがあります。

 例外はあるかもですが、1合から1.5合ならノーマルサイズ。2合以上ならラージサイズです。最近のメスティンには米の量と水の適量が刻まれています。つまり、この刻まれたメモリの範囲が適応範囲と思えばいいでしょう。

 話を米炊きの手順に戻しましょう。今回はどちらかというと[やってみた回]なので、流れのなかでサクッと説明します。

 まずは焚きたい量を洗って、水にしばらくつけて吸水させます。私1人なので1合でいいでしょう。お茶碗2杯分ですが、おかわりしたっていいじゃないですか。

 季節にもよるので一概にはいえませんが、30分~60分吸水させます。私は深く考えずに60分前後の吸水をさせています。

 吸水後はザルでしっかり水を切って・・・・・というのが正しいやりかたのは分かっているんですよ。

 でも私は面倒なので、ボウルを米が流しにこぼれないギリギリまで傾けて、水分を切れるだけ切って終わりです。ガチ料理でなければ、これで十分・・・と思ってます。

 これをメスティンに移します。1合なのでノーマルサイズのメスティンでいいですね。1合がギリ焚けるもう一回り小さいメスティンもありますけど、小さい分、汎用性が弱くなるので個人的にはオススメしません。それが必要という理由がない限り、メスティンはノーマルとラージで十分だと思います。

 複数持つと嵩張ると思われがちですが、同じメーカーの同シリーズのサイズ違いなら重ねることができるので、必要なスペースは実質ラージサイズ1個分です。

 米と適量の水(1合=200cc)をメスティンに入れたら蓋をします。

 火にかける前に、もうひとつ準備を・・・水を入れたマグカップやおかずの缶詰など用意してください。焚いているときに蓋が浮き上がってくるので、重りにします。キャンプ地なら薪をのせてもいいですね。

 私の経験だと1合ではよほどガバガバな蓋でない限り、浮き上がることはありません。1.5合からは浮き上がります。しっかり押さえられる方がいいので、とりあえずはのせておきます。

 今回はまだ蓋を開ける前のサバの醤油煮の缶詰を重りにしました。そこそこいい感じであったまるので、湯煎不要になります。(この時点での蓋の開封については賛否あります。)

 ポケットストーブを展開し、固形燃料をセットします。固形燃料を置く前に、アルミホイルを敷いておくと片付けが楽になります。燃え残った固形燃料がアルミホイルごと捨てられるので。ただし、固形燃料を包むようにアルミホイルを置いてしまうと、最大火力や燃焼時間に狂いが生じますので、浅いミニトレーを作るイメージで敷きましょう。(あえてその効果を狙う料理法もあります。)

 固形燃料は15分以上燃焼するものを。白いタブレット型は携帯性と保管期間の面で便利ですが、屋内使用ができないので、青い円柱の固形燃料を使います、宴会料理で見かけるアレですね。でもこれ、自然蒸発の性質があって保管できる期間が短いので、直近で必要な分だけ買いましょう。一応、100円ショップの専用ケースとジップ●ックの組み合わせでしばらく時間稼ぎはできますね。

 チャッカマ●でセットした固形燃料に火をつけたら、重りをのせたメスティンをポケットストーブにのせます。狐火ではなく、ここは雰囲気を大事にチャッカマ●です。

 (※ポケットストーブを直接、テーブルや床の上に置かないように。断熱作用を考え、木の板などを敷きます。100円ショップのキャンプグッズコーナーには、この状況を想定したアイテムが売っているので、使いやすい物を選んでください。)

 これも私も経験として・・・15分の固形燃料ならあとは火が消えるまで放置です。15分以上燃える場合は、時間を計ります。15分が今のところのベスト燃焼時間ではありますが、底から焼けるような音がし始めたら、お焦げができ始めているので火から離した方がいいですね。

 燃焼時間のあいだに、二枚重ねの新聞紙を広げ、その上にタオルを色広げておきます。ノーマル、ラージどちらでもフェイスタオルくらいの大きさがあれば十分です。

 適切な燃焼時間が経過したら、準備したこの上にメスティンを移動させて包みます。新聞紙がバラけないように重りをのせるか、テープでとめておきます。メスティンに使っていたほうの重りは回収しておきましょう。ただ、今回の場合は缶詰なので一緒に包んで保温しておきます。

 保温時間の適切な時間は、サイトや本によって差があるようですね・・・とりあえず、私のやり方で30分ほどこのままにしておきます。これがねえ・・・なかなか冷めないんですよ。いや、マジで。

 実際、保温後に新聞紙を開けると、まだホカホカのメスティンがでてきます。取っ手を畳んでいる場合は、本体から移った熱で暖かいです。

 サバの醤油煮の缶詰もいい感じで温まってました。

 あとはメスティンの蓋を開けて、軽く混ぜれば完成です。

 メスティン焚きご飯と炊飯器炊きを食べ比べれば断然味は前者です。おかずが缶詰かレトルトでも、プチ贅沢なご飯になります。

 品質にこだわらなければ、ポケットストーブは100円ショップで購入できますよ。固形燃料も100円ショップで売ってます。個数が多いのがオトクと思ってしまうと、燃焼時間が短いので注意。個数と燃焼時間をよく見て買いましょう。

 メスティンも安い物は1000円未満からあります。すこし値段が上がりますが、私のオススメとしては、蒸し焼き用の網がセットで売っているものです。こういうのはその時は必要なくても、あとで欲しくなった時に少し面倒になります。同じメーカーが出している物がばら売り出されていればいいのですが、異なるメーカーだとサイズを考えて買うことになります。

 同メーカーなら劇的な値段の差はないので、蒸し焼き網とのセットで買うのがいいと思ってます。

 それから・・・これは個人的な好みの問題ですが・・・私は固形燃料で使うメスティンは黒いコーティングがされたおしゃれな物を。焚火にはシルバーの無骨な物を。と使い分けてます。

 まあ、まずは最悪、変形して穴開けてもいいようなつもりで、コーティングがない質素なメスティンから始めた方がいいですね。

 災害時の停電の中での料理にも使えるので、1セット揃えてみてはどうでしょうか?

 それではまた次回、よろしくお願いしますね。
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