息抜き庭キャンプ

KUROGANE Tairo

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第11話_風を読むのだ

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 庭キャンプ場にしゃがむニケは、最初に貸した短い捩じり鎌で除草作業を手伝ってくれていた。柄の長いタイプを買ってあげようかと思ったのだが、本人が頻度的にこれでいいと言ったのだ。

 オレは後者の長い方だ。ちょっとでもニョキっとでてると気になるので、基本、他の作業の時にも持って来ていることが多い。

「薪いじりながらも気になったら、つまむ程度の草を抜くくらいマメよね。庭キャンプ場に関しては。」

 地面の草は気になったら処理する性格だ。【股の芝】もちょっと伸びただけで気になるから、脱毛している。このボディースーツ(インナーレオタード)は、下半身正面の構造がかなりギリな超底面積な上に、ベルトとバックルで引っ張り上げているから、芝生育てていたらはみ出るんだよな。ちなみにケツ側のTバックは下に行くほど見えなくなるような角度だ。

 この刺激により、身体能力が向上する効果がある(と思っている)。

「アイドルラインって用語知ってますか?」

 リアル系ロボットアニメの条約とアイドルラインは破るためにあるモノだ。

 庭の草も股の芝もすぐに大きくなるから、短いうちに刈り取っておきたいのさ。ちっちゃいパンツから出ないように、最低限度にまで剃り、短く切って残しておくのはお前の下の毛だけでいい。

「あなたは煩悩を根っこから抜きなさい。」

 超大手箱にも堂々とこの手の話をする奴はいたけどなあ。整えた下の芝が星形でどうこうとか・・・・・・。我慢大会で決壊する音を出してしまうのが日常レベルの箱もあるくらいだ。よくまあ、チャンネルごと消されないと思う。

「後者はうちでやったらマネージャーからの警告レベルだね。実績や経験を言うだけならいいけど、配信中に実行はだめなやつ。」
※最近の配信では下ネタ規制はかなり緩くなった。下ネタトークをするタレントとノリのいいファンが増えたことと、他の箱でもっと変態的に堂々とやっている精鋭達がいる影響を受け、緩和されたらしい。さすがに『某我慢大会』は止められる。

 虫けらだけの雑草地帯を見るようなニケの視線をスルーし、たんぽぽを根っこから引き抜く。オレの持つ捩じり鎌は正しくは草刈り器に分類され、横向きに使うと捩じり鎌のように使え、縦向きに使うと草抜きになる、根っこが頑丈で大きくなりやすい系の草だけは根っこから処理しておきたい。

 とくにたんぽぽ、テメーはだめだ。たんぽぽコーヒーは好きだが、コイツはギルティだ。

 子供達には申し訳ないけど、庭キャンプ場の手入れ作業では邪魔な悪魔の花でしかない。

 今日は午後から強くなるから、午前中に最低限の作業をしておきたい。

「早めに昼の焚火する?」

 いや、もうすぐ風が焚火とってはアウトのラインに入る。しかも予報より早めにこの辺りは強くなるようだ。手入れ作業自体はもうちょっと続行できるが、焚火の制御は難しくなる。

 その予感は、先ほど諸事情あってしゃがんだときのケツにも感じていた。

「あんたのケツは風向風速計か?」

 庭キャンプに関わらず、キャンプにおいて・・・・・・とくに焚火に関しては風の判断は重要だ。煽られて制御が難しくなると、クッカーへの熱効率が悪くなるだけでなく、火傷や火災の原因になる。一見周りに引火物がないように見えても、予測できなくなった炎の動きは危険だ。

 地形やキャンプ内容、キャンパーのスタイルによって限界の風の線引きは変わるが、オレは庭キャンプ場の地形とウィンドスクリーン(風よけ)を使わないことを考慮し、4mまでが限界ということにしている。ウィンドスクリーンを使えばもうちょっといけるが、ひと手間増えるのと、そこまでしてやろうと思わない。直火の焚火の時に即席でスコップを刺して代用したことはあるけど・・・・・・着火を風で邪魔されない程度だったなあ。

 そもそもここは地形的に風が抜けやすいので、ちょっと風が強くなったレベルで撤収しておかないと、急激に風が強くなることがある。

 【危険になったらやめるではなく、危険になる前に撤収することが重要】なのだ。そもそも危険を感じたら、焚火やキャンプはしないのがいい。

 晴れるかどうかの予報を見るついでに、風の予報もちゃんと見ておこう。最初のうちは雲行きばかりに気をとられて、意外と見落としがちだ。現地についたら風が強かったから諦めようだったらまだいいが、焚火をしている間に強風に変わり始めたというのはけっこうシャレにならないので注意しよう。荷物も軽い物は舞うので、撤収も一苦労だ。

 無理をしないこともキャンパーに必要な心得である。

 ちなみにボッチキャンパー界のレジェンド・・・・・・ヒ〇シがよくやっている設置型のウィンドスクリーンを切り出した木材で作る手法があるが、これはその日中かテントに宿泊した翌日に解体・片づけするつもりでやった方がいい。放置すると邪魔になるという理由の他、日本だと台風があるのでバラバラになる。それだけならいい。キャンプ場を荒らしたり、人の土地に飛んでしまい、迷惑をかけるからだ。

 とくに注意しなければならないのは、風の予報期間の表示は短くプラン組立時に考慮しにくいことと、目的地の地形によっては予報に誤差が生じるということだ。風対策だけは最悪当日であっても、プランを変更する覚悟は持っておいたほうがいい。現地についてしまっていても、嫌な予感がしたら撤収する勇気を持とう。マジでヤベェから。
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