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第7話_スピード×重力=バワー
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以前、切り倒したヒノキの表面をノコギリやら、ノミやらあらゆる道具を使って何とか平面にしようと思って頑張ってみた。物をギリ載せられる程度の面に仕上がった。
お世辞にも綺麗な面とは言えない。むしろまだまだ凹凸と傾きがのこっているが・・・・・・素人がこれを平面及び平行にしようってこと自体が無理がある。とりあえず使えるならオレとしては妥協点だ。
絶対にボールをのせてはいけない。いいね?
薪割り台その2として使うので、どうせすぐに傷だらけになる。
なぜその2なのか。1つはホームセンターで買ってきた切り株に取っ手をつけたタイプをもっているからだ。手斧での薪割りやバトニングではこれを使ってきた。だが・・・・・・薪の中にはこれでは割れないものもある。
開拓時に大量に出た木材は全部が全部破棄したわけじゃない。いずれ薪として使えそうなものは、専用スペースを庭キャンプ場近くに作って置いてある。
「てか、これ使えばホームセンターの薪いらなくない?」
ノコギリや斧を置いた木製ベンチに座って、オレの切り株加工作業を眺めていたニケがそう言った。
すぐに使えるならそうしたいが、しばらく乾燥させないと使えない。無理やり燃やせなくもないが・・・・・・煙がすごくて調理するには向かない。自分が涙目で燻される。パーカーとかメッチャ煙臭くなるんだぜ。
「切ったのすぐ燃やしたときもなかった?」
あれは立ち枯れしていたからだよ。人間でいれば精力枯れ果てたちn・・・・・・。
「やめんか。」
カラッカラなのはどっちも同じなんだがな・・・・・・。枯れて落ちた枝は地面の状態によっては湿気で燃えにくい罠になることがあるが、こちらは地面の湿気は関係ない。切るのも割るのも簡単。欠点を言えば、都合よく見つかる保証はないくらいか・・・・・・。
一方で所謂生木は、表面積を増やす為に割って、乾燥期間が必要になる。
「何日くらい?」
木の種類や水分量にもよるから一概に言えないけど・・・・・・2年くらい?早くても1年。
「ぶぅ。」
ペットボトルの水を拭き出すベタなリアクションありがとう。
「それ、再来年じゃない!?」
まあ、そうなるわな。
とりえず、これを持っておいてくれ。
オレはパーカーを脱いでニケに渡した。ちょっと本気を出したい作業があるからだ。
「相変わらず、日本では浮く水着レベルの露出ねえ。下着とは無縁のボディースーツ(インナーレオタード)ファッションで、背中のほうなんてほぼ裸だし・・・・・・それ、デニムミニスカで隠れているけど、ケツTバックになってるし。」
邪魔な布が無い方が結局は動き易いし、楽なんだよ。無人島キャンプなら靴だけ履いて、裸でもいい。それにお前だってパーカーの下、横乳はみ出るチューブトップ一枚はかなり攻めてるぞ・・・・・・。ついでにと、ズボンの中は穿いてないも同然のちっちゃなパンツだし。
「人のパンツを大きな声で暴露するな。」
人の下着事情を暴露していいのは、自分の下着事情を暴露されてもいい奴だけだ。
ベンチの上の両手斧[コールドスチール製のトレンチホーク 90PTH]を手に取り、カバーを外す。斧側とツルハシ側を1つのカバーで覆っているので、外すときに回転部でカクッカクッっとなる動きが面白い。
ストックされたヒノキの枝を手に取ると、先ほど仕上げた・・・・・・と言って良いのか、使える状態まで持って行った切り株の上に置く。その2としてこいつを用意したのは、パワーが必要な両手斧の真価を発揮するためだ。片手斧なら、コンパクトな薪割り台でしゃがみ割りをしてもいいが、力をいれる両手斧でしゃがみ割りはやりにくい。
ただし・・・・・・パワーがある分、危険も伴うので両手斧は上級者向けだとオレは思う。
右手に斧を持ち、伸ばした左手にニケから保護メガネを受け取る。舞った破片が目に入り、ム〇カ大佐のように苦しむことになからだ。体に破片がとんでちょっとくらい擦り傷がつくらいは平気なオレでも・・・・・・流石に目はヤバイ。ただ、オレの経験から言えば、案外上半身は怪我しない。
どちらかというと足元の方が危険だ。一回で割れずに挟まった斧を外すとき、薪割り台に挟まった木を打ちつけて取ることがあるのだが、この時に叩く方向を考えないとすっぽ抜けた木が脛に飛んできたりする。というか、実際にあった。
何度も叩いていると手にまめもできるので、手袋着用も忘れない。すでに両手には耐火性グローブを軽作業グローブ代わりに付けている。余裕ある一般的な構造のものではなく、手にフィットするスモールサイズは使い回しがきくので便利だ。
トレンチホークを振り上げ、背筋の伸びを利用して振り下ろす。握力でしっかり握り、腕力は叩きたい場所へ導くために添えるように叩く。勘違いされがちだが、腕力任せで叩くわけではない。
マンガやアニメでは一撃でパカーンと割れているけど、ホームセンターの乾燥した薪と違い、そうそう一撃で割れる生木はない。
何度か叩いたり、挟まった場合は抜いて叩く方向を変えたり、寝せて何回かに分けて亀裂をいれたりと・・・・・・考えながら割らないといけないのだ。太い生木になると斧だけで割るのは難しく、ハンマーで楔を打ち込んでわる。
これでも割れなければ、もうあきらめた方がいいだろう。手持ちの手段で詰みということなので、強行するのは危険を伴う。
「うおお。あぶねえ。」
片足を上げて驚いたニケからは明らかに離れた場所への着弾だが、割れた生木が派手に飛んでいった。これが危険だと言う最大の理由だ。片手斧以上のパワーで割るために、割れたときの反動も相応なのだ。
割った木はいずれ薪として使用する日が来るまで、割る前のストックの隣に重ねて置く。
数年後のその日までまったく出番無しで眠るかと言えばそうでもない。大体同じ太さに割れたものが2本あれば、鍋敷や外したゴトクの仮置き場として代用できる。特に煤がついたものはベンチやテーブルに直に置きたくない。だからと言って直接土がむき出しの地面に置きたいとも思わない。100円ショップでも同じように使えそうな物は売っているけど、自然の中の物を使うのがいいんだよ。木がない場合は、石を並べて代用もできる。
時折、節が多い箇所もあり、これも素直に諦めた。これはこれで置く場所を割るにはデカすぎる木と同じグループに分け、乾燥するのを待ってハンター型かロングファイヤー型に組みこんで使い捨てようと考えている。バトニング棒を作ってもいいだろう。
預かったパーカーを抱えて、オレの作業をじっと見ていたニケと目があった。
ニケもやる?
「いやあ・・・・・・か弱い私には・・・・・・おい、その顔やめろ。」
歯茎剥き出しのバカ面になってしまったオレだが、未経験者のニケにいきなりこれは危ない。片手斧でできるだけでも楽になるが、ここは先に安全なバトニングで薪割りを覚えてもらおうと思った。
お世辞にも綺麗な面とは言えない。むしろまだまだ凹凸と傾きがのこっているが・・・・・・素人がこれを平面及び平行にしようってこと自体が無理がある。とりあえず使えるならオレとしては妥協点だ。
絶対にボールをのせてはいけない。いいね?
薪割り台その2として使うので、どうせすぐに傷だらけになる。
なぜその2なのか。1つはホームセンターで買ってきた切り株に取っ手をつけたタイプをもっているからだ。手斧での薪割りやバトニングではこれを使ってきた。だが・・・・・・薪の中にはこれでは割れないものもある。
開拓時に大量に出た木材は全部が全部破棄したわけじゃない。いずれ薪として使えそうなものは、専用スペースを庭キャンプ場近くに作って置いてある。
「てか、これ使えばホームセンターの薪いらなくない?」
ノコギリや斧を置いた木製ベンチに座って、オレの切り株加工作業を眺めていたニケがそう言った。
すぐに使えるならそうしたいが、しばらく乾燥させないと使えない。無理やり燃やせなくもないが・・・・・・煙がすごくて調理するには向かない。自分が涙目で燻される。パーカーとかメッチャ煙臭くなるんだぜ。
「切ったのすぐ燃やしたときもなかった?」
あれは立ち枯れしていたからだよ。人間でいれば精力枯れ果てたちn・・・・・・。
「やめんか。」
カラッカラなのはどっちも同じなんだがな・・・・・・。枯れて落ちた枝は地面の状態によっては湿気で燃えにくい罠になることがあるが、こちらは地面の湿気は関係ない。切るのも割るのも簡単。欠点を言えば、都合よく見つかる保証はないくらいか・・・・・・。
一方で所謂生木は、表面積を増やす為に割って、乾燥期間が必要になる。
「何日くらい?」
木の種類や水分量にもよるから一概に言えないけど・・・・・・2年くらい?早くても1年。
「ぶぅ。」
ペットボトルの水を拭き出すベタなリアクションありがとう。
「それ、再来年じゃない!?」
まあ、そうなるわな。
とりえず、これを持っておいてくれ。
オレはパーカーを脱いでニケに渡した。ちょっと本気を出したい作業があるからだ。
「相変わらず、日本では浮く水着レベルの露出ねえ。下着とは無縁のボディースーツ(インナーレオタード)ファッションで、背中のほうなんてほぼ裸だし・・・・・・それ、デニムミニスカで隠れているけど、ケツTバックになってるし。」
邪魔な布が無い方が結局は動き易いし、楽なんだよ。無人島キャンプなら靴だけ履いて、裸でもいい。それにお前だってパーカーの下、横乳はみ出るチューブトップ一枚はかなり攻めてるぞ・・・・・・。ついでにと、ズボンの中は穿いてないも同然のちっちゃなパンツだし。
「人のパンツを大きな声で暴露するな。」
人の下着事情を暴露していいのは、自分の下着事情を暴露されてもいい奴だけだ。
ベンチの上の両手斧[コールドスチール製のトレンチホーク 90PTH]を手に取り、カバーを外す。斧側とツルハシ側を1つのカバーで覆っているので、外すときに回転部でカクッカクッっとなる動きが面白い。
ストックされたヒノキの枝を手に取ると、先ほど仕上げた・・・・・・と言って良いのか、使える状態まで持って行った切り株の上に置く。その2としてこいつを用意したのは、パワーが必要な両手斧の真価を発揮するためだ。片手斧なら、コンパクトな薪割り台でしゃがみ割りをしてもいいが、力をいれる両手斧でしゃがみ割りはやりにくい。
ただし・・・・・・パワーがある分、危険も伴うので両手斧は上級者向けだとオレは思う。
右手に斧を持ち、伸ばした左手にニケから保護メガネを受け取る。舞った破片が目に入り、ム〇カ大佐のように苦しむことになからだ。体に破片がとんでちょっとくらい擦り傷がつくらいは平気なオレでも・・・・・・流石に目はヤバイ。ただ、オレの経験から言えば、案外上半身は怪我しない。
どちらかというと足元の方が危険だ。一回で割れずに挟まった斧を外すとき、薪割り台に挟まった木を打ちつけて取ることがあるのだが、この時に叩く方向を考えないとすっぽ抜けた木が脛に飛んできたりする。というか、実際にあった。
何度も叩いていると手にまめもできるので、手袋着用も忘れない。すでに両手には耐火性グローブを軽作業グローブ代わりに付けている。余裕ある一般的な構造のものではなく、手にフィットするスモールサイズは使い回しがきくので便利だ。
トレンチホークを振り上げ、背筋の伸びを利用して振り下ろす。握力でしっかり握り、腕力は叩きたい場所へ導くために添えるように叩く。勘違いされがちだが、腕力任せで叩くわけではない。
マンガやアニメでは一撃でパカーンと割れているけど、ホームセンターの乾燥した薪と違い、そうそう一撃で割れる生木はない。
何度か叩いたり、挟まった場合は抜いて叩く方向を変えたり、寝せて何回かに分けて亀裂をいれたりと・・・・・・考えながら割らないといけないのだ。太い生木になると斧だけで割るのは難しく、ハンマーで楔を打ち込んでわる。
これでも割れなければ、もうあきらめた方がいいだろう。手持ちの手段で詰みということなので、強行するのは危険を伴う。
「うおお。あぶねえ。」
片足を上げて驚いたニケからは明らかに離れた場所への着弾だが、割れた生木が派手に飛んでいった。これが危険だと言う最大の理由だ。片手斧以上のパワーで割るために、割れたときの反動も相応なのだ。
割った木はいずれ薪として使用する日が来るまで、割る前のストックの隣に重ねて置く。
数年後のその日までまったく出番無しで眠るかと言えばそうでもない。大体同じ太さに割れたものが2本あれば、鍋敷や外したゴトクの仮置き場として代用できる。特に煤がついたものはベンチやテーブルに直に置きたくない。だからと言って直接土がむき出しの地面に置きたいとも思わない。100円ショップでも同じように使えそうな物は売っているけど、自然の中の物を使うのがいいんだよ。木がない場合は、石を並べて代用もできる。
時折、節が多い箇所もあり、これも素直に諦めた。これはこれで置く場所を割るにはデカすぎる木と同じグループに分け、乾燥するのを待ってハンター型かロングファイヤー型に組みこんで使い捨てようと考えている。バトニング棒を作ってもいいだろう。
預かったパーカーを抱えて、オレの作業をじっと見ていたニケと目があった。
ニケもやる?
「いやあ・・・・・・か弱い私には・・・・・・おい、その顔やめろ。」
歯茎剥き出しのバカ面になってしまったオレだが、未経験者のニケにいきなりこれは危ない。片手斧でできるだけでも楽になるが、ここは先に安全なバトニングで薪割りを覚えてもらおうと思った。
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